男の痰壺

映画の感想中心です

映画2015

正しい日 間違えた日

★★★★★ 2018年7月7日(土) シネリーブル梅田3 キム・ミニはホン・サンスにとって明らかにさげまん。 「夜の浜辺でひとり」と「それから」を見てそう思った。 だが、初めてタッグ作のこれはすごく良い。 未ださげまん効果が顕現していないのだろう。 すごく…

味園ユニバース

★★★★ 2015年2月15日(日) MOVIXあまがさき11 主人公の妥協の無い糞野郎ぶりが良く、すばるの遊びの無い生硬さがその余裕ない歌唱を含めマッチしてる。堪らぬ寂れ感を漂わすロケ選定も素晴らしい。ただ、終盤が完全に投げたように思え、シュール逃げも芸が…

風に立つライオン

★★★ 2015年3月14日(土) TOHOシネマズ梅田3 修造キャラが既視的な主人公だが現地ロケの空気は子供達を通じて吹き抜ける。全篇ケニア舞台で貫徹して欲しかったところだがドラマ構築にネタ不足で真木の五島パートが併走する。そして、これが又仄かな諦観を内…

ソロモンの偽証 後篇・裁判

★★★★★ 2015年4月17日(金) 梅田ブルグ7シアター7 屈曲し逸脱し行く展開を力技とも言える藤野の正論で引き戻す確信ぶりにドーパミンが年甲斐もなく溢れ出した。これは91年以降の喪われた20年が経済の停滞のみならず多くの掛け替え無い人心の有り様を磨…

駈込み女と駆出し男

★★★ 2015年5月24日(日) MOVIXあまがさき5 愚劣な圧制に抗する義賊や理不尽な弾圧に虐げらる切支丹を点描しながらDVネタを主軸に据える強弱感へのセンスはやっぱ原田には無いと思う。仕組みに欠けると言う以前に表層にしか興味が無さそうな本質が露呈す…

ソロモンの偽証 前篇・事件

★★★★ 2015年3月8日(日) MOVIXあまがさき11 物語は須く渦中で放り出されプチ完結も無い構成が前篇とは言え芸がない。が、このヘタ打てば「ごっこ」で切り捨てられるものを過度な刺激も廃しつつ牽引するのは誠実で公正たろうとする宮部イズムへの真摯な賛…

チャッピー

★★★ 2015年5月29日(金) MOVIXあまがさき11 『ロボコップ』な背景の『AI』再語りの手垢感もあるが、本来3項対立の傍系人物でしかない2人が予想外の父母性を発露し始めて均衡が崩壊する。と言うより作り手の心情もそこへ片寄せしてる。創造主を序盤で…

あん

★★★★ 2015年5月31日(日) 梅田ブルク7シアター2 ドン詰まりの男と行き場ない女子高生のゆっくり死んでゆく如き日常をそれでも慈しむかのようなカメラ使いが良い。そして再生リアクターとしての樹木の苛烈な一生も呑んで溜める佇まい。水野の使い捨ても許…

マッドマックス 怒りのデス・ロード

★★★ 2015年6月20日(土) 梅田ブルク7シアター6 濡れた仔犬のようなハーディは孤高というより優柔不断な場当たりに見え「マッド」度はてんで低い。『サンダードーム』の拡張的ジョー王国は既視感拭えず、規格更新されたチェイスは馬鹿騒ぎ的な過剰さで修飾…

脳内ポイズンベリー

★★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田3 小学生レベルの脳内会議を映画未満な演出で見せられる戴けなさを感じつつも、ヤケに毛糸帽子に執着する真木が微妙なリアリティを醸す。彼女が最後にたどり着く真理は成る程言えてるかもだ。西島のラ王M演技と吉…

予告犯

★★★★★ 2015年6月21日(日) MOVIXあまがさき3 恵梨香の絶句を機に世界は転倒した。『ショーシャンク』を掠り遥かキャプラまで敷衍したかの如き映画構造が大甘にせよ行き場無き時代を照射するには必要な気がする。格差やネットを巡る描写は浅薄だが追跡劇の…

アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン

★★★ 2015年7月5日(日) MOVIXあまがさき6 利己主義集団が共闘関係を確立するまでに軋轢のドラマがあった前作に対し、攻防軸が一方向になったうえ陳腐な「愛」への言及が安く甘い。2名の新規加入は結局既存キャラを押しのけ拡散希釈させただけ。敵ウルトロ…

海街 diary

★★★★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田9 姉妹間だけではなく他者との関係性の変容を「空気」だけに最大限の演出を注ぎ込んで緩やかに慈しむかのように描いた工芸品。3度の葬儀と法事が編年のメリハリを付与する構成が高度に小説的だ。想定外の4人の…

極道大戦争

★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田6 チャラい設定を料理するには解体再構築するしかないのは解るのだが、意味不明の河童登場で若干広がった世界はしかし一向拡散せず寧ろ狭い商店会へ更なる収縮を続けイライラする。カエルの無茶ブリも最早ウンザリ…

ラブ&ピース

★★★ 2015年7月10日(金) TOHOシネマズ梅田6 どうにも手垢ついた骨子では仕方なく寄木のように捨てた者・物への想いを配してみたが上手くない。一途に謳いあげることへの照れは被虐志向で粉飾。一生懸命歌い上げた自身の作詞作曲が「スローバラード」1曲で…

ストレイヤーズ・クロニクル

★★★ 2015年6月28日(日) MOVIXあまがさき5 悪くないトーンだとは思うが、世界との関係性に演出が無自覚だからママゴトにしかならない。又、この今更題材に期待した石森章太郎や平井和正への憧憬も充たされることはない。『Xーメン』以降に問うべきものと…

ラン・オールナイト

★★★ 2015年8月16日(日) 新世界国際 シーン繋ぎのシャープネスなど所々惹かれるが、練れてるとも思えぬ脚本に無理くり感がある。全員敵という程の矢継ぎ早設定でもなく一晩凌げばの確証も無くエドは言うほど怖くも強くもない。大体リーアムの酔いどれダメ設…

ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション

★★★ 2015年8月19日(水) 大阪ステーションシティシネマ2 何だかスパイ大作戦から行路を経て007に行き着いちまったみたいな今更言うのもなんだが虚しさを感じるのはスペクターみたいな大雑把な敵役のリアリズム。最高ランクのレベッカを得ながら野郎同…

ターミネーター 新起動 ジェニシス

★★★ 2015年7月12日(日) MOVIXあまがさき7 庇護の対象がジョンでなくサラになったおかげで爺さんと孫娘みたいな雰囲気が生成され、老化シュワへの危惧を先回りで緩衝した。キャメロンに尻尾振りつつ実際は大概ええ加減な展開も悪くない。でもやっぱもう打…

ベテラン

★★★ 2025年4月7日(月) MOVIXあまがさき2 新作が公開されるので旧作が1週間だけアンコール上映された。こういうのありがたいっす。10年前は数多ある韓国ジャンルムービーの1本とほとんど関心もなくスルーしたが、監督リュ・スンワンの直近の2作…

悪党に粛清を

★★★★ 2015年7月18日(土) 梅田ブルグ7シアター4 全篇を貫くジャンル愛とでも言うべき思い入れが濃厚で、それならこの何の芸もない継ぎ接ぎストーリーも強度と言い換えたくなる。愛する全てを失って尚の展開は、更なる虚無地獄に生きるらしいエヴァが物語…

この国の空

★★★★★ 2015年8月11日(火) テアトル梅田1 一貫して重低音で流れ続けるような戦時下の抑圧。こういう演出は制圧的な統御下でしか為し得ぬものに思える。声を押し殺したパッションの臨界域での発露は綺麗ごとじゃない。ど真ん中を射るモノローグ「私の戦争」…

日本のいちばん長い日

★★★ 2015年8月9日(日) MOVIXあまがさき5 構図と編集リズムによりドラマのエモーションを高める作為は前半に関しては一応の成果を見せ、ミクロに集約された三者の思いの錯綜は新鮮でさえある。ならば将校の叛乱は寧ろ描かないくらいでよかった。後半は流さ…

リアル鬼ごっこ

★★★ 2015年7月19日(日) 大阪ステーションシティシネマ4 『自殺サークル』サイド園子温の結晶形で全篇5割以上をドローン撮影に依ると思しき実験の遣り放題も概ね好感。悪夢のような不条理展開が続くが言わずもがなの終盤は蛇足だし純度を低める。特筆はト…

野火

★★★★ 2015年8月26日(水) シネリーブル梅田1 南方の亜熱帯樹林がデジタルでクリアに捉えられ時に限りなく美しく戦線から離脱した孤絶感を弥増させる。軽い擦過音が聞こえた直後に人体破壊がもたらされる空からの掃射など細部が良い。野火や人肉食の扱いは…

ジュラシック・ワールド

★★★★ 2015年8月22日(土) TOHOシネマズ梅田1 草食系をほぼオミットし新種レックスとラプトルに物語を負わせたのが良い。人間が両者の剣呑な狡猾に翻弄されまくるところにトリッキーで被虐的エモーションが宿るのだ。隔離された筈の脅威は一瞬にしてこちら…

ロマンス

★★★★ 2015年9月5日(土) シネリーブル梅田2 自分探しとかではなく失われたと思い込んでた過去を見つける旅路である点に於いて『四十九日』と通底すると言うかこれしかないんかとさえ思わせたが、臨界線上の男を描く腰の座りが優子の「ま、いいか」的開き直…

ピース オブ ケイク

★★★★★ 2015年9月19日(土) 梅田ブルグ7シアター3 酔ってユルユルになる男願望が多少入ってるにせよこの多部ちゃんは全存在で等身大の女を具現化して圧倒的だ。足掻いてもがいて駆け抜ける様は「ガールズ・オン・ザ・ラン」であり峯田が世界をきっちりサポ…

わたしたち

★★★★ 2017年11月19日(日) MOVIXあまがさき4 本当の何かをスクリーンに刻もうとする強固な意志が貫徹されている。 ユン・ガウンという新人女性監督によるものだが、イ・チャンドンの弟子筋だそうだ。 さすがだと思う。 映画で描かれるイジメは、概ね…

天空の蜂

★★★★ 2015年9月27日(日) MOVIXあまがさき6 類型的にせよそれでも随分見れるレベルになった的感慨を感じた前段の救出劇だが後半映画は四畳半ルサンチマンの空気を纏い始める。原発をめぐる空論が跋扈する日本へのアンチテーゼ。テロルが私怨に依拠する本質…