男の痰壺

映画の感想中心です

映画2015

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

★★★ 2017年1月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ2 終盤でテロリストの機関銃搭載のジープが爆撃後の現場に通りかかる。 瀕死の少女を抱えた両親が懇願し彼らは機関銃を降ろし少女を運ぶ。 辛うじてのニュートラルな描写だと思った。 言うたら、こん…

ニュースの真相

★★★★ 2016年8月8日(月)大阪ステーションシティシネマ5 調査委員会でのケイトの最後っ屁にせよ仕掛け人女房のお門違い罵言にせよ、何ぬかしとんねん的すり替えだが、マスメディア論として全く正しいところが本作の絶妙なバランス感覚なのだ。負け戦を描く…

ザ・スクワッド

★★★ 2017年1月7日(土) 梅田ブルク7シアター5 何だか並の映画でがっかりした。 なぜかと言うとこの映画の監督のバンジャマン・ロシェという人の「ザ・ホード 死霊の大群」を俺は一まで見たゾンビ映画中で5指に入る出来だと密かに今まで思ってたからだっ…

シング・ストリート 未来へのうた

★★★ 2016年8月8日(月) シネリーブル梅田2 親の不和にせよ学校でのイジメにせよ総じてライトだし閉塞打破の方途としての音楽もパンク以前グラム未満な半端さで強固なメッセージがあるわけもない。行く先を失しレコードに埋没する兄は弟の何に仮託したのか…

聖杯たちの騎士

★★★★ 2017年1月7日(土) シネリーブル梅田3 映画脚本家を主人公にしてるのに、「8 1/2」的な映画製作の悩みではない。 そこがつまらない上に、もうどうでもええやんけってなくらいに過去の人間関係にイジイジと拘泥する。 父親・兄弟・別れた妻・不倫の愛…

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

★★★★ 2016年8月17日(水)大阪ステーションシティシネマ7 主義・主張を貫くにはそれを担保する生活力が要るのだということを、持たざる多くの人々を点描しつつ語る。であるから一旦叩きのめされた後、ジャンクムービー職人として再生する過程こそが白眉。女…

.ヒッチコック/トリュフォー

★★★ 2016年12月20日(火) テアトル梅田2 期待もしてなかったが、やっぱりと言うか、これは「映画術」という本に関する映画とは言えない。 ヒッチコックとトリュフォーに関する、もはや聞き飽きたような挿話をちりばめたアンソロジーにすぎない。 そりゃあ…

五日物語 3つの王国と3人の女

★★★★★ 2016年12月20日(火) 大阪ステーションシティシネマ6 中世欧州を舞台にした奇譚なんて、もう、うんざりっす。 テリー・ギリアムとかティム・バートンとかピーター・ジャクソンとかどれも似たり寄ったりやん。 と、思ってましたが、これ良いです…相当…

グッバイ、サマー

★★★ 2016年9月23日(土) テアトル梅田2 幾ら機械オタクとは言えあんなに簡単にあの車は作れんやろと思った瞬間に俺の心は物語から乖離する。『ミライへ逆回転』少年バージョン的ゆるさにおおわれたゴンドリーの極私的ロマンティシズムは内向するば…

ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気

★★★ 2016年11月28日(月)大阪ステーションシティシネマ9 恋の形成過程も熟成過程も多分におざなりである。 確かに映画の本線は権利を得るための社会を巻き込んだ「闘い」にあるのだろうし、実話ということで脚色にも限界があったかもしれない。 だが、この…

コンテンダー

★★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際劇場 絶対に譲れないと思っていても変節はいとも簡単に訪れる。そういう弱さを映画は非難 めいた視線では見ていない。甘いも酸いも汚濁も清廉も世のシステムに剥き身を晒し 苦闘するしかない。ケイジの南部との親…

イレブン・ミニッツ

★★★★ 2016年9月12日(月) シネリーブル梅田1 時制の反復や彼岸と此岸の融解など既視感ありのテクを詰め込んだ精緻なバッタもんやんけとも思うし大風呂敷広げてその程度かとも思うのだが、それでもスコリモフスキ爺さんのしてやったりでダークな無邪気さは…

ロブスター

★★★ 2016年10月22日(土) 新世界国際 不条理とは揺るがない条理が確立されている世界でしか成立しない。 カップルであることを強いられることは少し前までは条理であったのだが、作り手世界観の中では不条理であるらしい。 結構な予算を費やした映…

正しい日 間違えた日

★★★★★ 2018年7月7日(土) シネリーブル梅田3 キム・ミニはホン・サンスにとって明らかにさげまん。 「夜の浜辺でひとり」と「それから」を見てそう思った。 だが、初めてタッグ作のこれはすごく良い。 未ださげまん効果が顕現していないのだろう。 すごく…

駈込み女と駆出し男

★★★ 2015年5月24日(日) MOVIXあまがさき5 愚劣な圧制に抗する義賊や理不尽な弾圧に虐げらる切支丹を点描しながらDVネタを主軸に据える強弱感へのセンスはやっぱ原田には無いと思う。仕組みに欠けると言う以前に表層にしか興味が無さそうな本質が露呈す…

あん

★★★★ 2015年5月31日(日) 梅田ブルク7シアター2 ドン詰まりの男と行き場ない女子高生のゆっくり死んでゆく如き日常をそれでも慈しむかのようなカメラ使いが良い。そして再生リアクターとしての樹木の苛烈な一生も呑んで溜める佇まい。水野の使い捨ても許…

予告犯

★★★★★ 2015年6月21日(日) MOVIXあまがさき3 恵梨香の絶句を機に世界は転倒した。『ショーシャンク』を掠り遥かキャプラまで敷衍したかの如き映画構造が大甘にせよ行き場無き時代を照射するには必要な気がする。格差やネットを巡る描写は浅薄だが追跡劇の…

海街 diary

★★★★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田9 姉妹間だけではなく他者との関係性の変容を「空気」だけに最大限の演出を注ぎ込んで緩やかに慈しむかのように描いた工芸品。3度の葬儀と法事が編年のメリハリを付与する構成が高度に小説的だ。想定外の4人の…

ラブ&ピース

★★★ 2015年7月10日(金) TOHOシネマズ梅田6 どうにも手垢ついた骨子では仕方なく寄木のように捨てた者・物への想いを配してみたが上手くない。一途に謳いあげることへの照れは被虐志向で粉飾。一生懸命歌い上げた自身の作詞作曲が「スローバラード」1曲で…

日本のいちばん長い日

★★★ 2015年8月9日(日) MOVIXあまがさき5 構図と編集リズムによりドラマのエモーションを高める作為は前半に関しては一応の成果を見せ、ミクロに集約された三者の思いの錯綜は新鮮でさえある。ならば将校の叛乱は寧ろ描かないくらいでよかった。後半は流さ…

リアル鬼ごっこ

★★★ 2015年7月19日(日) 大阪ステーションシティシネマ4 『自殺サークル』サイド園子温の結晶形で全篇5割以上をドローン撮影に依ると思しき実験の遣り放題も概ね好感。悪夢のような不条理展開が続くが言わずもがなの終盤は蛇足だし純度を低める。特筆はト…

野火

★★★★ 2015年8月26日(水) シネリーブル梅田1 南方の亜熱帯樹林がデジタルでクリアに捉えられ時に限りなく美しく戦線から離脱した孤絶感を弥増させる。軽い擦過音が聞こえた直後に人体破壊がもたらされる空からの掃射など細部が良い。野火や人肉食の扱いは…

ジュラシック・ワールド

★★★★ 2015年8月22日(土) TOHOシネマズ梅田1 草食系をほぼオミットし新種レックスとラプトルに物語を負わせたのが良い。人間が両者の剣呑な狡猾に翻弄されまくるところにトリッキーで被虐的エモーションが宿るのだ。隔離された筈の脅威は一瞬にしてこちら…

ロマンス

★★★★ 2015年9月5日(土) シネリーブル梅田2 自分探しとかではなく失われたと思い込んでた過去を見つける旅路である点に於いて『四十九日』と通底すると言うかこれしかないんかとさえ思わせたが、臨界線上の男を描く腰の座りが優子の「ま、いいか」的開き直…

デ・パルマ

★★★ 2017年11月18日 シネヌーヴォ 映画監督の研究本とかで、とどのつまり結局一番オモシロイのは監督自身の「自作を語る」であったりする。 この映画は、そこに徹していて心地良い。 冒頭、若干の出自めいたものが語られるが、あとは自作フィルモグラフィを…

天空の蜂

★★★★ 2015年9月27日(日) MOVIXあまがさき6 類型的にせよそれでも随分見れるレベルになった的感慨を感じた前段の救出劇だが後半映画は四畳半ルサンチマンの空気を纏い始める。原発をめぐる空論が跋扈する日本へのアンチテーゼ。テロルが私怨に依拠する本質…

GONIN サーガ

★★★ 2015年10月10日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 因果といっても傍流の話で何がサーガやねんとも思える偏屈展開のくせに、やたら初作をインサートさせる世間への阿りが潔くない。バージョン劣化が明らかな面子のなか竹中やアンナが良いといって…

ギャラクシー街道

★★★★ 2015年10月24日(土) 大阪ステーションシティシネマ1 旧街道の寂れたバーガーショップの倦怠夫婦の再生譚なのだからギャグにしても寒ければ寒いほど本質に合ってる気がする。定番通りにお互いがよろめき定番通りにさやに戻る。少しだけだが感動した。…

劇場霊

★★★ 2015年12月5日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 もはや中田は得体の知れたものしか描けぬようになったらしい。大時代な主役争いを繰り広げる女優達の相克は一応ぱるる熱演でご愛嬌程度には楽しめるが、なら脅威であるそいつも女優の成れの果てであ…

FOUJITA

★★★ 2015年11月29日(日) シネリーブル梅田1 どう考えても2つの時代の作風の変節に踏み込むしかない映画なのだが、風景や環境描写だけでアプローチしようとして木端微塵に玉砕したみたいだ。パリ時代のデカダンやアナーキズムの欠如が致命的。ど素人の学…