男の痰壺

映画の感想中心です

映画1936

サボタージュ

★★★ 2017年1月14日(土) プラネットスタジオプラス1 技法の突出はさほど無い。 しかし、越境感は半端無いと思う。 テロルは怨嗟や怒りに根差さない。 ただ騒乱を起こすためにある。 子供は死なないというコードは知ったこっちゃない。 当たり前に木端微塵…

孔雀夫人

★★★★ 2016年12月11日(日) プラネットスタジオプラス1 熟年離婚とか死後離婚とかが言われて久しいですが、この80年前の映画を見れば新しくもない問題なのだとわかります。 まあ、女ってのは見果てぬ夢と言いますか、どこまでいっても満足できない生き物…

どん底

★★★★ 2023年5月31日(水) シネヌーヴォ ゴーリキーの原作戯曲を読んだことないし、演劇を見たこともない。ただ黒澤の映画は見たことがある。それとこれとでは、ずいぶん印象が違うもんだと思った。 おそらく黒澤版の方がオリジナルのテイストを踏襲してるの…

河内山宗俊

★★★ 1998年12月26日(土) 第七藝術劇場 可憐で清廉なる少女の為に無頼野郎どもが立ち上がる…そのヒロイズムは王道だがギャグパートが流れを分断し一気呵成に終盤になだれ込むカタルシスに欠ける。オプティミズム(『百萬両の壺』)とペシミズム(『人情紙風船…

この三人

★★★★ 2022年7月2日(土) プラネットプラスワン ウィリアム・ワイラーと言えば泣く子も黙る巨匠なのだが、考えてみると打ち震えるような傑作ってあったのかと考えてしまう。どうにも大味な感じがします。大作をものにし多様なジャンルを手掛けたという点で似…

赤西蠣太

★★★★ 2003年12月2日(火) 高槻松竹 『博士』のセラーズもかくやの千恵蔵2役。特に稀代のピカレスクヒーロー原田甲斐には参った。伊丹演出もここぞとばかりの仰々しきハッタリをかまして絶品。少々クドい諧謔趣味を割り引いてもモダニズムの残滓は余りある。(…

浪華悲歌

★★ 1991年11月9日(土) 高槻セントラル 確かに先駆的だったのであろうが、教科書的知識で判断したくはない。ルーティーンそのものの物語に於いても何かしらの凌駕し難い煌めきを保持するのがマスターピースの条件だとするなら、ほとんど無いと言うしかない。(…

祇園の姉妹

★★★ 1991年11月9日(土) 高槻セントラル 新旧の時代の相克は、いつ何時でもドラマトゥルギーを発露する。ピチピチの山田五十鈴が先輩格の梅村を凌駕しゆく様は典型的オーソドキシー。映画的安住の地平に有る。しかし、同時代に見た人が感じたろう衝撃は最早微…

モダン・タイムス

★★★★★ 1980年7月12日(土) 毎日文化ホール ラング・クレールの延長線上に立脚したチャップリン集大成にして最高到達点。工場とスケートリンクの至宝級の芸に加えて「悪声」の不協和音爆弾が歴史を刻印する。ドライなユーモアと程良いペーソスが絶妙の配合。完…

ピクニック

★★★ 2015年7月25日(土) 第七藝術劇場 或る夏の一日がその後の長い人生より煌めいていたという汎映画的モチーフは良いが、確信的な選択で為されたようにも見えぬブランコの仰角や川面のローアングルといったカメラ使いと、母親やフィアンセの笑劇キャラの歪…