男の痰壺

映画の感想中心です

映画1964

乱れる

★★★★★ 2025年11月6日(木) シネヌーヴォ 前半、大して何事もない日常が点描されていく。スーパーマーケットの新興により小さな商店が没落していく様が物語の後景にあり、それは「高校三年生」を大音量で流すスーパー街宣カーの再三の登場で否が応にも印象づ…

ねえ!キスしてよ

★★★★★ 1980年8月8日(金) 毎日文化ホール 計り知れないコード横溢の時代に間隙を縫ったキワキワ感がソソる。インモラリストワイルダーのチャレンジ精神の歪な輝き。ウォルストンの地味さが徒花に徹したノヴァクを輝かせる皮肉。代役の代役マーティンの当たり…

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

★★★★★ 1980年9月16日(火) 毎日文化ホール 基地で反共将軍が、作戦室で元ナチ博士が、コックピットでテキサス少佐が、狂った本性を発酵・醸成させる。作戦室のパンフォーカスと基地のロングの当意即妙。スコット・ヘイドンのタカ派演技とセラーズの天才。2つ…

男性の好きなスポーツ

★★★★ 2025年7月14日(月) プラネットプラス1 「赤ちゃん教育」や「モンキー・ビジネス」の系譜を継ぐホークス後期のスクリューボールコメディだそうだが、全然期待してなかった割には相当に面白かった。 まず、タイトルバックのデザインがメチャクチャ粋で…

赤い殺意

★★★ 1977年11月20日(日) 東梅田シネマ 単なる痴情話で終わらせまいとしてポジ『昆虫記』のネガと対置し日本論的な風土や因習を加味して物語的な強度は拡散した。暗鬱な東北の風土の中で描かれる図太く強かな女のバイタリティは春川ますみの木偶のような受動…

チャルラータ

★★★★ 2015年10月24日(土) テアトル梅田1 メロメロに溺れる域まで行かぬ忍ぶ恋を描き、亭主の硬質な生業を細緻に織り交ぜ極めて英文学的な芳香を醸している。それでも終盤の畳み掛けはダイナミックでストップモーションの余韻も詠嘆的だ。ブランコの『ピク…

パリのナジャ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 2021年7月19日(月) テアトル梅田2 フランス外務省の依頼で撮られたソルボンヌ大学の紹介みたいなドキュメントという体裁。 演出がエリック・ロメールで撮影がネストール・アルメンドロス。 まあ、ド…

執炎

★★★ 2017年8月17日(木) シネヌーヴォ 恋の形成過程が生半可なので違和感が付きまとう。 山の女と海の男の出会いは幼少期で、あっさりしたもんで、感情の発露は描かれない。 そして、成人してしてからの再びの出会い。 山の落人部落をたまたま訪れた男は女…

肉体の門

★★★ 2017年5月20日(土) シネヌーヴォ 冒頭で戦後の闇市界隈の混沌がスローモーションで捉えらえる。 今風だし、清順のそういう描法は見たことなく何が出てくるかの期待が高まる。 でも、結局は何も出てこない。 女同士のコミューンの諍いが描かれるが、下…

バルタザールどこへ行く

★★★ 2000年1月15日(土) 扇町ミュージアムスクエア クロケの白黒撮影は完璧に美しいが児童映画にでもありそなロバの受難物語に人間界の無慈悲を対比させるなら今少しの劇的誇張もやむを得なかったのではなかろうか。無表情な目をして立ち尽くすバルタザールだ…

香華

★★★ 2000年11月11日(土) 高槻セントラル 徹底的ダメ母と腐れ縁で振り回され続ける娘との編年記なのだが、どうにも母親の乙羽が熱演するほどに皮相にも柄じゃない感が浮き出る。エロスが不足なのだ。同じ有吉『紀ノ川』と比較してしまうのも痛く木下のビジュ…

日本俠客伝

★★★★★ 2000年12月27日(水) 日劇会館 至福とでも言うべき充実感がある。多数の素晴らしい役者たちがジオラマのように配置されたミディアムショットの安定感にはため息しか出ない。健さんが良いのは当然だが予想外の錦之介のニヒリズムには心底泣いた。(cinema…

★★★ 2001年1月20日(土) テアトル梅田2 女2人の愛憎劇なら未だしもだが、男2人が絡んできてのすったもんだに何ひとつ興趣を覚えないのが致命的。今となってのレトロ感が適度に笑えるし、小林のフレームワークも高度に的確だが、増村の語り口の性急なハイト…

赤い砂漠

★★★ 2001年9月7日(金) 動物園前シネフェスタ2 明確な起因があって病んだらしい主人公は自己完結しており世界を閉ざす。故に変化は永遠に訪れない。石化コンビナートの幾何世界に彩色された淡彩と曇天狙い。ディ・パルマのそういう完璧なコントロール下で尚…

幸福

★★★★★ 2002年4月16日(火) シネリーブル梅田2 恐怖を覚える程に余りに唐突に襲い来る喪失感と瞬く間にそれが過去の出来事として忘却される様は、家族という関係の危うい本質を衝き確かにそんなものだと思わせる深遠さがある。絵のように美しい画面だが実の親…

はなればなれに

★★★ 2002年6月14日(金) パルシネマしんこうえん 物語を語るのに衒いがあっては観客は白ける。ゴダールはわざとゴッコの振りをし幾許かのカリーナへの色気を交えておどけてみせるが正直醜悪で見てられない。ただ他の何本かの崩壊し切った代物よりは多少物語の…

未知への飛行

★★★★ 2022年5月29日(日) プラネットプラスワン 1964年制作で同年の「博士の異常な愛情」と扱うテーマで競合・紛糾したらしい。今回初見だが、確かに構成やキャラも相当にかぶっていると思いました。基地や作戦室や爆撃機のコックピットといった限定さ…

越後つついし親不知

★★★ 2002年8月19日(月) 日劇シネマ 三國→佐久間→小沢と物語の主軸が変遷する様が計算ではなく成り行き任せでそうなったような構成のばらつきが惜しいが、終盤の3分の1は泣けた。水上ものとして前年の『越前竹人形』とかなりカブるが佐久間は若尾に比肩し得…

拝啓総理大臣様

★★★★ 2008年5月24日(土) トビタ東映 ベーシックな芸道物の悲喜こもごもの下地に幾重にも塗り重ねるが如く、貧富や人種や病苦や教育や多くの差別や格差が描かれ、そういうタペストリーを徒に纏め上げることもなく、何とかしてよ総理大臣閣下と最後に片隅か…

車夫遊俠伝 喧嘩辰

★★★ 2002年11月16日(土) 扇町ミュージアムスクエア 何があっても自分の信義を曲げぬ男というのは良いキャラで『けんかえれじい』に通底するようにも思えるのだが、そこを取り立てて前面に出さず勿体ない。後半に至りそういった特質は後方に霞みトーンダウン…

★★★★ 2002年11月28日(木) 扇町ミュージアムスクエア 解ってもらえないからと言って全てを放っぽり出す「美学」を美しいと思う気持ちは正直解らないでもないが、それが国粋主義的に昇華されると極右へと向かう。三隅は三島の映画化には或る意味最適者で一切迷…

恋人のいる時間

★★★★ 2002年11月26日(火) テアトル梅田1 不倫しといて開き直るドタマに来る女が主人公だがゴダールの関心はそういう倫理に向く訳なく只管に観察的手法で女体の外観へ向かう。結果このマーシャ・メリルは彼の映画のヒロイン中突出して美しい。勿論クタールモ…

暗殺

★★★ 1993年10月31日(日) 日劇会館 一派に汲みしない篠田のノンポリスタンスが共鳴したのであろうが、圧倒的に個性的な主人公を擁しながら断定的なハッタリがないので盛り上がらないこと甚だしい。時代劇なのにオール現代劇役者で主軸を固めた拘りも悪くはな…

馬鹿まるだし

★★★★ 1992年9月5日(土) サンポードアップルシアター 後年の「寅さん」のように作者の思惑を超えた破壊力は無く余りに完全無欠にまとまりすぎたキャラだが、それを慈しむが如く大事に丁寧に磨き上げてて微塵の破綻も無いのが恐れ入る。特に好きとも言えないが…

馬鹿が戦車でやって来る

★★★ 1992年8月29日(土) サンポードアップルシアター 小さな悪意の総和が加虐のマスエネルギーへと変質する閉鎖集団の暴走を描いているのだが『ドッグヴィル』な不可逆的帰結ではなく安寧な寓話世界へ閉じ込めようとする。戦車というアイコンの衝撃性が殻を打…

東京ギャング対香港ギャング

★★★ 2006年10月28日(土) 日劇会館 何故か仲良く香港観光を繰り広げる健さん&良平の前半が構成上歪なのも、ヤク中禁断症状が裸体ダンサーのアクロバットダンスとカットバックされる理不尽さも、強引に収束させてしまう男丹波の力量。笑ってしまうが心底か…

ど根性物語 銭の踊り

★★★★ 2006年11月18日(土) 日劇会館 なんじゃこりゃの支離滅裂と微妙な変態味。文芸の鎧を外された市川崑の本質は案外こういうところにあるのではなかろうか。モダンジャズとスタイリッシュな宮川カメラが世界観を補填する中、勝新だけが我を通している。ア…

ああ爆弾

★★ 1991年1月19日(土) ルネサンスホール ヒッチ=トリュフォー系譜のウーリッチ原作なら喜八ラインは有りなのだが、1昔前のドタバタに能や狂言や浪花節や御詠歌でどうやって乗れと言うのか。趣味的過ぎてムカつきさえする。一種の実験映画なんだろうが…しん…

砂の女

★★★★ 1991年4月29日(月) シネマヴェリテ梅田 具現化されたイメージが原作読みの想像世界を超えたか微妙。外世界の村人たちが形象を付与され土俗的猥雑さが増す一方でシュールなエッジは後退した。岸田今日子のネバつくようなエロスも同義だがこれは原作を凌…

宮本武蔵 一乗寺の決斗

★★★ 1991年4月28日(日) トビタ東映 前3作を観ないでこれだけ観ても訳解るわけもなく、武蔵の懊悩や葛藤らしきものは俺の心を上滑りしていく。吐夢らしい豪快な造形美の片鱗を探し続けて観ていたが、それはラストの一乗寺下り松のモノクロの乱闘シーンまでつ…