男の痰壺

映画の感想中心です

映画1957

胸に輝く星

★★★★★ 2016年2月28日(日) プラネットスタジオプラス1 冒頭から馬上のフォンダの佇まいの余裕と馬の歩みの心拍同期な快楽。沁み込んだ差別感情も気のある女の手前あっさり変節。へなちょこトニパキも真摯に指導し勝利も女も手に入れる。男ならこうありたい…

赤い矢

★★★ 2024年8月5日(月) プラネットプラス1 サミュエル・フラーほとんど見てませんが、これ見て彼の論理と倫理のまっとうな平衡感覚に今更ながらに驚きました。弱小プロダクションで制作・脚本もほとんど兼務してきた人だから気骨があるんでしょう。こうい…

誘惑

★★★★★ 2023年11月20日(月) シネヌーヴォ 千田是也と芦川いずみ、左幸子と葉山良二、渡辺美佐子と安井昌二の3つの恋バナが主軸となるが、どれも多分にライトである。それでも、その周辺の多彩な人物群像の関わりを適宜捌きながらグイグイ物語を推し進める…

地球防衛軍

★★ 2023年8月10日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 この巨大ロボはモゲラというのだが、篇中その呼称は出てこない。後付けであろう。モグラみたいな見てくれだからモゲラでいいじゃん、とまあ大方そんなとこなんでしょう。 村で盆踊りの最中、山で異変…

美しきセルジュ

★★★ 1999年5月23日(日) テアトル梅田2 嘗ては強烈な輝きで主人公を惹きつけたという設定のセルジュが丸投げにクスブった様しか見せないので主人公が何故にかくもその救済に拘るのかが伝わらない。正直イライラする。しかもラストで物語に決着もつけないでは…

ニューヨークの王様

★★★★ 2023年1月7日(土) シネリーブル梅田2 チャップリンが赤狩りを逃れて欧州に亡命してお尻ペンペンとばかりに最後っ屁をかました作品らしい。今回見直して初めて腑に落ちました。子どもの頃、テレビ放映で見たときは全然面白くなくてちゃんと見てなかっ…

仇討崇禅寺馬場

★★★ 1999年11月20日(土) テアトル梅田2 折り重なる悪い偶然に翻弄されて心ならずも堕ちていく主人公の自責に苦悩し不条理に煩悶する様が今ひとつ淡泊に過ぎる。一筋縄でない物語を語るに流麗で正確だがケレンとハッタリと過剰を良しとせぬマキノ演出向きの…

青空娘

★★★★ 2001年1月20日(土) テアトル梅田2 タイトルそのままの抜けの良いカラー画面の中で、いい調子で飛び交うロジカルで歯切れのいい台詞の気持ちよさ。そして、タイトルロールとは正反な若尾の粘液質のキャラが醸し出すギャップがやけに色っぽい。(cinemasc…

東京暮色

★★★★ 1994年3月5日(土) ACTシネマテーク 小津後期の予定調和の世界から逸脱した感情の発露。諦念と悔恨と嗜虐の快楽。有馬稲子のキャラは虚無の深淵に片足を掛け成瀬的ヒロインをも凌駕する。彼女の周辺の若者像もアプレ感を横溢させ老人的親和な違和感が…

カビリアの夜

★★★★★ 1994年7月16日(土) ACTシネマテーク ジェルソミーナの延長にあるカビリアだが描く視点はより冷徹でてらいがない為、かえってストレートに感銘を呼び起こす。聖母寺院の参拝シーンのいかにもなバロックテイストに『甘い生活』へと向かう巨視感の片鱗…

情婦

★★★★★ 1994年6月23日(木) シネマアルゴ梅田 どんでん返しが巧緻であるだけに止まらない。小道具・大道具への偏執的拘りと演技陣の神懸かりなアンサンブル。ロートンは自家籠中の役を極めつけで演じ映画を文字通り背負うが、それよりもディートリッヒの欧州の…

昼下りの情事

★★★ 1993年5月26日(水) シネマアルゴ梅田 おっさんが小娘にメロメロという設定が生半可で振り切れてないので薄ぼんやりしてる。アンチモラルを厭わないワイルダーがクーパーに遠慮した本懐でない妥協作。そんなこんだで列車を使った王道なラストが来るのだが…

どん底

★★★★ 1990年10月13日(土) 日劇シネマ 精緻を凝らしたセットに幾人ものプロ役者と素人をぎゅうぎゅうに詰め込み圧力釜で調理した料理のような息苦しさだが、各シークェンスのライブ感は黒澤のマルチカメラ使用が最も成功した映画に思える。煮詰り沸騰する人間…

蜘蛛巣城

★★★ 1990年10月13日(土) 日劇シネマ 中世の西洋には確実に存在した「魔」を日本の戦国時代に移植するに「能」で装飾してみた。それらしくは見えるが装飾は本質には遠い。バタ臭い和人黒澤の限界だろう。ラストは確かに傑作だが他はどうも…特に魔女はそりゃな…

戦場にかける橋

★★★★ 2011年2月12日(土) TOHOシネマズ梅田7 本来なら橋建築の過程にこそ尺を注ぎ序盤で振った日英の精神風土の対立が融和する様をこそ見せるべきが、ホールデンパートが余剰で緩い。が、しかし、多重な思いが錯綜し混沌の詠嘆を紡ぐ世界遺産なラスト…

灰とダイヤモンド

★★★★★ 1982年8月14日(土) SABホール ネオリアリズモな乾いた即物感と詩的なケレンが混在して統制されている。戦車と民衆の混乱のリアルな市街から隔絶されたホテルのバーの文学的静謐。その構成の妙。挫折感の表現も充分恒久耐性を持つが、それでもチブル…

最前線

★★★ 2019年10月20日(日) プラネットスタジオプラス1 低予算の小隊ものの戦争映画って山ほど作られてきたんやろうな。 とは思うが、第二次大戦を舞台としたものが主で、不思議とベトナム戦争や中東の戦争が舞台になるとあまりないように思う。 そうでもな…

パリの恋人

★★★★ 2013年10月6日(日) MOVIXあまがさき2 序盤はもたついてるが、場がパリに移ってからの多幸的躍動感は素晴らしく、オードリーも茶目っけ満載のオーラを発散し、アステア&トンプソンの老練実力者と好コラボを形成している。廉価版『マイ・フェア…

さすらい

★★★ 1980年9月13日(土) SABホール 2度とは戻れぬ過去にしがみついて虚無と絶望の狭間をたゆたう様が、アントニオーニの後のグエッラ共闘作品のような透徹された先鋭ではなく物語の枠に未だ拘泥しており緩く平凡に感じられる。急転直下に流れを断ち切るラ…

死刑台のエレベーター

★★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 撮影と音楽の先鋭に加え時間芸術たる映画の本質にも肉薄するその天才が或る意味完璧過ぎて寧ろ嫌らしい。ロネとモローの能面演技の深層に虚飾の下のパッションが焔の如く垣間見える瞬間は終ぞ無い。無…

あこがれ

★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 あこがれのお姉さんが… 自転車で疾走しスカートがめくれ上がる。 テニスに興じてスコートがめくれ上がる。 と、まあ、少年の青いムラムラが炸裂するのだが、そこはそこ、何せトリュフォー先生ですから…

四十挺の拳銃

★★★ 2016年1月9日(土) プラネットスタジオプラス1 男たちの能天気な入浴シーンや何故かの歌曲挿入の何も考えてなさ気の天然の一方、棄てられ男の顛末やラストガンファイトの容赦の無い残虐嗜好。その混在にどうにも性格分裂気味の居心地の悪さがある。4…