男の痰壺

映画の感想中心です

2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

映画 2019

2010年代が終わろうとしている。ミレニアムだなんだと騒いだのがそんなに昔のことと思えないのにあれから20年が過ぎたわけで、歳もとるわけだわいと、のほほんと感慨にふけるより、寧ろ最近では人の一生が有限であることが心にじわじわと浸食してくる…

エンド・オブ・ホワイトハウス

★★★ 2019年7月7日(日) MOVIXあまがさき8 自国中枢を白昼蹂躙される。覚悟を決めたテロルの呵責無いジェノサイド。ナウな時代感覚で掴みは良かったのだが、まんま『ダイ・ハード』展開が透けてくると一気に冷めた。1人のヒーローと能無し上層部。お…

じゃりン子チエ

★★★★ 1981年4月13日(月) 伊丹グリーン劇場 『ハイジ』なんかで培った徹底現地ロケハンを大阪に導入し写実の中の虚構とナンセンスが際立つ。時折見せる戯画的なチエの横顔がリアル少女してるのが高畑の趣味か…。限り無くバカな父親と果てしなく優しい母親が…

パラサイト 半地下の家族

★★★★★ 2019年12月28日(土) TOHOシネマズ梅田9 【ネタバレです】 上映冒頭にポン・ジュノ自身の紹介映像が出て、これから見る人のために絶対ネタバラシしないでくださいとあった。そこまで拘るびっくり仰天のものではないが、大きく2度にわたってドラ…

3人のアンヌ

★★★★★ 2013年7月11日(木) シネマート心斎橋2 歩行運動の反復を繋ぎとして多用する点もあるが、俯瞰的物言いに全く嫌味がない点に於いてロメール的だと言っておこう。異郷で人は仮面を脱ぐ。当て書きされたかのような自我演技の狭間から生身の可愛い女が顔…

ル・ミリオン

★★ 1981年4月19日(日) SABホール スラプスティック的な題材だがスピードが無くミュージカルめいた面もあるが躍動感に欠けかったるい。何よりお金を扱いながら全てに於いて切実味が無くお遊びみたいな話なので甘すぎるヒューマニズムのみが前面に浮き上…

ゾンビ

★★★ 2019年12月25日(水) シネリーブル梅田2 全てのゾンビ映画の頂点に立つといわれている本作だが、バージョンアップされた後年の作品群を見た目でみると、やっぱどうなんでしょうね。 だって、最近のは噛まれたら30秒もせんうちにゾンビになるし、高速…

タイムマシン

★★★ 2019年7月11日(木) トビタシネマ 原作未読で予想外の展開に戸惑う。我々凡人には有史のスパンでしか想像がつかないのに、いきなり80万年後と来た日にゃあ呆然とする。新解釈を極力廃した世界は『猿の惑星』を筆頭にした派生のオリジナルだとしても、…

殺しのドレス

★★★★★ 1981年5月2日(土) 阪急シネマ 3面記事的えげつなさは幼稚で洗練されてないが、一方で無邪気なまでの技巧オンパレードで恥も外聞も無く押しまくる。『サイコ』に対するオマージュとしても高度な達成。精神的な成熟レベルの幼児性といい天才的な技巧…

★★★ 2019年12月22日(日) シネリーブル梅田4 若いころ、この映画の製作ニュースを聞いて見たいと思った記憶がある。 しかし、結局公開されることがなかった。 今回見て、これじゃあしゃあないわなと思った。面白くないっていうかわけわかんない代物であっ…

さよなら渓谷

★★★★ 2019年7月11日(木) シネリーブル梅田2 『砂の器』よろしく付加された「道行き」が受難と贖罪に纏わる怨恨パワーの凝結を示現して宗教的荘厳にまで至るかの見せ場なのだが、それでも、そこを敢えて描かない原作の志が高く見えてしまう。とは言え、全…

バトルクリーク・ブロー

★★ 1981年4月29日(水) 伊丹ローズ劇場 ジャッキーが毒にも薬にもならない優等生チャイニーズとしてお膳立てされた設定に収まりきって歯痒いことこの上ない。加えて同じ道の達人が闘うのならまだしも異種格闘技がショーとして成立しないことは証明されてし…

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け

★★★★ 2019年12月24日(火) 大阪ステーションシティシネマ1 1作目を見たのが高校生のときであり、梅田のOS劇場で見たのだが、満員で1番前の1番端の席しか取れず見上げたシネラマの巨大スクリーンが歪にゆがんで見えたのを覚えている。それから半世紀近く…

ベルリンファイル

★★★ 2013年7月14日(月) MOVIXあまがさき4 序盤から世界中の対立軸をテンコ盛りに登場させてはみたが、とっ散らかしただけで俯瞰的視座が無く設定は雲散霧消。結局、中盤以後は得意分野の男と女と骨肉相食む兄弟の確執に終始。それでも、刹那を体現す…

狂った果実

★★★★ 1981年5月4日(月) ダイニチ伊丹 80年当時としてもここに描かれた社会的ヒエラルキーは時代から乖離しているかのように思えたが、確信的に被虐と浪花節をブロウアップした演出が見る者を揺さぶり続け虐げられし者の爆発的破壊衝動に同期させられる。…

怪盗ルパン

★★★ 2019年12月21日(土) シネリーブル梅田4 ルパンっていったら今では三世しか思い浮かばなくなってしまったが、俺の子供のころは、まだ一世がルパンであって、そのイメージは主にポプラ社が刊行していた少年向けの「怪盗ルパン」シリーズで培われたもの…

ローズマリーの赤ちゃん

★★★★ 2013年7月21日(日) 第七藝術劇場 メジャー仕様の『反撥』焼き直しで、決定的に主人公の追い込みが緩いのだが、自壊するのではなく他者からの侵食によるあたり、米国に内在するトラウマを焙り出している。ジャジーな雰囲気と随所のポランスキー流夢幻…

レイズ・ザ・タイタニック

★★ 1981年5月5日(火) 伊丹ローズ劇場 全てはタイタニック引き揚げシーンに収斂すると言うより、そこだけ押さえとけば良しというかの如き地味つまらなさで、ロマンティシズムはもとより諜報戦や工作員の哀感など欠片も見受けられない。華ない役者陣の中ジェ…

家族を想うとき

★★★★★ 2019年12月21日(土) シネリーブル梅田1 まるで俺の家族の話みたいだと思った。 そしてそれは、この日本にの今においても少なからぬ範囲で当てはまる物語だと思う。 運送業に於ける過酷な実態が取りざたされて久しいが、それでもアマゾンに抗したヤ…

フォレスト・ガンプ 一期一会

★★★★ 2013年7月28日(日) 大阪ステーションシティシネマ5 為すがままの逍遥たる人生を語るに色目を使い過ぎ。ニュース映像とのCG合成には悪ふざけでしかなく、藁しべ長者的成功譚である必要すらない。所詮これは、ロックに彩られたアメリカ近代史の全肯…

天井桟敷の人々

★★★★ 1981年5月9日(土) 三番街シネマ3 占領下故に仏活動屋の気骨が凝縮された大通俗絵巻のスケールと緩み無さだが、大衆文学的人物配置のなか、役者や無頼詩人のキャラ造形の安定的強度に比し、ギャランスもバチストも今いち生半可で牽引力を持ち得ない。…

屍人荘の殺人

★★★ 2019年12月16日(月) TOHOシネマズ梅田3 まったく予備知識なしで見た。 まあ、予告篇から受ける印象は、ゆるい学園ミステリーで、往年の角川映画みたいなもんだろうと思っていた。 たいして見る気もなかったが、時間に合う映画がこれしかなかった…

ペーパーボーイ 真夏の引力

★★★★ 2013年7月27日(土) テアトル梅田1 何も一から十まで描かずともよいが『おもいでの夏』的側面が主線である以上キッドマンの獄中犯マニアである心的内面に今ひとつの突っ込みが欲しかった。終盤が切ないだけに尚更。真夏の倦怠を弥増す変態ショーは本…

イエスタデイ

★★ 1981年5月17日(日) 梅田ロキシー 何がどうということもない真っ当な悲恋ものであり、それ自体何ら悪いことでもないのだが80年代に登場した割には芸無さ過ぎな促成栽培の仕事。主演女優も清楚だが淡白だし、演出もお真面目でケレンの欠片もない。これ…

決算!忠臣蔵

★★★★ 2019年12月3日(火) 梅田ブルク7シアター3 あまり見る気をそそらない映画であったが、中村義洋の「殿、利息でござる」が案外に良かったのを思い出したのもあるし、モロ関西弁の予告編に惹かれたのもあるし、ダウナーな岡村の演技もちょっと興味があ…

パシフィック・リム

★★★ 2013年8月11日(日) MOVIXあまがさき3 ヘリで吊り下げ移送する絵やギッコンバッタン足踏み操縦の真剣さに局所では愛を感じるのだが、ジャンルへの横断的なリスペクトを謳いつつも所詮は『エヴァ』1本かぶりの底浅を露呈するにつれ俺の期待は急速…

ANO ANO 女子大生の基礎知識

★★★ 1981年5月4日(火) ダイニチ伊丹 女子大生への社会学的考察は無くとどのつまりどうでもいい話だってのは皆十分に判った上で、それでも精一杯努力し貨幣対価に相当するものを創ろうとすることは素晴らしいことだ。ロリータな森村陽子はロマンポルノ史上…

国家が破産する日

★★★ 2019年12月8日(日) シネマート心斎橋2 1997年の韓国の通貨危機を描いたものということだが、当時、日本もバブル崩壊の長引く余波がより深刻化した時期で、俺のいた会社もつぶれて、正直、お隣さんの国でこういうことが起こっていたことさえ知らな…

野いちご

★★★★ 2013年8月11日(土) 梅田ガーデンシネマ2 冒頭の「夢」こそ独表現主義的にエッジが効いてるが、物語が転がり始めても終ぞ大したことが起こらない。人当たり悪く妻が浮気した如き命題で大上段に構えすぎ、『第七の封印』同様若者が対置されるが如何せ…

ブラックホール

★★★ 1981年5月5日(火) 伊丹ローズ劇場 『2001年』と『SW』という2度のエポックを通過したSF映画史に突如「マッドサイエンティスト」や「ロボット」という50年代アイテムをシャレじゃなく大真面目に復刻されても困る。ディズニーの子供向き映画…