男の痰壺

映画の感想中心です

屍人荘の殺人

★★★ 2019年12月16日(月) TOHOシネマズ梅田3

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まったく予備知識なしで見た。

まあ、予告篇から受ける印象は、ゆるい学園ミステリーで、往年の角川映画みたいなもんだろうと思っていた。

たいして見る気もなかったが、時間に合う映画がこれしかなかったのもあって、浜辺美波を鑑賞するだけでもいいと割り切っていた。

 

【以下ネタバレです】

予告篇はものの見事にミスリードを誘っております。2つの点でびっくらこいた。

いい意味ではない。そんなんあり?って意味です。

①規定路線ですすんでいたジュブナイル展開が、やぶからぼうにゾンビ映画に変貌する。伏線も何もあったもんじゃない。もう全篇ゾンビ映画であって、ミステリーとしての体裁は維持するが、そこにゾンビは関与するわけじゃない。しかも温い。

②ポスターはじめ宣材は3人の男女がメインのように謳っているが、中村倫也は序盤で退場してしまう。俺は、どうせどっかで再登場するんやろとずーっと思って見ていたが、再登場せえへんのです。(まあ、最後にちょっとあれですが)

 

中村の退場が痛かった。神木は巧いんだが正直見飽きた感があり、笑いのツボを絶妙にくすぐる中村をもっと見たかった。

浜辺は、どうやろか、コメディエンヌとしては振り切れていないし、速い台詞回しをこなせてない気もする。そこを逆手にとった序盤のギャグは苦肉の策に見えた。「君の膵臓」では輝きがあったが、今作ではそれは消失した。

 

スケコマシ目的のサークルを舞台にし、学園内ヒエラルキーを撃つべきターゲットにしている。「愚行録」でも同様の題材を扱っていたが、そのへんも食傷。

そんなもん、取り上げる価値さえもないやろと思うのだ。

 

学園ミステリーの緩い体裁を、あっち方向からの荒技で混濁するのだがジャンルに対する覚悟がないので舐めてる感しか残らない。それでも浜辺の悪球を好捕し続ける神木といった危うい均衡が映画を一応牽引。本線の学内ヒエラルキーネタはうんざりだ。(cinemascape)

 

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