男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【かあ~かの】

鏡の中にある如く

★★★ 1993年1月4日(月) ホクテンザ1 後の『沈黙』や『冬の光』の圧倒的とも言える孤独地獄は未だ突き詰められてはいない。完璧なニクヴィスト撮影の深度をもってしても展開はと性と北欧的神秘義に依存している。ベルイマン印のキーワードのオンパレードだが…

渇望

★★★★★ 1993年1月4日(月) ホクテンザ1 瘧のような圧倒的絶望表現の凄まじさ。過去への悔恨と未来への苦渋をいや増させる状況の設定と妥協無きドラマトゥルギー。正直しんどいが、それを経ないと見えない一抹の希望もある。ニクヴィストとの共闘未だ来ぬとも…

カナディアン・エクスプレス

★★★★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 深夜の片田舎の駅の風情など列車ものの情緒を過不足なく織り込み、ほぼノンストップで突っ走るアクションの佳作。ハックマンの安定感で物語の芯も素晴らしく座る。ハイアムズの娯楽アルチザンとしての特質全開。(cinema…

彼女について私が知っている二、三の事柄

★★★ 2003年1月235日(火) テアトル梅田2 パリ郊外で圧倒的質量ですすむ再開発とニュータウンの主婦売春。コンセプトは驚くほど分かりやすく魅力的なのに、哲学的モノローグを散りばめ強引に自問自答の展開へと持っていこうとしている。(cinemascape) keniron…

勝手に逃げろ 人生

★★★★ 2003年5月22日(木) テアトル梅田2 ミエビルはヨーコ・オノみたいなものなんだろう。だとすれば、これはゴダール版「ダブル・ファンタジー」で、となれば当然カリエールの手によると思われるユペールパートに尽きる。ブニュエル臭溢れる執拗な変態味が…

カオス・ウォーキング

★★★ 2022年3月26日(土) 新世界国際劇場 心で思ってることがバレバレになってしまう。 もし、そうなったらと思うと、己の下衆性根が白日のもとに晒されてかなわんわーと思う一方で、みんなそうなんやからええかと思ったり。だって、多かれ少なかれ人間なん…

鏡の女たち

★★★★ 2004年3月6日(土) リサイタルホール 途方もない喪失感や内向する静かな苦渋を描いて60年代のレネやアントニオーニ作品を想起させるし意識もしてると思う。細密に割られた編集技巧は粋を極め映画のダイナミズムとは視点の縦横な切り替えにこそあること…

隠し剣 鬼の爪

★★★★ 2004年12月11日(土) 梅田ピカデリー4 謙虚に生きても世評や恫喝を己が信念のもと跳ね返す男の生き様。しかし、武士社会のロジックには従わざるを得ない…ここまではいい。しかし、仕事人みたく安易な解決の果てに辿り着いた安寧には安直さを感じた。役…

カサブランカ

★★★★ 1992年6月22日(月) 梅田コマシルバー イジイジした女々しい男が最後に男をあげる格好良さと身勝手そのものだが男心を引きつける女のリアリズム。それは、実は説話的に醸成されたボガートとバーグマンのイメージとは真っ向から逆説的。そこにこそ深みが…

風の輝く朝に

★★★ 1992年8月1日(土) アクア文化ホール 伝説には熱狂をもって形成される過程と時代の変遷とともに上澄みが剥落していく課程がある。俺は後者に於いて作品に遭遇したわけだ。香港映画の愛しくも悪しき似非主義はロマンティシズムの形成にはベタ以外の何者で…

帰らざる河

★★★ 1992年9月13日(日) テアトル梅田1 色気に頼らぬストレートなヒロインを演じるモンローのミスマッチぶりが微笑ましくもあるが、矢張り何と言っても冒頭の紫煙たなびく酒場での「ノーリターン」。空前絶後のオーラを発しまくるワンシーンのみで本作は永久…

風たちの午後

★★ 1992年9月23日(水) スペースベンゲット 思い恋い焦がれるという情念が画面から沸き上がって来ずに、不思議ちゃん的少女性だけを執拗に抽出するのでうざいことこの上ない。それをモノクロームはともかくあからさまなハイキー画面で彩るのは見え透いている…

陽炎

★★ 1992年9月20日(日) 日劇会館 藤純子みたいな嬢さんキャラが演じる女博徒であればこそ出てた悲哀や筋を通すというロジックが能面的樋口では今一出ないうえエロくも下世話にも成りきれない。従って上っ面をはったりのみでトレースした五社演出は浅薄で徹底…

風花

★★★★ 2021年12月5日(日) シネヌーヴォ 文部省の高級官僚とピンサロ嬢という社会的ヒエラルキーの両極の2人が、ひょんなことから2人旅。って言うと仕掛けが見え見えな気もするのだが、実は大して仕掛けは機能しない。 だいたい、浅野は高級官僚に見えない…

影の車

★★★ 1992年11月21日(土) 日劇会館 高度成長期真っ直中の市井の片隅で生きる一般庶民の平々凡々たる日常の緻密な積み重ねの連続には或る種の既視感を覚えて堪能したのたが、今更のトラウマ話に映画が踏み込み始めると、どうでもよくなった。現像処理でのハイ…

解散式

★★★★ 2006年10月28日(土) 日劇会館 任侠世界から仁義のなき世界へと移ろいゆく時代の境界という言葉が文字通り湾岸に並び立つ石油コンビナートで示現される。そして、「創造社」の2人の役者が旧き侠道の破壊者として登場するのも象徴的。的確な作法で深作…

課長 島耕作

★★★ 1992年12月12日(土) 天六ユウラク座 お洒落な部署で女にモテまくりでも原作の画づらと俊ちゃんが余りに乖離して皮相なことに不快感が起こらない。起用は成功であった。派閥争いだインサイダー取引だとTV作家が描くサラリーマンとはド派手なだけで内実…

母べえ

★★★★★ 2008年2月2日(土) 梅田ブルク7シアター2 父親の不在を補うべく多くの人々が醸す賑わいの至福。そして、人々が順次欠落しゆく喪失のドラマ。劇的誇張皆無な物語を精緻な心象描写で紡ぐ匠の技。今回は表情のクローズアップが内包する画力に撃たれた…

火宅

★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 見る人が見たら技術的に凄いのかもしれませんが、なんせアニメーションの技術的な造詣もないので、どうしても表層的な物語への根本的な違和感が拭えなくて気になります。 女性は悪いことをしでかしたわけではない。 …

海軍特別年少兵

★★★ 1991年9月29日(日) 日劇シネマ これからだという人生を戦争という大義の為に散らしていった少年達…というのは今井のなかで『ひめゆりの塔』の少女達と対を為す撮らねばならないものだったのだろう。しかし、残念だが新味も無く可も不可も無い。(cinemasc…

崖の上のポニョ

★★★★ 2008年9月20日(土) TOHOシネマズ梅田6 婆あ連中から母を経て幼稚園の同級生からポニョに至る「女」という存在に対しての5歳の少年宗介のノーブルな有り様。実際、この年頃の男の子は全てに正対し疑わない。敢えて世界から孤絶させてその関係性…

画家と庭師とカンパーニュ

★★★ 2008年11月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 至高とまでは言わずとも、前半のこの田舎のアトリエの緑と空気と陽光と無為なダイアローグの応酬の調和は何かを現出させる寸前までは迫ったかに思えた。物語を語ることに従属した後半が惜しまれる所以だ。ロメ…

カジュアリティーズ

★★★ 1990年5月27日(日) トビタシネマ 今更題材を『アンタッチャブル』では配役の絶妙なアンサンブルとポイントゲットする超絶ケレン描写で補完し得たが、同じく戦争ものでの今更題材となると、ベトナムは生々し過ぎるし役者も若手で軽量感は拭えず、ひたすら…

悲しい色やねん

★★ 1989年1月8日(日) 長崎東映パラス 読んではいないが小林信彦原作なら東映実録路線を念頭においたものなのだろう。ならば、そこを一通りは通した上でパロってくれないとと思うのだ。搦め手からの捻ったキャスティングも結構だが冷めた諧謔だけで本質は上滑…

風と共に去りぬ

★★★★ 1989年11月18日(土) 新世界劇場 些か波瀾万丈過ぎな展開なのに、何がどうであろうと有無を言わせぬ堂々たる物言いを貫徹している。その感動的なまでのブレの無さ。栄光の汎アメリカ時代の幕開けを担う単視眼だが確信的強靱さ。下手な訳知り顔を捨て諸手…

戒厳令

★★ 1988年7月24日(日) 吹田映劇 絞りを水準に押さえた長谷川元吉のモノクロ映像は驚くほどシャープで最高到達点だと思うが、歴史(二・二六)や思想(ファシズム)からさえ隔たったところで吉田が描こうとしたものは余りに高踏的であり既存の映画文脈から遊…

会社物語 MEMORIES OF YOU

★★★★ 1988年12月18日(日) 長崎松竹 物語としては企画もんの域を出ないのかもしれないが、この映画全体を覆う終末的寂寥感は間もなくピークアウトする日本経済を予見していたかのようだ。勿論市川準にはそんな先見性はない。ただ、無責任男たちの挽歌として俺…

かいじゅうたちのいるところ

★★★★★ 2010年1月27日(水) 梅田ブルク7シアター4 正直、島での物語が少年の魂の救済に寄与する枠組みは見えてこない。が、この愛と孤独にのたうつ者たちのコミューンの崩壊と再生譚は60年代カウンターカルチャーの愛すべき芳香に充ちている。キャロルの…

カティンの森

★★★ 2010年1月28日(木) シネリーブル梅田2 深度ある撮影と真摯で節度ある演技。時系列に単線な展開の前半は良い。しかし、「その時」を経過し分散された物語は暗澹たる閉じた過去と未来へとのみ向けられる。それが悪いとも思わないが、なら収斂する作劇無…

哀しみのトリスターナ

★★★★ 1986年3月9日(日) SABホール 2転3転する力関係の力学的帰結にブニュエルが興味ある訳なく因果応報の無限地獄の提示こそが旨なのだ。濡れた古都トレノの佇まいが叙情的で、ヒッチ垂涎のブロンド美女の「ああ…脚が…」といったサディスティックフェチ…