男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【う】

浮き雲

★★★★ 2002年10月22日(火) 扇町ミュージアムスクエア こういう毒を廃したオーソドックスな物語を志向せざるを得ないところにカウリスマキの転回というより限界を感じた。50年代アメリカ映画を明らかに意識した序盤は巧すぎてかえって作為的だ。それでも煙草…

美しき獲物

★★★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 冒頭からチェスの選手権試合という特異な設定を相当に入念に描いていく割には展開には殆ど活かされないというのが若干に歪でありどっちかと言うと好きである。90年代にミッキー・ロークと並び立った思い込み男優ランバ…

ウエスト・サイド・ストーリー

★★★★ 2022年2月13日(日) 梅田ブルク7シアター3 オリジナルの冒頭、静謐の大俯瞰から急降下したカメラが捉える指パッチンという余りにインパクトのある導入は、さすがにそれをやっちゃあおしまいよでスピルバーグも準えるのが憚られたんだろう。総じて、…

ヴァイブレータ

★★★★ 2004年11月16日(火) 東梅田日活 あくまで自己完結した女の理想郷願望話には「はあ、さいでっか、よろしおましたな、ほなさいなら」としか思えないが、トラックが行く冬枯れの辺境のロケ効果が抜群で、それを一切装飾せずにスクリーンに移植し得ている。…

麗しのサブリナ

★★★★ 1992年7月16日(木) 梅田コマシルバー 超弩級の新星に強面のベテランボガートを配したのが常套手段にしても填ってる。一方でシニカルなホールデンも良い味で配役の妙を堪能すべき映画だろう。オードリーは同じワイルダーなら『昼下りの情事』の方を買う…

宇宙戦争

★★★ 2005年7月9日(土) 梅田ブルク7シアター6 日常に突如襲い来る非日常の切り込まれる手際の鮮やかさと倍加するカタストロフの怒涛の展開には確かにテロが対岸の火事で済まなくなった時代を表象して傑作。しかし、だからこそ、後半では原作の枷を外し同時…

ヴェラ・ドレイク

★★★★ 2005年8月13日(土) テアトル梅田1 泣くのは何時も女…的メッセージ臭とマイク・リー的「片隅」臭がこれ以上濃厚になるならキツいなと思う前半に対して後半は男達4人の赦しと慈愛の物語へと転調する。巧みな作劇。時代色創出の為の仰角使用のフレーミン…

運命じゃない人

★★★★ 2005年9月15日(木) 梅田ガーデンシネマ2 時制をズラし反復させるエクリチュールは超絶にロジカルで巧緻と思うがとりわけ斬新とも思わない。小技の効いた演出(足には参った)もあるが、根底に流れる野郎同士の「友情」ってのが打算も虚飾もなくただ当…

ウルガ

★★★ 1992年11月29日(日) 大毎地下劇場 文明圏の視点での非文明圏賛歌的語りが既に胡散臭い…ことはミハルコフは承知の上だとしても、その異文化の邂逅はドラマトゥルギーを産み出すわけでもない。寧ろ、映画に描かれた以後の近代化の侵食がもたらしたものにこ…

ウェンディ&ルーシー

★★★★★ 2021年10月24日(日) シネヌーヴォX ケリー・ライカートって知りませんでしたが、処女作が1994年ですからキャリアは20年以上なんですね。遅ればせながら知り得で良かった思います。 車で放浪する女性ってことで、今年の前半の話題をさらった「…

運命の逆転

★★★ 1991年6月9日(日) トビタシネマ さしずめ、日本だと清張原作、野村芳太郎監督作みたいなもの。胡散臭さに於いて当代随一とも言うべきアイアンズとクローズの充実演技と米ブルジョワの生活の丹念な描写の珍しさが見所。しかし、モデル存命中で結論付け出…

宇宙大怪獣ドゴラ

★★★★ 1991年11月17日(日) 日劇シネマ モノクロームのレトロ東京上空にクラゲの如くに幽玄な姿で浮遊するドゴラの造形が怖いと同時に得も言われぬ味わいで棄てがたい。人工衛星に端を発したマクロな視点が急転直下にセコい宝石強盗へと転回していく味わいも又…

ウォンテッド

★★★★★ 2008年9月20日(土) 梅田ブルク7シアター1 『マトリックス』的選民思考に立脚したインスタントヒーローかと思えば肉を切り骨を断つその気概は安寧世界には依っていない。そこを買う。で、後は車と列車の使い手としての映画の王道を歩める選民として…

ヴァン・ヘルシング

★★ 2008年10月25日(土) トビタシネマ 「怪物くん」にでも出てきそうなベーシックモンスターたちのお子様ランチボックスで怖くない。しかも、このジャンルの多くの過去作の断片を寄木細工のように継ぎ接ぎした作りは厚顔無恥過ぎる。ヘタにCGばかりが気取…

宇宙の法則

★★★★ 1990年7月28日(土) シネマヴェリテ 宇宙の法則の前では些末な事象に過ぎないとしても日常の生活の中にも衝突や共振のドラマは生じる。古尾谷と長塚の絡みが魅せる役者力。その一方で凄まじく短いカットの連鎖に強烈な長回しを織り込み篠田の自然光撮影…

WALL・E ウォーリー

★★★★ 2009年1月9日(金) 梅田ブルク7シアター4 ミクロからマクロへ、接写から鳥瞰へと縦横に往還する前半の地球でのテクにはCGの完成形とも言える細密描写もあり陶然とした。しかし、中盤以降のディストピアの、毒は認めるが陳腐な出来に主演2人も在来…

ウンタマギルー

★★ 1990年8月4日(土) アクア文化ホール それをこそ高嶺が描こうとしたことを理解した上でもダルい。延々と下手な田舎芝居を見せられてるような感じを小林・戸川の客演が一層際だたせてしまう皮相さ。ましてやセイルズをやだ。寸分でも怒りをこそ見せて欲しか…

ウォッチメン

★★★★ 2009年4月16日(木) 梅田ブルク7シアター2 60~70年代のパラレル米国史観のミクロな細緻描写に折々圧倒され又郷愁も感じる一方、突如、児戯にも見えるパロディや下手なポップスの導入に戸惑うが、その壮大な混沌をゴリ押す力技はトータルでは買…

浮雲

★★★★ 1990年11月4日(日) 日劇シネマ 敗戦の荒廃と虚無の中、仏印→東京→屋久島と流されて行く2人の離反と吸着を繰り返しダメになっていく腐れ縁の遣る瀬無さが堪らない。中盤の伊香保温泉の煌きが誘う新たな地獄。投げやりな高峰秀子の表情が目に焼き付いて…

ウルトラミラクルラブストーリー

★★★★★ 2009年6月13日(土) なんばパークスシネマ3 冥界とシンクロする町で優しき人々に見守られつつ主人公は彼岸と此岸を往還する。そして、死者と生者が招き寄せられ始まる物語は他者を礎に人が再生することの肯定に行き着く。何という前向きな人生観。寺…

海辺の彼女たち

★★★★ 2021年5月22日(土) シネヌーヴォX 外国人技能実習生の過酷な現実を描き、それを取り巻く日本という老齢社会が陥ってる労働需給のアンバランスを穿つ、 みたいな社会システムへの言及は中盤以降に後方に退き、別のテーマが浮上する。 そういう意味で本…

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ

★★★★★ 2009年10月20日(火) TOHOシネマズ梅田9 冷めたグダグダの果ての手と手を繋いでの一過性の休戦。連綿と続く男と女の腐れ縁への諦念は生な野郎が語っても小賢しい。根岸には未だ及ばぬにせよ溝口・成瀬の先陣を追って欲しい。役者も良いがオーソ…

裏アカ

★★★★ 2021年4月9日(金) シネリーブル梅田4 裏アカウントって言うけど、およそSNSに投稿してる大方は本名名乗ってないんだからみんな裏アカやん。 とどうでもいい話です。 物語の骨子は目新しくもない。 【以下ネタバレです】 仕事に打ち込んできた女性…

ウディ・アレンの 夢と犯罪

★★★★ 2010年4月5日(月) 梅田ガーデンシネマ2 余りに何の変化もない直球のギリシャ悲劇もどきで、肝心の修羅場を避けるアレンの根性無しぶりを情けなくも思うが、それを今更言いたくもない老練の余裕綽々に悪ガキ2人の軽い芝居の脱深刻の妙。こうも打つ手…

美しき結婚

★★★★★ 2010年4月1日(木) 梅田ガーデンシネマ1 クソな人生観を持つ主人公に対しロメールはニュートラルで、その境地の衒いのない美しさこそ至上。主人公をド痛い境地に陥れ断罪するかと思えば、性懲りもなく開き直らせる人間愛。ル・マンの片田舎の濡れた…

海燕ジョーの奇跡

★★ 1985年2月16日(土) 観光会館地下劇場 モラトリアム身上の藤田が撮るには徒に劇的であったりするものだから、どっちつかずで主人公の逃亡劇から何を浮かび上がらせたかったのか皆目わからない。鈴木のカメラもマニラを同化も異化もし切れず結局は何の魅力…

ウーマン イン レッド

★★★ 1985年6月9日(日) 友楽スカラ座 気が弱いのか強引なのかよくわからん主人公も不倫を扱いながらサラリと流すブラックな背徳も題材としては面白いのだがどうにも微温的でパンチが無いのでナンセンスは自走し損ねる。全盛期のメル・ブルックスならと思わせ…

ウルヴァリン X-MEN ZERO

★★★ 2010年6月26日(土) 新世界国際劇場 ミュータントたる悲哀もクソもないので、嫌気して逃避して絶望させられる表層的ドラマが全く琴線に触れない。終盤、どっかのサーガみたいに初作に連関するが放置された枝葉が気になる。まあ、飛んだり跳ねたり賑々し…

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

★★★★ 1984年2月15日(水) 伊丹ローズ劇場 非日常である原漫画を日常に引き寄せた後強引に捻って非日常へ解き放ち驚異的力業で隙間から浸食させる異世界。凝った映像で特に前半の夜のシーンは秀逸ではある。主要キャラを置き去り脇キャラ「メガネ」らをフィー…

裏窓

★★★ 1984年2月12日(日) ニューOS劇場 1点からのアングルのみで娯楽作を成立させるというアイデアを十全に駆使できる完璧な美術セットを手に入れながら慎ましやかなレンズ使いの古典品位。だが、それでも尚滲む出歯亀覗きのアンチモラル愉悦というファクタ…