男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【う】

ウンベルトD

★★★★★ 2016年5月5日(木) プラネットスタジオプラス1 矜持だけは残存するが最早生き抜く術を失した老人に対するデ・シーカのサディスティック視線は冷めた世間の衣を借り十重二十重に炸裂する。それでも愛犬依存な能天気ぶりがブラック。しかし少女の心折…

海よりもまだ深く

★★★★ 2016年5月24日(火) 梅田ブルグ7シアター3 母息子とか嫁姑といった家族間の感情の機微や軋轢を細緻リアリズムを折に触れ挿入し描くという点に於いて最早名人芸の域に達している。ただ名人芸すぎて観る側のハードルも上がっちまうのだ。本当の痛さや…

海の上のピアニスト

★★★ 2024年3月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 俺はトルナトーレの「ニュー・シネマ・パラダイス」の情に浸るだけの作風が嫌いな人間なので本作も敬遠してたのだが,今回再映されるのを機にどんなもんやろかと見てみました。で、やっぱこのおっさ…

VORTEX ヴォルテックス

★★★★ 2023年12月21日(木) シネリーブル梅田1 監督/ギャスパー・ノエ、主演/ダリオ・アルジェントとフランソワーズ・リュブラン、題材/老夫婦の認知症、手法/全篇スプリットスクリーン、とまあ語るべきスキャンダリズムがテンコ盛りの映画に思える、の…

ヴィレッジ

★★ 2023年4月23日(日) MOVIXあまがさき2 一言でいうと何の捻りもない話である。 社会的に底辺にいて最早諦め切っているような若者がいて、彼がチャンスを掴んで這い上がるのだが、それが棚ボタみたいなもんで自分で足掻いて掴んだもんでもない。それ…

美しきセルジュ

★★★ 1999年5月23日(日) テアトル梅田2 嘗ては強烈な輝きで主人公を惹きつけたという設定のセルジュが丸投げにクスブった様しか見せないので主人公が何故にかくもその救済に拘るのかが伝わらない。正直イライラする。しかもラストで物語に決着もつけないでは…

うなぎ

★★★★ 1997年11月16日(日) 岩国ニューセントラルⅡ 男の再生譚なのであろうが、贖罪とか予定調和な展開はかわされ、ただ幼児のように女性の懐中で甘えたいという今村の潜在願望が露呈した理想郷。対置された悪意の権化柄本の不気味と田口のドツボ感。一筋縄で…

嘘八百 なにわ夢の陣

★★★★ 2023年1月10日(月) TOHOシネマズ梅田9 前作の「京町ロワイヤル」が低調だったのでどうかと思ったが、ずいぶんと盛り返したなと思う。いい意味で冒険せず中位安定を目指して成功した感じだ。 一応、秀吉の7遺品とされるうちの未発見の7品目をめ…

大人の見る絵本 生れてはみたけれど

★★★★★ 1998年10月24日(土) 動物園前シネフェスタ2 焼跡の残滓も生々しく先行真っ暗な戦後不況真っ直中の日本でも、子供は純粋且つ強靱であり女房は優しく包容力があった。信じ難い理想郷を見たという驚きに充ちた驚愕の90分間。緩やかに移動するロングシ…

ヴァイラス

★★ 1999年8月29日(日) ホクテンザ1 人類バイ菌説が斬新な趣向に連結しない。基本設定が『リバイアサン』と同じで、それ自体が過去作から頂きまくって継ぎ接ぎしたような代物だった。そう次々と新趣向が涌いてくるものでもないにせよ2重のパクリ連鎖は臆面…

運動靴と赤い金魚

★★★ 2000年2月11日(金) カナートホール スポ根めいたマラソン大会をクライマックスに持ってき、しかも、あらずもがなのスローモーションで盛り上げるというのが、どうにも画龍点睛を欠く感じで、それまでの3分の2にわたる抑制された慎ましさが霞んでしまっ…

ウィング・コマンダー

★★★ 2000年8月19日(土) 天六ユウラク座 大体、幾つもの映画からインスパイアされたに決まってるゲームが鮭の回遊よろしく巡りめぐって映画化されたのだからオリジナルマターを付与することが本末転倒となるジレンマ。決してVFXは悪くはないが過去のこの手…

ウェールズの山

★★ 1996年11月24日(日) 徳山市市民館小ホール 人と人とが信頼し合うのは美しいことだが、そんな当たり前のことを直球で言われても今更どうしようもない。それが失われたものという立脚点に立たねば通用しないのではないか。確信的なら工夫が足りないし素なら…

美しさと哀しみと

★★★ 2001年4月11日(水) 高槻松竹 閉塞世界の京都を舞台にした、しんねりむっつりの耽美的世界。余りにしんねりむっつりし過ぎるあまり加賀まりこのヴァンプまでが埋没し、パッションの無い形骸世界のお人形さん達に見える。八千草の過去挿話も全体のバランス…

ウォーターボーイズ

★★★ 2001年11月15日(木) 動物園前シネフェスタ4 プチ周防化するのはいいが、お上品にまとまり過ぎ予定調和に安住してる。フィンガー5やPUFFYの楽曲に助けられてクライマックスは辛うじてカタルシスのようなものをもたらすが、マイナージャンルにいる…

裏切り者

★★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ1 のっぴきならない所に雁字搦めに追い込まれる展開が最高ランクの任侠映画に匹敵する。利権まみれのブルーワーカー業界の腐敗を描いて『波止場』から連なる系譜を感じ、ロートルスターの起用も小粋。ただ、室…

ウェディング・バンケット

★★★★ 1994年6月26日(日) パルシネマしんこうえん ゲイカップルに女1人という組み合わせに所詮は完成されぬ居たたまれなさがある以上虚無感は拭えないのだが、両親の大陸的な良い意味での処世観が骨太でありドラマを高めている。コンテンポラリーであること…

VERSUS ヴァーサス

★★★★ 2001年4月5 日(金) トビタ東映 ショット内で催される茶番の持つエナジーと強度が唯一無二のアングル選択と奇跡的とも言える編集の冴えで増幅される。低予算「自主」を逆手に取った恥も外聞も無い何でもアリ世界で見栄と虚飾で塗り固めた力業の凝縮。北…

美しき諍い女

★★★ 1993年2月6日(土) 難波ジョイシネマ 一陣の風と共に登壇するベアールの映画的ケレンは事が始まると消失するのだが、只管続く素描接写と筆音がポージングをめぐる2人の軋轢と相関し何時しか快楽リズムが到来。そして、とどのつまりでドハッタリの煙に巻…

浮き雲

★★★★ 2002年10月22日(火) 扇町ミュージアムスクエア こういう毒を廃したオーソドックスな物語を志向せざるを得ないところにカウリスマキの転回というより限界を感じた。50年代アメリカ映画を明らかに意識した序盤は巧すぎてかえって作為的だ。それでも煙草…

美しき獲物

★★★ 1993年4月25日(日) トビタシネマ 冒頭からチェスの選手権試合という特異な設定を相当に入念に描いていく割には展開には殆ど活かされないというのが若干に歪でありどっちかと言うと好きである。90年代にミッキー・ロークと並び立った思い込み男優ランバ…

ウエスト・サイド・ストーリー

★★★★ 2022年2月13日(日) 梅田ブルク7シアター3 オリジナルの冒頭、静謐の大俯瞰から急降下したカメラが捉える指パッチンという余りにインパクトのある導入は、さすがにそれをやっちゃあおしまいよでスピルバーグも準えるのが憚られたんだろう。総じて、…

ヴァイブレータ

★★★★ 2004年11月16日(火) 東梅田日活 あくまで自己完結した女の理想郷願望話には「はあ、さいでっか、よろしおましたな、ほなさいなら」としか思えないが、トラックが行く冬枯れの辺境のロケ効果が抜群で、それを一切装飾せずにスクリーンに移植し得ている。…

麗しのサブリナ

★★★★ 1992年7月16日(木) 梅田コマシルバー 超弩級の新星に強面のベテランボガートを配したのが常套手段にしても填ってる。一方でシニカルなホールデンも良い味で配役の妙を堪能すべき映画だろう。オードリーは同じワイルダーなら『昼下りの情事』の方を買う…

宇宙戦争

★★★ 2005年7月9日(土) 梅田ブルク7シアター6 日常に突如襲い来る非日常の切り込まれる手際の鮮やかさと倍加するカタストロフの怒涛の展開には確かにテロが対岸の火事で済まなくなった時代を表象して傑作。しかし、だからこそ、後半では原作の枷を外し同時…

ヴェラ・ドレイク

★★★★ 2005年8月13日(土) テアトル梅田1 泣くのは何時も女…的メッセージ臭とマイク・リー的「片隅」臭がこれ以上濃厚になるならキツいなと思う前半に対して後半は男達4人の赦しと慈愛の物語へと転調する。巧みな作劇。時代色創出の為の仰角使用のフレーミン…

運命じゃない人

★★★★ 2005年9月15日(木) 梅田ガーデンシネマ2 時制をズラし反復させるエクリチュールは超絶にロジカルで巧緻と思うがとりわけ斬新とも思わない。小技の効いた演出(足には参った)もあるが、根底に流れる野郎同士の「友情」ってのが打算も虚飾もなくただ当…

ウルガ

★★★ 1992年11月29日(日) 大毎地下劇場 文明圏の視点での非文明圏賛歌的語りが既に胡散臭い…ことはミハルコフは承知の上だとしても、その異文化の邂逅はドラマトゥルギーを産み出すわけでもない。寧ろ、映画に描かれた以後の近代化の侵食がもたらしたものにこ…

ウェンディ&ルーシー

★★★★★ 2021年10月24日(日) シネヌーヴォX ケリー・ライカートって知りませんでしたが、処女作が1994年ですからキャリアは20年以上なんですね。遅ればせながら知り得で良かった思います。 車で放浪する女性ってことで、今年の前半の話題をさらった「…

運命の逆転

★★★ 1991年6月9日(日) トビタシネマ さしずめ、日本だと清張原作、野村芳太郎監督作みたいなもの。胡散臭さに於いて当代随一とも言うべきアイアンズとクローズの充実演技と米ブルジョワの生活の丹念な描写の珍しさが見所。しかし、モデル存命中で結論付け出…