男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【う】

裏切りのサーカス

★★★ 2012年12月11日(火) 新世界国際劇場 緩やかに移動し続けるカメラが全篇を一貫した情感で覆う。美術や衣裳も交えて殆ど完璧に制御されたスタイルの達成だが、完璧すぎて嫌らしい感じも。再三注入される過去パーティシーンが強要する懐旧感は青春グラフ…

ウエスト・サイド物語

★★★★★ 1975年11月30日(日) ニューOS劇場 1976年1月18日(日) ビック映劇 原作でテイボルトやマキューシオが担う役割を集団に置き換え前面に出し、不良グループ同士のみならず不良と警官、男と女など多様な対立の劇的緊張の連続をモダンバレエで描いてド…

ウィ・アンド・アイ

★★★★★ 2013年4月27日(土) シネリーブル梅田2 クソガキどもの遣り放題や青臭い吐露をさして見たくも聞きたくもないが、この順次退場し行く設定の発見のみでもゴンドリーは勝利を得ただろう。加えて時間軸の進行がもたらす光線の変化が行きつく文字通りのマ…

宇能鴻一郎の 濡れて開く

★★ 1981年5月4日(月) ダイニチ伊丹 明るいのが良いと言えばその通りなのだが、余りに他愛ない話。映画界に於ける秩序を破壊せんとした作家の養卵機としての日活ロマンポルノを実質支えたのは、こういう数多の作品であった。決して言及されることがない西村…

嘘八百 京町ロワイヤル

★★ 2020年2月6日(木) TOHOシネマズ梅田2 前作を俺はまあまあ好きではあったのだが、それはなにもコンゲームとして優れているからではなかったのである。 ええ歳こいたおっさん達が、こたつ入ってみかん食いながら、チンチン立ったみたい話をするって…

ウルヴァリン SAMURAI

★★★ 2013年9月15日(日) MOVIXあまがさき7 葬儀場から新幹線を経て長崎に至るシークェンス。四つ巴のチェイスが縦横の錯綜を絡めつつ移動する佳境なのだが、マンゴールド演出が、どうにも理詰めのキレを欠きいただけない。で、他は正直どうでもいい。…

ウエスタン

★★★★ 2019年9月29日(日) テアトル梅田2 *「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」なるタイトルで再公開されているのだが、あえてここではオリジナルタイトルでの表記とします。 (同様にたとえば「キートンの探偵学入門」は「忍術キートン」…

ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう

★★★1981年6月21日(日) 池田中央第二映劇 俎上に乗せられたのが数多あるオムニバス形式イタリア製艶笑コメディだとは推測されるが、充分に咀嚼し再加工されて出てきたものとも思えない。要はパロディにもなってない。まともに見るなら大して笑えない。6話と…

歌麿 夢と知りせば

★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 曲者揃いの役者の面構えの選択に於ける一貫した趣味性も凝りまくりの照明と撮影も実相寺演出は完全な統一感を保っているのだが、エロスの追求という明確な主題を提示してしまっては底が浅い。爛熟文化の光と影を描くに…

ウォーム・ボディーズ

★★ 2013年12月21日(土) 新世界国際劇場 初期設定にこれ程違和感を覚えたことは無く、「ゾンビ映画」なるものに些かの愛着も持たぬ俺でさえも、これはジャンルの新たなステージの開拓などではなく終焉をもたらす冒涜に思える。腐りズルムケる表現を回避し、…

うず潮

★★★ 1981年9月9日(水) 毎日文化ホール フランス映画なのにハイスピードな展開は寧ろ50年代ハリウッド製コメディを連想させる。姦しい低層娘と浮世離れた富裕男の他愛無い無人島ごっこ&ラブアフェアを世紀を代表する男優と女優がミスマッチを承知で肩の…

ウィアーリトルゾンビーズ

★★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOソネマズ梅田5 冒頭から、親が死んだって悲しくない…なんてほざくガキが出てくる。 そいつが又、ゲームばっかしてる小僧で、けったくそ悪い。 親が死んでも悲しくないってのはいい。 でも、そいつがゲームボーイみたいな…

ウルフ・オブ・ウォールストリート

★★★★★ 2014年2月15日(土) 梅田ブルク7シアター7 金儲けの手段は皆知ってるがやらないのであって、やる奴らを描いて剛速球をド真ん中に投げ込んだ。リテールから引き受けに至る錬金メカニズムを十全の胡散臭さで描き切りドラッグとSEXで虚実の境界を混…

WOOD JOB 神去なあなあ日常

★★★★ 2014年5月17日(土) TOHOシネマズ梅田7 居場所探しの映画として異文化との邂逅を描き越境する覚悟に共振する点に於いて『ダンス・ウィズ・ウルブズ』と通底する。長澤・伊藤の役所を知る快演は想定内としても優香の抽斗が奥行きをもたらす。しい…

ヴェラクルス

★★★★★ 2019年1月26日(土) プラネットスタジオプラスワン メキシコ、アーネスト・ボーグナイン、ガトリング銃とくれば否が応でも「ワイルドバンチ」を連想する。 そういう意味で、これは源流とまではいわなくても少なからず触発を与えた作品ではなかろうか…

ウォーロード 男たちの誓い

★★★★ 2014年7月4日(金) トビタシネマ 信義則を貫くことと怜悧な現実主義とが待ったなしの極限状態で相克するドラマは納得性があるし荘厳だ。しかも、所詮は戦乱下に権力者達の道具として朽ちるしかないというシニカルな詠嘆が全篇を覆う。あと夢幻のような…

家へ帰ろう

★★★★ 2019年1月5日(土) シネリーブル梅田1 冒頭、民族臭の濃い室内のダンスシーンにまず魅せられる。 「屋根の上のバイオリン弾き」がちょっと思い浮かんだりしたが、このタイトルバックは次のシーンには連関しない。 アルゼンチンに住む老人が、子供たち…

雨月物語

★★★★★ 1980年6月18日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 田中よりは案外に水戸光子が切ないのだが、やはり真に圧倒的なのは京マチ子と宮川一夫であり、両者が3年前の『羅生門』とリンクする形で戦前戦後の巨匠を同期させたことに映画史上の因縁を思わずにい…

浮草

★★★★★ 2018年10月28日(日) シネヌーヴォ 聞きしに勝る傑作である。 舞台袖から良人の愛人である杉村春子を見る京マチ子の眼光。 もともと目力の女優ではあるが、凄みがそんじょそこらではないのだ。 ワンショットにかける気合の熱量が、やっぱ小津はケタ違…

海を感じる時

★★ 2014年10月6日(月) テアトル梅田1 私は如何にして愛されてもいない男に体を与え続けたか…という言い訳を酔った席で延々聞かされてるようなもんで、そんなもんは所詮は解るわけなく解りたくもないのだ。荒井は『アデル』を擬えるが狂気の淵にさえも行か…

うたかたの戀

★★★★ 2018年7月8日(日) プラネットスタジオプラスワン オーストリア皇太子の心中事件をモデルにした映画は本作品を含めて3作あるらしい。 まあ、悲恋ものであり、成さぬ恋の果ての情死という意味で「ロミオとジュリエット」みたい。 しかし、現代の感覚か…

ウィンストン・チャ-チル  ヒトラーから世界を救った男

★★★★ 2018年4月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ9 チャーチルの歴史的評価を知らないので、ここに描かれたことは話半分くらいにとの抑制が働く。 だいたい、この大戦の当時の趨勢から見て、彼の判断が正しかったのか疑問だろう。 たまたま、米国の…

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

★★★★ 2018年4月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 俺はリュック・ベッソンの「愛」に対する価値基準には余りに能天気で全く同意するわけではない。 しかし、彼の子供脳による宇宙人のイメージには目を見開かされる。 例えば「スター・ウォーズ」に出…

海街 diary

★★★★★ 2015年6月24日(水) TOHOシネマズ梅田9 姉妹間だけではなく他者との関係性の変容を「空気」だけに最大限の演出を注ぎ込んで緩やかに慈しむかのように描いた工芸品。3度の葬儀と法事が編年のメリハリを付与する構成が高度に小説的だ。想定外の4人の…

修羅雪姫 怨み恋歌

★★★ 1980年12月23日(火) 新世界座 内容的に1作目と比して何が違うわけでもないが、鈴木達夫のカメラが素晴らしい美術と相まって寺山的猥雑さを醸し出し、役者のコラボも一線級の面構えを揃えて「男騒ぎ」な華々しき重厚。正直この映画には勿体ない位。(cinem…

嘘を愛する女

★★★★ 2018年1月21日(日) MOVIXあまがさき6 何年間も一緒に暮らした男が、実はどこの誰とも知れぬ野郎だったという話。 失踪者の数が年間数万人に達する日本でキャッチーな題材である。 俺だって、いつそうなるかわかったもんじゃないと思ってるし、…

嘘八百

★★★★ 2018年1月14日(日) TOHOシネマズ梅田3 終盤の結婚式場でのドタバタの中でエレベーターでの鉢合わせがある。 そのとき、瞬間的にこういうシーン見たことあるとの既視感が去来した。 見終わったあとも何の映画やったかとずーっと考えていて、ふと…

海にかかる霧

★★★ 2015年8月11日(火) 新世界国際劇場 序盤の荒んだ状況描写や船内の美術など重厚である。ただ前半の衝撃的展開を過ぎてしまうと、後はありがちな展開を消費するだけ。顛末を中盤以降に置き加速的に狂気の蔓延を描いた方が良かった。過度に情緒的である必…

動くな、死ね、甦れ!

★★★★★ 2017年11月18日 シネヌーヴォ 前半に関しても美点は多い。 イースト菌騒動による学校周りの泥濘の絶望。 スケートを買った直後の夜の池の孤独。 母の醒めた色気と子供に対する思い入れの真面さ。 だが、そういう一寸良いレベルから後半に映画は逸脱し…

美しい夏キリシマ

★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 地方のコミューンのエロスとタナトスの混在を描いて『祭りの準備』姉妹篇の趣があるが、男が不足する世界で枯れた原田が色気を抑え基軸となり世界をこちら側に繋ぎとめている。総じて女優陣も素晴らしいが、それ以…