★★★★ 2024年7月8日(月) テアトル梅田2

例によってクォン・ヘヒョの「監督さん」が登場しての3人の女との編年記で、3人それぞれの相性みたいのが綴られるわけだが、この監督さんが最初はブイブイ言わせてる風なのがだんだん落ち目になっていくのが笑える。まあそれはクォン・ヘヒョだからとも言えて、この方至って真面目に2の線を演ってる風なのだがどこか抜けてる感があるんです。
おそらくだが、何かで知った3階建てのアパートをホン・サンスが気に入ってそこを舞台に物語をでっち上げたものだろう。なんでもこいです。手がつけられません。時制の跳躍を地続きのように繋いで最後にはループして最初に戻る、なんてのも多分初めてじゃないと思うけど、物語を単なる世迷いごとの夢想花ですよ、チャンチャンめいた酒飲み話に普遍化する。食えないおっさんだ。
イ・ヘヨン→ソン・ソンミ→チョ・ユニと変遷する女たちはインテリア・コーディネーターのタカビー女→美術専攻崩れのレストラン主を経て単なる気の置けない不動産屋のオバチャンになる。このへんも歳を経たホン・サンスの達観の顕れであろう。
時制の跳躍を地続きのように繋いで最後にループして始めに戻る。物語を単なる世迷いごとの夢想花ですよチャンチャンめいた酒飲み話に普遍化する。イケてる2階の女は浮気が心配でしんどい。行き着くところは気のおけない不動産屋のおばさん。歳経た境地です。