男の痰壺

映画の感想中心です

過去日記 2004上半期

映画 2004上半期
半年で劇場で見た映画が40本。
かのN大人は福島に行っちまったってのに80本見てらっしゃるらしい。
年間で70~80本ペースであり、又もや前年比マイナスとなりそう。
考えてみれば、一昨年の180本ってのは何だったんだろうと思う。1年通じて一種のトランス状態に陥っていたとしか思えない。

考え得るマイナス起因要因
(ⅰ)金銭的要因
(ⅱ)時間的要因
(ⅲ)精神的要因
(ⅳ)体力的要因
これらが、スパイラルに複合して到来した為に来るべき時が来た。
そう、そうならないように日々考えとかないと、そいつが来ちまってからじゃあ遅いのじゃ。
デイ・アフター・トゥモロー』ってのを見て思ったね。

新旧混合の星取上位作は
★★★★★
ジョゼと虎と魚たち』『ファインディング・ニモ』『イン ザ カット』『恋愛適齢期』『下妻物語』『ロスト・イン・トランスレーション』『リアリズムの宿
★★★★
ミスティック・リバー』『四畳半芸者の枕紙』『リクルート』『イン・アメリカ 三つの小さな願いごと』『ゼブラーマン』『鏡の女たち』『ドッペルゲンガー』『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』『きょうのできごと a day on the planet』『イノセンス』『赤目四十八瀧心中未遂』『キル・ビル vol.2』『エレファント』

費用対効果だけは著しく良かったってことか。
2004年6月30日
日本三景
安芸の宮島に行って来た。
なんと言っても、日本三景である。
厳島神社の遠く平安からの歴史を負った佇まいの荘厳さよ!
一生の間に日本三景だけは見ておかねば、死ぬに死にきれないではないか。
天橋立は既に見たので、残るは松島のみ!
はーはっはっは!

…会社の行事で、せっかくの休みが潰れた。
まだ、次の休みまで5日間もある。
泣くに泣けんわ!
2004年6月15日
映画『下妻物語
旬なものを味わうということなら、本年の最高作になるかも知れない。
ちょうど、何年か前の『GO』がそうであったように。
で、俺は旬のものが好きなので、当然、この映画も支持する。

…が、見てる間、ずっと「待てよ」とも思っていた。
いじめられた果てに、ヤンキーとなる少女。
周囲に溶け込めずにロリータ愛好家となる少女。
2人は、ハナからケツまで周囲から隔絶されている。隔絶された世界で、2人っきりの世界にひたって友情が成立し、更に成功人生への展望までもが示唆される。
映画は夢を育むのであって「そんな甘いもんやないやろ」なんて言うのは野暮だとは判っている。
しかし、周囲や世間と折り合っていかずに、生きていけるのは、限られた者にしか許されないのも事実。大半の人は、個人の肥大する妄想と現実の人間関係の間を再三再四往還しながら生きていくしかないわけなのよん。

ちょっと、売る夢のベクトルが、これでいいのかなあ…って感じがする。
特に思春期にあって隔絶された、或いは隔絶されつつある少年少女が、これ見て、隔絶されてもいいんだ…なんて間違っても確信したりしないことを、俺は草葉の陰から祈ろうと思う。

えっ?おっさん、夢も希望もないこと言うなって…。
ええ、私ゃあ夢も希望も朽ち果て疲れ果てた親爺じゃけん。あかんか?

最後に、これだけは言っておかねばならない。
アンナきゅ~。
2004年6月12日
本当に申し訳ございません
体の調子が悪いところに、人手不足が祟って、睡眠不足で常に意識が朦朧としている。
加えて、パソコンまで具合が悪くなりやがった。
「フリーズばっかで全然動かんがな、やっとれんわ」
と放置すること数日。久々に開けたOutlook Expressにプロバイダーからメールが…
「あなたはウィルスに冒されています」
ビーン
ウィルスなんて人事と思っていたのが甘かった。
昨日、1日中かかって、スキャンした感染ファイルを多分1000個以上削除したが、まだ終わらない。

と言うわけで、申し訳ございません。
恐らく、多くの方に「NETSKY.P」というウィルスをばら撒いてしまった可能性があります。
今後は充分気をつけます。
2004年6月7日
むしゃくしゃ
「悪口言われたからカッターナイフで頚動脈切っちゃおう」
なんて思われた日にゃあ、俺なんか1000回以上殺されてるだろう。

「権利」ってのが、尊重されるのは結構なことだが、尊重されすぎて、のさばり始め、腐臭を放ち始めている。
親は、ガキどもに誰が食わせてやってるのか思い知らせるべき。聞かないなら、叩き出すべき。それが出来ないのは、間違っても愛なんかじゃなく、依存心。
教師は、生徒がナマ言ったら、張っ倒せ。自分の虫の居所が悪かったからでも結構じゃないの。PTAがうざいこと言うなら、学校は他の学校へどうぞ、でいいじゃん。

加害者の権利だの被害者の権利だの、そういう議論は最早不毛。

人かっさらわれといて、身代金1人70億で返してもらったからって、何が交渉なん?わざわざ出向いて行って土下座して、恥さらしもいいとこ。
成果を認める、なんて言う人が多いのにも気が滅入る。

全てが、本質を見誤ってるとしか思えない。
2004年6月3日
弱り目に祟り目
先週末に肩甲骨の下が痛くなった。寝違えたときみたいな痛みで、ほっとけば治るだろうと思っていたが日増しに痛みが増して来る。
何をしてても、気が重く憂鬱で集中もできない。
仕方ないので昨日、医者に行った。
「頚骨症やな」
医者は、ちょっと触るなり、そう言った。
「43歳かあ、ちょっと早いけど、歳とるとな、首の骨の間が磨耗して神経が、こう曲げたりしたら刺激されるんやな、1ヶ月くらい通ってもらわなあかんで…レントゲンとってみよ」
で、とった写真を見て奴は言った。
「おかしいなあ、きれいに隙間開いてるわ、ちゃうなあ頚骨症と…なんやろ、寝違えやろ、なあ…とりあえず注射しとくわ」
俺は背中の幹部と腕の静脈に注射された。

けど、全然痛みが取れないのだ。

痛くても、月末は近づいて来る。むかつくくらいにくだらん仕事が多い。金が無い。最近雇ったバイトからは毎日無心される。俺も別方面で無心して断られる。月半ばから1日も休みが無い。当然、他の連中の休みも潰す。ブーたれられる。見たい映画はどんどん終わってしまう。

「誰かに怨まれてるんちゃうか」
「えっ」
「藁人形に釘でも刺されてるんちゃうかって言うの」
「…」

女房に言われて俺は思った。
有り得る。
俺を殺したいと思ってる奴は少なくとも2人は思い当たる。
どうしよう…。
2004年5月27日
暗黒賛歌
    暗黒賛歌 

          作詞 悪悠
          作曲 包強兵
          歌  タイガー今林
  
やってやるのさ いつかは俺も
見てろよ今に こんちくしょう
Spend the night alone
灯りの消えた俺の部屋に
Welcome 闇の魑魅魍魎
Let's Spend the night together
バンバンボボボン バンボボボン

埴輪の美代子が いつか言った
あんたなんかに できっこないと
Spend the night alone
終電終わった夜の帳に
Welcome 闇の魑魅魍魎
Let's Spend the night together
バンバンボボボン バンボボボン

なにがあっても こんちくしょう
払ってやるぜ 国民年金
Spend the night alone
宴の後の ゲロまみれ
Welcome 闇の魑魅魍魎
Let's Spend the night together
バンバンボボボン バンボボボン
2004年5月20日
ロスト・イン・フラストレーション
ストレスがたまっているのだろうか…。

金がない。超絶に金がない。
疲労が蓄積してモヤモヤする。
人(職場の)が嫌い。反吐が出そうに嫌い。
仕事が冴えない。
映画が見れない。
本が読めない。
爪水虫が怖い。

昼、『エレファント』という映画を見ようと映画館の前まで行ったら携帯が鳴った。
「面接希望の電話ありました。1時って言っときましたんで帰って来て下さい」
(し、しまった…anに出しとったん忘れてた!)

晩、会社のパソコンでマンスイーパーゲームをしてたら携帯が鳴った。
「何しとるん、早く帰って来る言うたんちゃうん、ケーキ待ってるねんで」
(し、しまった…息子の誕生日なん忘れてた!)

夜、うとうとしてたら、電話が鳴った。
「医者行かなあかんで、行ったんか?はよ行っとかな、おかあちゃんみたいに爪剥がされるハメなるで、痛くて夜も眠れないんやから」
(し、しまった…って何がか知らんが、しまった)

ロスト・イン・フラストレーション
多くのモノが失われていく。
唯一の愉しみも、家族の信頼も、お袋の足の爪も…。

関係ないけど『ロスト・イン・トランスレーション』は賛否真っ二つでめっちゃ面白そうやなあ、はよ見たいわあ…。
2004年5月12日
アンダー・サスピション vol.4
2004年5月某日。とあるハンバーガーショップ
1人の男が自動ドアを開けて入って来た。そして店内を見渡す。
「よおーっ!ここだよ」
喫煙席で1人の男ががなりたてた。男は鷹揚に近づくと向かいの席に腰掛けた。
「遅いじゃんかよ、モーガン
「場所がわかんなくてよ」
「おかげでフィッシュマックディッパー50個喰っちまったじゃんかよ」
「いつから、魚党になったんだよ…お姉ちゃん、俺はダブルビッグマック、てりやき風味でな」
「そんなんあるのかよ…ビッグマックのダブルって」
「4段重ねじゃねえか、知らなかった?」
アメリカじゃ聞いたことねえよ」
「日本通ぶったってよ、ジーン、それじゃあ、まだまだだぜ」
「そういやあ、タイのマクドじゃよお、ドナルドおじさんが合掌してるって言うじゃねえか、ニッポンでも侍の格好でもさせればどうなんだよ、なあモーガン
「…」
「どうしたんだよ、急に黙りこくりやがって」
「いやなこと思い出しちまったじゃねえかよ、どうしてくれるんだよ『メモリーズ・オブ・ショーグン』…有り金全部はたいちまったじゃねえか」
「まさかよお、コッポラの野郎、あそこまで落ちぶれてやがるとは思ってもみなかったぜ。金、持ち逃げしやがるとはよ」
「ソフィアにナシつけてなんとかならねえのかよ」
「だめだあ…」
「えっ…」
「だめだめだあ…」
「…ジーン…お前大丈夫か」
「…ジョークじゃねえか」
「何のジョークかさっぱりわかんねえ…ところで何なんだよ話ってのは」
「起死回生の一撃」
「えっ」
「ふっふっふ、ゴジラ
「…今更ゴジラかあ」
「お前知らねえか…伝説の男ゴジっての」
「知らねえ」
「カズヒコ・ハセガワっていやあニッポン通の間じゃあ伝説なんだぜ」
「はあ…そうなのか」
「昨日会ってきたのよ」
「…そう」
「生半可なことやってたんじゃあ、俺たち先細りじゃねえか、そうだろ?」
「…そうなのか?」
「あたぼうじゃねえか」
「…で、そのゴジ…か?何の企画があるんだ?」
「20年来の企画だそうだぜ」
「ふん」
「『レンゴーセキグンパパレンジャー』」
「…」
「俺が赤レンジャーだそうだ」
「…」
「で、お前が黄レンジャー」
「黄色かよ、イヤだぜ!」
「…」
「金にしろよ、ゴールドレンジャーなら乗ってやるよ」
「わかった掛け合ってやるよ」
「ふむ」

かくして彼らは再び金を持ち逃げされるのであった…。
2004年5月7日
頚木を解き放て!
携帯を買った。
修理してくれと言ったのだが、なんやかんや言って機種変更させようとするのでゴネてやった。

「調べたんかいな、ほんまに、バッテリー替えてみいな、点くかもしれんがな、ようも調べんと新しいもん買えって、あんた、それ見え見えでんがな、えっ?何、修理しても何万円かかるかわからん?何でやねん、えっ?保障期間過ぎてるやて、たいがいにしいや、あんまりボロい商売ばっかやってると、今にえらい目にあうで、そんな甘いもんちゃうやろが、そやろ、えっ…しゃあないな、いっちゃん安いのんでええわ、カメラやらなんやらチャラチャラしたん要らんで、電話がかかればええねん、何、全部カメラついてるんかいな、これ?18000円?アホか!そんな金どこあんねん、1000円までにしてんか、1000円以上ビタ一文払わんからな、これ?6000円書いてるやないか、4000円にまけるやて、んでポイントで払える?金要らんやて、アホか!うまい話には罠があるんちゃうんかい…ない?マジ?
…はよ言わんかいな」

以上、心理の動きの描写
2004年4月30日
電波を断ち切れ!
携帯が壊れた。
TVの走査線みたいのが出てうんともすんとも言わなくなった。
ざまあ見ろと思った。

土台、年がら年中どこにいても、電波で何かと繋がってるってのは、不健全極まりない。
1歩外に出たら、男1匹体1つで勝負するのだ。
誰の助けも要らねえぜ。
俺は孤独なロンリーウルフ。
俺は都会のロンサムカウボーイ。

「ちょっくら客先行ってくらぁ」
「はい」
「あ…ちなみに俺の携帯故障中、だから、そこんとこヨロシク!」
「はい…何が?」

はーはっはっは!
仕事さぼって映画見た。
キル・ビル vol.2

ざまあみさらせ!
…って、だから、何だって言うんだよ。
2004年4月28日
デイトレーダー
「えっ?ぼくちゃんの趣味?そうねえ…最近ちょっとデイトレードにはまってるかなあ…昨日なんかさあ、2時間で14万利食ったよ。何?どうしたらそんなに儲かるかって?うーん、それは、ちょっと言えないかなあ…言ったら君も買うんだろ?相場ってのはさあ、人の行く裏に花ありなんだからさあ、自分で研究することだよ、えっヒントだけでもって…うーん中国株はもう終わりかなあ、ぼくちゃんが目をつけるとすれば、次はギリシャ株だね、ほらオリンピックがあるだろう、ねっ、アテネアテネエ…アタラネエ…ほらね、あっ、ダメかな…はっはっはっは、じゃあ又」

株式相場が活況なのは結構なことだが、「デイトレーダー」なんてクソオシャレな呼称は何とかならんのかなあ。
最後に相場に勝てる野郎は端っから一握りって太古の昔から決まってるんだからさあ。
勝ってるときは皆、俺がその一握りなのよと思うのさ。

以上、持てない者の僻みでした。
バイバイ
2004年4月23日
幸運の総和
先週末から昨日までの間に、ささやかな幸運が連続して俺を訪れた。

4月9日(金)  明糖ホームランバー(バニラ味)にて「満塁ホームラン〔もう1本〕」
4月10日(土) 明糖ホームランバー(バニラ味)にて「満塁ホームラン〔もう1本〕」
4月12日(月) 森永チョコボール(ピーナツ)にて「銀のエンゼルのくちばし」
4月14日(水) 明糖ホームランバー(バニラ味)にて「満塁ホームラン〔もう1本〕」

「1人の人に一生の間に訪れる幸運の総量は実は最初から決められている」と何かで読んだ記憶がある。

…なら、こんな小出しの幸運なんて
いらんわ!ボケ!
まとめて持って来いってんだ
2004年4月15日
映画『きょうのできごと a day on the planet』
古今東西の色々な映画を見てきたが、これ程つまらんヒロインは初めてだった。
見事にカラッポなのだ。
あるのは依存心とコンプレックスのみで、意地や矜持や誇りや上昇志向や包容力や経験や知識や火事場の馬鹿力や窮鼠猫を咬むや…もろもろの前向き姿勢が全く無い。
見終わって思ったのは、行定監督は確信犯なのか?…ということなのだが、多分そうなのだろう。
しかし、だとしたら、この映画は途轍もなく冷血である。かのミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』も真っ青だと思う。

座礁した鯨が出てくる。
これが、閉塞感と来たりくる脱出へのメタファーなのだとしたら、あの自殺志願の少女は田中麗奈の主人公と置き換えてあげるべきだった。さすれば、閉塞地獄に喘ぐ主人公は、つまらん彼氏の呪縛から解き放たれ映画は完結するだろう。
しかし、再生を果たした少女とすれ違った彼女(達)が海岸に到着した時には最早、鯨は居ない。これからも続く日々の頚木に捕らわれたまま取り残されたように佇むしかないのだ。

ビルの谷間に何時間も挟まれ続けた男が救出されて何かを獲得したとしても、腑抜けた優男が一昼夜をかけて喧嘩した彼女のアパートに辿り着いて和解を果たしたとしても、主人公には光のない明日があるだけ。

きっついわあ、マジ

良いシークェンス満載の映画だが、とりわけ、先輩が夜中にコンビニに自転車で行く途中で車に当てられ、彼女に電話する件は、長回しが場の空気をだけでなく紛れもなく感情の奥の奥まで掴み取っている。白眉だと思った。

最後に、ちーちゃんきゅ~とだけ言っておこう。
2004年4月6日
レミング
年金のCMで恐ろしく偉そうなことを宣っていた江角マキ子が自身国民年金を払っていなかったというのはシャレのめすには余りに非道い話でマジで言うが彼女は社会責任という自覚があるなら今後一切世間から消え去るべきである。
税理士に任せていたから知らなかったんです…で済むわけなかろう。
勿論、彼女をろくに調べもせずに登用した社会保険庁の担当者をこそ顔を世間に晒してやって人生の終焉を迎えさせるべきであり、マスコミが例に漏れず本質のターゲットを誤認していることは言うまでもない。

年金問題に言及するとき必ず背中合わせに浮かぶのが個人主義的発言であって、曰く
「払ったって見合う対価が得られないんだから私ゃあ払わんよ」
ってことなのだが、成る程一理あるようにも見えるが、問題はそこまで言い切るに必要な覚悟を自覚しているかと言うことなのだ。
システムを崩壊させ、その挙げ句に到来する事態に際し対案を持たないのであるなら
海辺に屹立する断崖絶壁に向かって個を没して集団心理の赴くままにトランス状態で突き進むレミングと同じではなかろうか。

言いたいのは、本当に集団自殺していいと皆思ってるのだろうか…
ってことなのだ。
「何とかなるさ…」
自己破産する者は必ず最初は自分にそう言い聞かせているものだ。

「家政婦は見た」第8話より。
2004年3月26日
きょうのできごと a night on the Naniwa
今日、出向先の社長がご勇退されるとかで新地で飲んでいると、関テレの「山本アナウンサー」が取り巻きを連れて入ってきて、やたら騒いでかなわんかった。
正直、山本さんなんてママさんに聞くまで誰のことやらわからんかったが、禿げた人の良さ気な顔を見てればどっかで見たことあることは判ったのだが、俺たちは一応はしんみりと飲んでいたわけで、わいのわいの騒ぐのが正直かなわんかった。

浪花は日常と非日常の境がゆるい。
以前、在籍した会社は梅田花月に近かったので、ちょっと缶コーヒーなぞを買いに外に出たとき体の脇を「今いくよくるよ」が走って通り抜けて行ったりしたことがある。
今日、一緒に飲んでいた同僚は「タージン」と家が真向かいで幼馴染だそうだ。
俺の女房は高校生の頃、梅田の地下街で「板東英二」にナンパされて鉄板焼きを奢ってもらったらしい。
文珍」は素で会うと最悪に愛想悪いらしく、「仁鶴」も同様らしく、一方、「鶴瓶」はまんまらしい。

だからなんやねんと言われれば何もないんやが…。
2004年3月18日
スケープゴート
「お父さん…あたし、もう、疲れちゃった…」
「うん…」
「…」
「…」
「なんで、こんなことになったのかしら」
「…」
「何か悪いことしたの?私たち」
「うん…軽く考えすぎてたんだよ…俺が」
「…」
「でも、まさかこんなことになっちまうなんてな…」
「…」

「何考えてる?」
「えっ…うん、昔のこと。楽しかったよね、あの頃は…最初は…2人だけだった」
「なけなしの金はたいてよ、朝から晩までよく働いたよな、苦労かけたよ」
「ううん、苦労なんて全然思わなかったよ…ありがとう…お父さん」
「こっちこそ…ありがとう母さん」
「…」
「あの世で会おうな」
「うん」

少し前の「雪印乳業の社長発言」にせよ、最近の「古賀代議士の学歴詐称」にせよ、くだらない瑣末な小事を面白おかしく論うマスコミ程醜いものはない。
弱みを見せたら最後、傷口に寄って集って貪り食う蛆虫みたいだ。
損をしたくない一心で鶏を出荷した男が死に追いやられた一方で、発症=死の病に罹患する可能性のある血液製剤を人の肌に針を刺して流し込んだ老人はボケたということで無罪放免らしい。

現代の法制度の矛盾に馴らされ諦めて生きる大多数の鬱憤を、追い詰められた弱者は一身に引き受けさせられるとしたら
それをスケープゴートと言わずして何と言うのだろうか…。
2004年3月9日
安直時代
俺は、おかきが好きなのだが、特に何が好きかと言うと、醤油が焼いた餅米に凝結して染み込んだ部分に偏愛的な愛着を持っていて、幼少時代から、おかきを一袋買っては1個1個を吟味し周囲を囓り取った上で充分に醤油が染み渡った部分を温存して幾つもの醤油凝結部分を最後にしみじみと味わいながら至福の境地に至っていたわけだが、今日日のスーパーやコンビニとかには「濡れおかき」とか「やわらか餅」とかの名称で、件の凝結部分を端っから集約された商品が並んでいる。
便利であるし、良き時代が到来したとも思う一方で過程を無視した安直なる至福に至るお手軽さには違和感を覚えてしまう。

物事が達成される過程こそが重要なのに、その過程を省略された時代に生きることの危うさを常に自戒しなければ…
…我々は火星人になるしかないだろう。
2004年3月5日
1980
プレハブの掘っ立て小屋の2階建ての長屋みたいな建物の階段を昇って俺は扉を開けた。
薄暗い部屋には煙草の煙が充満し目がチカチカした。3人の男が座っていた。
「なんじゃい、わりゃあ」
「えっ…あの、入部希望なんですが」
「…」
「…」
男たちは明らかに狼狽していた。
そう…人が全く予期せぬ事態に遭遇したときに見せる微妙な間。
やがて、男たちの前に座るように促された俺は来たことを後悔し始めていた。
「さてと…映画どんなん好きやねん?おうっ!」
「…そうっすねえ…やっぱベルイマンとか最高っすね」
男たちの顔をよぎった驚愕と狼狽の表情。そのときだった。
「出たあー!ベルイマンフェリーニ、パリゾーニ…うけっ、うけっ」
部屋の片隅の暗がりに第4の男が居たのだ。巨体であった。暗がりか奇声を発しながら徐々に現れる男。
そのときである。俺の脳裏に既視感が訪れたのだ。
『この男…どこかで見たことがある…』
「あの…パリゾーニじゃなくてパゾリーニじゃなかったでしょうか…」
「…」
瞬時に部屋は凍らんばかりの冷ややかな空気に支配された。
「おんどりゃあ!すっこんどらんかい、で、われはどないさらすんじゃ?入るのか入らんのか、今すぐに白黒つけてもらおうじゃあねえかい、おうっ!」
「あっ…あの…ぼく、サッカー部も考えてるんで、ちょっと考えさせてもらっていいかななんて…」
「なんじゃあ!こら、2股かけようってのかい、ええ度胸しとるやないけ、ふっ…安うみられたもんじゃのう映研もよ…まあ、ええわ、とっくり考え、なっ」

俺は、あのあと何故に再びあの部屋を訪れたのだろうか…。そうでなければ、違った人生もあったろうに…。
1980年の春…岐路であった。

最近、当時の映画研究部の同期生のやってるWEB日記に巡り当たった。20数年ぶりにネット上で言葉を交わした。距離と時間を一瞬にして縮めてしまうネットとはつくづく便利なもんだと思った。
(尚、第4の男への既視感は当たっていた。その人が前年にTVのアップダウンクイズで優勝したのを見ていたからだった。)
2004年2月25日
嘆きの天使
注:これは大阪在住で日本映画に関心を持つ方々以外には何のことかさっぱりわからないと思います。

おう、おう、おう!ってんだい!すっとこどっこい。ざけんじゃないよキリシマ。何が九条だよってんだい。
おう、おう、おう!ってんだい!すっとこどっこい。ざけんじゃないよアンテナ。何が十三だよってんだい。
おう、おう!ってんだい!すっとこどっこい。ざけんじゃないよヴァイブレータ。何が新世界だよってんだい。
こちとら自慢じゃないけんどよ。浪花の映画外道ってのは俺らのことだってんだい!中年の星N大人なきあとを担おうってのによお。にっちもさっちもいかないってんだよ!
おうおうおう…。

「んまあ、聞きました?奥さま。あの変な人の言ってること」
「ええ…何か、アンテナがどうとか電波がどうとかって」
「怖いわあ…ラリってるのかしら」
「九条とか十三とか新世界って、何かしら…もしかしたら、不潔なところ?」
「さあ…それに、聞き間違えかもしれないけど、ヴァ、ヴァイブ…なんとかって」
「んまあ…」
「…」
「やだわ」
「…」
「ちょっと!あの人まさか…ズボンはいてないんじゃないかしら」
「やだ!ほんと、お尻見えてるわよ」
「ちょっと!奥様、こっち来るわよ」
「エッ!やだあー!」
「きゃー!」

…あと1週間先にはこうなってるかも知れない…。
2004年2月19日
嘘からでた真~或は瓢箪から駒
映画『ゼブラーマン』を見た。(ネタバレ有ります)

前半1時間は本当に傑作ではないかと思っていた。『マーズ・アタック!』ばりのレトロチープな諧謔趣味が隅々まで浸透して小道具やいちいち流れるテロップまで配慮が行き届き素晴らしいの一語。特に渡部篤郎が良く自衛隊の描写はベタを恐れぬ絶好調ぶり。一方、柄本明もここぞの怪演で耳目を惹きつけるに十全。
しかし、「白黒つけるぜ!」の惹句じゃないが哀川翔主演100本記念とされた映画は結局、哀川扮するダメ親父に描写を絞って白黒つけざるを得ないわけで、手縫いのコスプレで悦に入っていた「嘘」が超常能力を獲得して「真」ヒーローになるというコンセプトが配置される。
物足りなさは、そこが、お座成りに感じられたことによる。嘘が真になるためには越境しなければならない。越境するにはボロボロになって飛ぶ練習する程度では足りないんじゃないだろうか。
何とも軽々しい…瓢箪から駒みたいに。

哀川翔を立てる映画じゃなかったら…と思う。前半の馬鹿馬鹿しい狂騒で2時間首尾一貫していたら傑作だったろう。
2004年2月18日
謀略の2/14
はあ…又この日が来てしまった。
困るんだよなあ。欲しくもないものもらってもよお。
朝から家の前に群れなして待ってやがるよ。
どいつもこいつも手に手に何か持ってよお。
あの甘ったるい代物を又1年間も喰い続けないといけないのかよお。
勘弁してくれよアミーゴ
こんなにいたんじゃあ、去年買った専用冷蔵庫が1台じゃあ足りないじゃんかよ。
美香に恭子に幸代に智子…ありゃ!ヴァネッサまで居るじゃあねえかよ。あいつ、日本にいつ舞い戻って来やがったんだよ。
冗談じゃねえぜベイビー
おいらにゃ、女房も子供もいるんだよってんだセンキュー
この世に男はおいら1人じゃあないってのによお、たまらんぜファッキュー
あれ…こっち来やがったよ、集団でゾロゾロとよお。
勘弁してくれよ朝っぱらから近所迷惑だってんだよ。
壊れちまうじゃねえか家が…そんなに入れるわけねえだろう。
押すな!頼むから押すなっちゅうに…

はあ…まったく、こんなくだらんもん誰が考えやがったんだよ。
聖バレンタインデー』なんてさ

…こんな夢を見た
土曜の早朝、暖房の効かない会社の事務所で…。
2004年2月14日
人生賛歌
   人生賛歌

        作詞 悪悠
        作曲 包今日兵
        唄  今林旭
 
倦んで疲れたこの俺が
已むに已まれぬ生き仏
残存期間の終末に
光の一筋見えざれば
なんでこの身が立つものか

インソムニアの最果てに
酔って吐き出す王将餃子
戻らぬ日々の温もりを
癒されたいとしゃぶっても
なんでこの身が立つものか

間違いだらけの道標
きっとおいらが悪いのさ
倦んで疲れる暇あれば
何かを掴める暇もある
明日があるさじゃ遅すぎる
2004年2月13日
Desperado
Don't you draw the Queen of Diamonds boy
She'll beat you if she's able
Another Queen of Hearts is always your best bet
Now seems to me some fine things
Have been laid upon your table
But you only want the ones that you can't get

素晴らしいものは、お前のテーブルの上に幾らでもあると言うのに
お前は、決して得られないものだけを求めている

デスペラード
イーグルスリンダ・ロンシュタットのLPレコードを昔、何枚か持っていたので、嫌になるくらい聴いた曲だが、正直、こんなに心に沁みたのは初めてだった。

映画『イン・アメリカ 三つの小さな願いごと』の中で少女が歌う。
3歳で死んだ弟への想い出に絡め取られた父と母に向けて。

Desperado why don't you come to your senses
Come down from your fences
Open the gateIt may be rainin'
But there's a rainbow above you
You better let somebody love you
You better let somebody love you
Before it's too late

手遅れになる前に…。

あせらな、あかん。
ほんま、そうや。
2004年2月8日
X-DAY ~三度のアンダー・サスピション~
2004年2月某日。とある牛丼屋。
1人の男が自動ドアを開けて入って来た。そして店内を見渡す。
「よおーっ!ここだよ」
カウンター席で1人の男ががなりたてた。男は鷹揚に近づくと横の席に腰掛けた。
「遅いじゃんかよ、モーガン
「場所がわかんなくてよ」
「おかげで牛皿10皿喰っちまったじゃんかよ」
「兄さん、俺は特盛ね、ダブルで」
「何なんだよ…ダブルって」
「いいじゃんかよ。雰囲気だよ。でも、見てみなよ外、長蛇の列じゃあねえか」
「今日が最後だからな牛丼もよ…限定なんだってよ。なのにダブルったあどういう了見してんだよ」
「お前にだけは言われたかねえよ、ジーン」
「しかし、こないだは面白かったよな」
「ああ、トムとケン・ワタナベだろ…あいつらびびりまくって逃げて行きやがったな」
「格が違うってんだよ、オスカー俳優で大統領役者の俺たちの前じゃよ」
「でもよ、良かったよな…あのジャパニーズガール2人は」
「そうよ、なんてったってニッポンの女は最高だからよ。こういうのをニッポンの諺で漁夫の利ってんだよ。でな…相談ってのはよ、そろそろどうだ?2人でよ新しい企画ブチ上げようじゃねえか」
「何かあるのかよ」
「当然よ。ブームに便乗してニッポンで撮るのよ」
「3本立て続けに出たあとだからよ、今更って気もするぜ…」
「いや、まだいけるよ。現によ『メモリーズ・オブ・ゲイシャ』も再始動したって言うじゃんかよ」
「…」
「それが出来る前に撮っちまうのよ」
「…」
「『メモリーズ・オブ・ショーグン』」
「胡散臭すぎねえかよ」
「ショーグンは俺がするからな」
「むちゃ言うなよ。ショーグンってのは日本人じゃねえか。アメリカ人のお前にどうやってやれるんだよ」
「お前はテンノーの役やらしてやるよ」
「えっ…テンノーってショーグンとどっちが偉いんだ?」
「そりゃあテンノーにきまってるじゃねえかよ。どうだ」
「うむ…」

かくして新作『メモリーズ・オブ・ショーグン』は監督にフランシス・フォード・コッポラを迎えて始動した。
2004年2月5日
沈黙
「ちょっと、Jさんが巻寿司買ってくれ言うてはりますが…」
「えっ?」
「何か、しゃぶしゃぶ屋のKんとこで買わな話がまとまらん言うてます」
「何やねん、そんなん知らんがな、Jさんの為に何で俺が巻寿司買わなあかんねん…あんた買ったりいや」
「いやです…そっち電話回しますよ」
プルプルプル…
「お疲れさんです」
「…頼んますよ」
「ほんまに話成るん?買ったら」
「そう言うてはります」
「なんぼ」
「1本800円」
「高けえなあ」
「ええ…高いですね」
「しゃあないなあ…1本付き合うわ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「しゃあないなあ…2本」
「わかりました。注文書代わりに書いときますから頼んます」
ガチャッ

俺は沈黙に弱い。
むしろ、沈黙が怖い。威圧感を感じる。
なのに、俺も沈黙を多用する。ただ、それは、機転が回らず言葉に窮することが多いからだ。
「聞いとんですか!」と言われることがままある。
勿論聞いてるのだが返事を考えこんでしまうのだ。
一種の軽いコンプレックスみたいなもんだったが、待てよ…と思う。
「使えるやん!これ」

そういえば、今読んでるS・キング『骨の袋』(←これは最近のキングの中ではかなり良い)の中に作家に対して電話で沈黙を手法として使うエージェントの話が出てくる。
古来より「沈黙は金、雄弁は銀 」「言わぬは言うに勝る 」「言わぬが花」とも言うではないか。

「ふっふっふ…見とれよお前ら!今日から俺は一味違うぜ!ギャフンと言わせるぜ!」
2004年2月4日
都市再生
良くは分からんけどよ、大阪府が「財政再建団体」になるって言ったって、お上が府から国になるってだけで、おいらみたいな庶民には、何がどう痛いことなのか、さっぱり分かんないね。小役人どもが甘い汁吸えなくなるってだけなら、かえってそうなってもいいんじゃない?太田知事は、何が何でも、そういう事態は回避すると言ってるけどよ、生ぬるいことしか出来ないんじゃあ、所詮無理だと思うね。
いっそのこと、落ちるとこまで落ちてさあ、みいんな大阪なんぞに見切りつけてさ、どこぞに逃げ出しちゃって、空っ風が吹きぬけるゴーストタウンになっちまえばいいのさ。

自主再建目指すってなら、これくらいのことしなきゃあ、ダメだね。
①民間でもないのにバブルに浮かれてアホな開発を推進した3セクの責任者は過去に遡及して私的財産を全額供与させる。これは、首くくるじじいが何人か出るまで徹底してやらなきゃね。
②60歳を超えた小役人は全て解雇。当然退職金は全額カット。
③街にあぶれた労働者を全て福祉と警察の予備軍として雇用。犯罪の無い福祉に厚い街を世間にアピールしたいね。
④向こう10年間は新規誘致の企業は法人税カット。国内唯一のタックスヘヴンの誕生だよ。とにかく企業と人が増えないことにはどうしようもないわけよ。スカスカのりんくうが会社と人で溢れかえってみなよ。すげえよなあ。
⑤煙草税と酒税は全面撤廃だね。一方で、保育所と幼稚園の費用はは100%助成。ヤニ中とアル中と働きたい女性にとっては、大阪はパラダイスになるね。人口10000人は増えるだろうよ。

とまあ、色々考えてたんだけどさあ、で10年後には独立国家になってさあ、俺は初代国王…なんてね。
いっそのこと、これくらいのこと言っちゃえばよかったんだよなあ。もう遅いけど。

えっ?俺が誰かって?
エモやんです。
2004年2月3日
イマジン
Imagine there's no 家畜
it's easy if you try
no 家畜 around us
around us only 豆腐・蒟蒻
imagine all the 牛・豚・鶏
dying out tomorrow

はっはんはあ~
焼肉も豚カツも焼鳥も無い世界
君は想像できるだろうか?

捕らえて殺し剥ぎ切り裂き、そして、食べた時代には、生あるものを食わねば生きていけないという意味を人は考え続けただろう。
加工されパッキングされ食材として陳列された肉から生きていた頃の彼らを誰も想像しない。
何億年にわたって形成された食物連鎖の円環を断ち切って、オートメーションのコンベアに乗せた生命を蔑ろにし続けた報いが来るかもしれない。

俺は思う…
今のうちに牛丼喰いまくっとこうと…。
2004年1月28日
続・日本絶滅
鬼怒川美香と四天王寺恭子は呆然と渡辺謙トム・クルーズと向き合っていた。
「ふっふっふ…聞くつもりは更々なかったんですが…」
「まあ…」
「では」
「ではって…ちょっと、見ましたよ『ラストサムイライ』」
「ありがとう」
「…」
「では」
「ちょ…ちょっと待って下さい…私たちの家すぐ近くなんですよ。せっかくなんだから寄って行って下さいな」
「うむ…どうする?トム」
「OK!アイムOK」
「ふっふっふ…」
いきなり渡辺謙は下から睨み上げた視線を美香に向けた。強烈な眼光であった。
「あっ…ああ…」
へなへなと美香は尻餅をついたのだった。
「鬼怒川さん!大丈夫?」
「OK…ドンウォーリー」
美香を助け起こそうとした恭子の視線が何故かトム・クルーズの満面の笑顔と交差した。しかし、その眼は深い憂いを帯びていた。
「あっ…ああ…」
へなへなと恭子は尻餅をついたのだった。
そのときであった。
「お前ら何さらしとんじゃ!」
振り返った謙とトムの視線の先には…
ジーン・ハックマンモーガン・フリーマンが立っていた…。

当初の予定の展開にならないので
2004年1月24日
日本絶滅
幼稚園の送迎バスが騒ぎ立てる子供たちを乗せて去ったあと、主婦、四天王寺美香(41才)と主婦、鬼怒川恭子(28才)は一緒に帰途に着いた。
「昨日テレビ見た?」
「えっ…何をですか」
「病気の番組でやってたんだけど、今の子供って骨盤が退化してきてるんだって」
「退化…ですか」
「うん、骨盤がね、広がっちゃてて腸が下りてきてね、子宮が歪んじゃって妊娠しにくくなってるんだって」
「へえ、そうなんですか」
「大変なことなのよ、これ」
「そうなんですか」
「そうよ、鬼怒川さん、あなた知ってる?日本人の出生率
「さあ」
「今ね1.4なんですって…で、1.2を切ったら絶滅しちゃうんだって」
「絶滅しちゃうんですか」
「そうよ、絶滅よ…怖いわ」
「いつごろ?」
「…さあ、10年後かもしかしたら50年後…かしら」
「どうしましょう」
「わからないわ」
「…」
「ちょっといいですか?」
突然後ろから声がかかった。
「えっ!」
2人の男が立っていた。
「えっ…あなた達…まさか渡辺謙
「…とトム・クルーズ!」
「そうです、私は正真正銘の渡辺謙、そして、こちらはポン友のトム」
「どうして…こんなところに…」
「ふっふっふ…」

続く。
2004年1月23日
転換点
映画『ファインディング・ニモ』を見たい…とずっと思っていた。
親爺が捕らわれた息子を捜すという話と聞いただけでも既にたまらんもんがある。
俺も親爺であり、小さい息子たちがいるから、あのCMで魚の父子が頬をすりすりして喜び合っている様を見るとキュンと来る。
小さな子供の肌はアンビリーバブルにきめ細かく美しい。俺はすりすりしたことなど恥ずかしくって未だ無いが、すれば気持ちいいだろう。

最近、俺は映画を見てよく泣く。
半落ち』と『ジョゼと虎と魚たち』という映画では不覚にも嗚咽の声が漏れそうになったほどだ。しかし、苦い涙であった。感動と喜びで、とどめの涙を流したい。

で、昨日見に行こうとした。
わくわくして映画館に向かう俺の頭は「海」一色だった。
余りにも「海」一色すぎたのかも知れない。
何故か途中で「CR海物語」の看板の誘うかのような、マリンちゃんの笑みに吸引されて、俺の体は気がつくとパチンコ屋の中にあったのだった。
しかも何故か「サンダーバード」という機種に座っていた。
4回もあの勇壮極まりない主題曲を聞いたのだが、最後には財布は空になっていた。
4連チャンで即座にやめれば2万弱のお金を持って『ファインディング・ニモ』を見れたのだ。

流れの転換点は必ず来る。しかし、それを見定めるには知識と経験が要るし、逃さない為には意志力が要る。
俺は転換点を逃してしまった。

あとは次の機会が到来するのを辛抱強く待つしかない。長く辛い日々の始まりであった
…とさ。
2004年1月15日
普通の感覚
外交音痴で馬鹿のひとつ覚えみたいに10数年も「郵政民営化」しか言えないクソが慣れないトップ会談で「真昼の決闘」で共感したとかいうお為ごかしで有頂天になって義務感でやむを得ないと言う人々を死ぬかもしれない所に行かせるならまず真っ先に手前の七光りさえも生かせないカスみたいな息子を遣るべき。これ常人として当たり前の感覚。カス息子は地雷を踏んで手足を全部失ってそれでも辛うじて生きて帰国すればいい。そうすればこの世に生まれた意味も少しはあるだろう。

俺が親なら行けとは言えないが息子なら行くと言うだろう。
2004年1月9日
ダウン
凍てつく川面にぷかぷか浮かぶ彼等
身を切る冷風の上空をひらひら舞う彼等

悠久の時間を経て遺伝子の変異が到達した成果

鳥さんたちの羽毛…あったかい

むしり取り、石油の化合物でそれをくるんで着る。
超…あったかい

1500円で買ったダウンジャケットの無数の縫い目から次々飛び出る羽毛を見て思う

頑張ろう…と
2004年1月6日