男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【す】

姿三四郎

★★ 1977年11月13日(日) 伊丹ローズ劇場 単なる荒技小僧が求道者としての風格を身につけていく変遷が三浦友和には表現し得なかった。最大の弱点はそこだが、手持ちカメラも殊更事象に迫ってリアルな何かを切り取るでもなく安い印象にしかなってない。今更の題…

スケアクロウ

★★★ 1976年1月11日(日) 毎日文化ホール 1980年5月22日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 漫画のようにキメキメの寓話めいた出会いのシーンから始まる割には寒々しいリアリズムな世界で終始するのが少しバランスを欠いてるように感じた。役者は巧いが侠気は…

ストップ・メイキング・センス

★★★★★ 2024年2月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 正直、トーキング・ヘッズにほとんど関心もなかったし、故に楽曲も全く知りません。にもかかわらず、この映画には興奮した。噂に違わぬ傑作だと思います。 「博士の異常な愛情」が印象深いパブロ・…

SCOOP!

★★★ 2016年10月2日 MOVIXあながさき11 継承の物語であることを終盤いきなり持ってこられても気持ちはついてけない。キャパ話だけでは弱いのだ。伊丹な劇伴に乗ったウェルズな冒頭やヒッチな屋上盗撮など魅惑的な細部は多い。演技も力演のアンサンブル…

スティング

★★★★★ 1975年4月20日(日) 伊丹グリーン劇場 1979年7月21日(土) 大毎地下劇場 30年代へのラグタイムに彩られたノスタルジアのモデルを作り、映画史に刻印されるドンデン返しを創作し、性格俳優ニューマンを伝説の領域に押し上げた作品だが、根底に不況下の…

スターシップ・トゥルーパーズ

★★★ 1998年5月16日(土) 梅田スカラ座 軍事優先な背景下のティーンの成長物語に強烈なアナクロニズムを感じる。それが仕掛けだとしてもギャグ化されるわけでもないのでバーホーベンが変態だと了解しても違和感を感じる。昆虫お化けは前半の大群描写は素晴らし…

スネーク・アイズ

★★★★★ 1999年9月11日(土) 天六ユウラク座 忘れた頃にやってきた純正デ・パルマ印100%。縦横無尽に動きまくるカメラと固定のズームイン。2つの超弩級長回しに挟まれればチンケな軍需謀略話も特上のマクガフィンと化する。そして、そうなるかならぬかは監…

スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス

★★★ 1999年9月11日(土) 北野劇場 サーガ序章譚としての決然たる潔さではなく、錯綜する思惑がもたらす雑然な混沌が不様。ベイダーの起源を語るという前提に安住した奢りに何様感を覚える。エピソード4~6を見てることを前提条件とした上で、辛うじてストー…

SPACE JAM

★★★★ 1997年5月5日(月) テアトル徳山Ⅰ NBAにも米アニメにも大して関心も無いし、しょうもないお子様ストーリーで完全なキワ物なのだが一生懸命に全く手を抜いてないので好感が持てる。しかし、教育TVあたりで毎日消耗されている子供向け番組にはこのク…

スウィート ヒアアフター

★★★ 1999年2月13日(土) 第七藝術劇場 町から子供たちが消えたという「ハーメルンの笛吹」モチーフが前半30分を異様なミステリームードで牽引するのだが、大人たちに内在する何某は暗喩めいたままで煮えきらない。イアン・ホルム弁護士の内省的主観描写も物…

スリーパーズ

★★★ 1997年6月7日(土) テアトル徳山Ⅲ 少年時代とその後の青年期を描いた映画は多くあり、大抵は少年期が屹立してしまうのだが本作はそこが予定調和なのに対し、後半に一直線に進まぬ展開が歪な多層感を映画に加味する。ワンショットでデ・ニーロとホフマンが…

ジェネレーションズ STAR TREK

★★★ 1996年1月13日(土) テアトル徳山Ⅱ 興味のない伝統芸能の復活興行みたいなもんで、新旧の主役揃い踏みったって、内実を伴わない気障管理職の成れの果てと出所来歴の知れない胡散臭い禿親爺では一見者にはオーラゼロでキツい。話もええかげんとは思うがそ…

すずめの戸締まり

★★★★ 11月28日(月) TOHOシネマズ梅田1 隕石の落下→大洪水による国土水没→ときて今度は地震です。仏の顔も3度と例えが違うのを承知の上で4度目はないぞと思いました。でも面白かった。「天気の子」より上位に置きたい出来だと思う。 今回、ひっかか…

スリーピー・ホロウ

★★★★ 2000年4月12日(水) ユナイテッドシネマ岸和田2 趣味的嗜好に走りすぎて逸脱するバートン作中で最大の抑制を見せた作だと思うし、多分コッポラの陰での統制があったのではなかろうか。今更の題材なのだがゴシックとポップの理想的ブレンドで画を確立す…

ストレイト・ストーリー

★★★ 2000年5月13日(土) ホクテンザ2 変態毒性リンチが、これを撮ったということで、その意外性を過大評価はしたくない。ファーンズワースも良いが、特にスペイセクは慎ましやかな佇まいで素晴らしい。だからこそ、この世界には如何にもなリンチ的ギミックは…

スモーク

★★★ 1996年7月13日(土) 山口県教育会館ホール 結末を見れば主人公の喪失と再生の物語なのだろうが、それと並列的に配置された親子の物語が全くリンクしない。これでは、随筆映画の域を出ないだろう。ほんわかな微温的ムード映画として見れば、それで充分かも…

スーパーの女

★★★★ 1996年7月10日(水) テアトル徳山Ⅲ 引きの絵を放棄したかの如きテレビっぽさや揃いも揃ったB級キャスティングを含めて透徹されたコンセプトが貫かれている。『マルサ』以降テレビ語りに堕した伊丹演出の極北であり、その意味で完成形として認めざるを得…

スペーストラベラーズ

★★★★ 2000年6月24日(土) 天六ユウラク座 常套的ストックホルムを背景に遊びをシリアスに転化させることは生真面目にそれをやるとヘタすればどっちらけになってしまうが際どいところでかわしている。アニメや渡辺謙の効かせ具合が絶妙。ただ不要な背景描写が…

スワロウテイル

★★★★ 1996年12月1日(日) テアトル徳山Ⅰ 行き詰まりが顕現した時代の混沌と足掻きを捉える岩井の皮膚感覚は正しい。ごった煮アジアンテイストの器の中に、この架空の街をまがりなりにも創造した努力も買う。しかし後半は恐ろしく陳腐化して70年代東映アクシ…

スケッチ・オブ・Peking

★★★★ 1996年11月30日(土) 山口県教育会館ホール ゴミゴミした街の裏側と暑苦しい署内を行き来する日常にシネマ・ヴェリテ的手法が活かされた佳作。仕事に追われて過ぎ去る毎日の徒労は警官とて同じ。そして終盤のたたみかけるような展開はドラマトゥルギーの…

スリ

★★★★★ 2000年11月17日(金) シネマアルゴ梅田 撮影と美術と音楽が静謐に抑制されブレッソンを想起させさえする。黒木が仕掛けた老盟友原田・石橋とのトライアングルが熟成の味を醸し出し、脇を彩る新旧の役者がこれ又ピンポイントで良い味を見せまくる。底辺…

スペース カウボーイ

★★★ 2001年1月17日(水) ホクテンザ2 頑張る爺ちゃん的コンセプトは相当に黴臭いが、イーストウッドは当然に自虐とは無縁で頑固&助兵衛路線を貫徹する。ただ、今回は良いとこをトミー・リーに全て譲った感があり泣かせる。VFXがドラマと親和しないのは『…

スナッチ

★★★★ 2001年3月18日(日) 梅田スカラ座 前作未見で2番煎じを感じないのも確かだが、それでも、出てくる役者がどいつもこいつもオリジナリティを競い合うかのようなハイレベルなセッションを見せる点は突出。組織のボスフォードとロシア人シェルベッジャと殺…

スペシャリスト

★★★ 1995年7月2日(日) 高槻セントラル 骨子はスタローンとウッズの話になるべきなのに下手にストーンを持ってきて、その役柄に分量を割きすぎ拡散してしまった。脇に回る女がやけにポーズを決めてファムファタールな振る舞いをするから焦点がぼける。実直で…

スリー・リバーズ

★★★★ 1994年1月16日(日) 新世界国際劇場 『パルプ・フィクション』に拾われてインディーズ御用達にならなければブルース・ウィリスは消えていただろう。その直前の行き詰まった黄昏の哀感が自己回復の物語と同期する。しかも、一方でアクションの切れ、特に…

スパイ・ゲーム

★★★ 2001年12月28日(金) 北野劇場 いい話とは思うが構成が致命的。一刻一秒を争おうってのに過去の長ったらしい回想が興を削ぐ。しかも、現在進行形のCIA本部が臨場感に富んで大層魅力的なのに対して過去シーンはかなりのルーティーンだ。初めて老醜を曝…

助太刀屋助六

★★★★ 2002年2月18日(月) ナビオシネ5 感涙ものの縦構図の切り返しやストップモーションの絶妙なタイミングや緊張に割り込むユーモアの機微など紛れもなく喜八節の復活。対峙する仲代と小林が醸し出す嘗ての映画の味。しかし、真に驚愕したのは真田の確信的…

スコア

★★★★ 2002年2月21日(木) 天六ユウラク座 『ケープ・フィアー』や『ザ・ファン』あたりで新たな抽斗の枯渇を感じたのであろうデ・ニーロは、この路線で十二分に魅力的だ。3世代の自他共に認める演技虫が肩の力を脱いだ枯淡の味わいとも言うべきコラボレーシ…

スパイダーマン

★★★ 2002年5月11日(土) OS阪急会館2 遙か彼方より筋斗雲に乗った孫悟空よろしく飛来するゴブリンのスーパーナンセンスな素晴らしさには参ったが、そのゴブリンが私的な復讐に終始する物語世界の卑小さが致命的。スパイダーマンがビルの谷間を飛ぶ飛翔感に…

スピード

★★★ 1994年12月3日(土) 北野劇場 技術屋が作った余白の無さが横溢する。見せ場を繋げてダレ場がないのでキャラはシナリオの上辺をなぞるだけで埋没し余韻は遠ざかる。画づらのアイデアは幾つかあっても編集のエモーションに乏しいので決定力がない。いっそ更…