男の痰壺

映画の感想中心です

女が眠る時

★★★★ 2016年3月22日(火) 梅田ブルク7シアター5 剣呑なド変態を盗視するインテリなプチ変態という図式が乱歩チックであり、それがジャパネスク淫靡なアプローチでなく平凡な日本の景観を大陸の感性で濾過した世界で繰り広げられ倒錯的にエキサイティング…

がんばれ!ベアーズ

★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 実際にそれなりの球を投げるテータムのクールなリアリズムが全般ゆるい作劇を辛うじて随所で引き締めるのだが、それがなけりゃどうということもない児童映画だ。ルーティーンどっぷりの役柄を新味なく演じるマッソー…

メイ・ディセンバー ゆれる真実

★★★ 2024年7月18日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 伝説の怪物に話を聞く為に会いに行く。「羊たちの沈黙」で追随不能なまでの決定打を撃たれてしまった設定で、トッド・ヘインズにそれを凌駕するような何かを期待してたわけでもない。 しかし、平穏…

無伴奏

★★★★ 2016年3月26日(土) 大阪ステーションシティシネマ11 結局はこの顛末が主人公に何かをもたらしたわけでも無さそうで、寧ろ無いことが成海璃子のノーブル且つ無頓着演技で際立つのが清々しい。自己愛に浸りたいところを回避し得ている。大騒ぎの片隅…

悪太郎

★★★★ 2017年5月20日(土) シネヌーヴォ 「けんかえれじい」との類似による物足りなさは感じなかった。 多分、覚えていないからだろう。 不良ということだが、、彼の言ってることは正しい。 時代が正しくなかったということで、そのへん描き方は芯が通ってい…

イルカの日

★★★ 2024年7月15日(月) プラネットプラスワン 水面に顔を出して「パー(パパ)」と甘えるアルファ(イルカ)の超絶なかわいさに今更ながらに打たれる。CGなんてない時代の映画であるから本物のイルカなんだとの思いが輪をかける。これ見てしまうと、なん…

パーソナル・ショッパー

★★★★★ 2017年5月18日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 概要だけを語るなら完璧なB級ホラー。 …なのだが、語り口がとんでもなく蠱惑的。 オリヴィエ・アサイヤス。 初見だが、こういう語り口の職人とは思わなかった。 中盤で主人公に登録なしの誰かから…

あにいもうと

★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 昭和初期の設定を70年代に強引に移植したら兄妹の確執は一層の生々しさを獲得した。草刈が秋吉に牛乳を吹きかけるシテュエーションが白眉。ラストの秋吉久美子は正に独壇場で女優賞も無碍なるかなである。 (cinemasc…

密輸 1970

★★★★★ 2024年7月17日(水) 大阪ステーションシティシネマ5 1970年代という時代設定、ヤクザ・退役軍人・汚職警官らと伍して闘う海女たちと聞けば、エクスプロイテーションでピンキーバイオレントなジャンルのレトロ復刻を思わせるが、リュ・スンワンに…

マイ・ラブ

★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 目眩くような歴史の変遷と時代に翻弄される人々をケラー3役とデネ2役のトリッキーで冴えたアイデアと時代ごとのポップスで紡ぐルルーシュの一大転換点となった中期の傑作。後の弛緩した『愛と哀しみのボレロ』の原点とも言え…

カンバセーション 盗聴

★★★ 2016年3月27日(日) プラネットスタジオプラス1 匿名性に固執する孤独キャラは良いのだがサックス吹いたり柄じゃない違和感。ポランスキー&ヒッチ風味で作風を一気に変えたコッポラだがアントニオーニに行き着く手前で息切れした。世界が卑小で冒頭…

ジョゼフィン・デッカー Josephine Decker

生年:1981/04/02 kenironkun.hatenablog.com

あやしい彼女

★★★★ 2016年4月3日(日)大阪ステーションシティシネマ2 所詮は小娘のお婆ちゃん芸と高を括った観客を一気にかっさらうモールでの母息子とのやり取り。演出は映画以前でコクも何もない凡庸さなのだが、仕掛けられた催涙爆弾が峻烈でそれを茶番に終わらせな…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス

★★★ 2017年5月15日(月) 梅田ブルク7シアター2 アライグマの含蓄が半端ない域に達してきて、それだけで楽しい。 しかし、一方で主役の兄ちゃんは何だか影うすい。 そりゃ、父親と息子の関係が主旋律だから、彼はあくまで主人公なのだが、多分こう思ってる…

スコット・ヒックス Scott Hicks

生年:1953/03/04 kenironkun.hatenablog.com

アメリカン・グラフィティ

★★★★ 1977年7月24日(日) 元映 夜通し光り煌めくローカルタウンはルーカス流『ラスト・ショー』への返歌だったのだろうか。最後の馬鹿騒ぎに繰り出す4人の幼馴染みは実は全くつるまない。わけてもドレイファスの孤独で切ない彷徨はこの映画の肝であった。(ci…

3月のライオン 後編

★★★★ 2017年5月7日(日) MOVIXあまがさき7 クライマックスの後藤との対局に於いて、非ビジュアルな棋板の逆転劇を演出するのに小細工を弄せず斜角構図1本で押し切ったのに好感を持った。 唐突なイジメ挿話の投入が如何にも展開の為にする感濃厚なわ…

原廣利 Hiroto Hara

生年:1987// kenironkun.hatenablog.com

Shirley シャーリイ

★★★★ 2024年7月10日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 女流作家の家に間借りした若夫婦がとんでもない目にあう、って梗概を見て「ミザリー」みたいなのかと思ってましたが全然違っていた。「たたり」の原作者シャーリー・ジャクソンの伝記をベースにし…

シャイン

★★★★ 2024年7月13日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 「レインマン」のダスティン・ホフマンや「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスなんかと同じ障がい者を演じてアカデミー男優賞を獲得したジェフリー・ラッシュだが、先述の2人が空っぽに無機化…

朽ちないサクラ

★★★ 2024年7月8日(月) TOHOシネマズ梅田5 タイトルに「サクラ」とあるからって、やたらどのシーンにも満開の桜を背景に取り込むってのは何の意味もないと思うのだが、何の意味もないだけにそのサクラ執着には素直に頭が下がる。世界は意味のあるもの…

蜜のあわれ

★★★★★ 2016年4月4日(月) 梅田ブルグ7シアター5 年寄りの妄想与太話に真摯に取り組んだ結果、キッチュと高尚のレトロモダンな絶妙ブレンド世界が現出。トーマス・マンを眼下に見下ろし飛び越えた世界で変態性も無我の境地に至る。死の気配が漂う金沢の街…

007/ダイヤモンドは永遠に

★★ 1975年8月10日(日) 伊丹グリーン劇場 荒唐無稽に走りすぎて愛想を尽かされ、レーゼンビー起用で更に愛想を尽かされた後の本作。コネリー復帰したが半端な余裕綽々も侘びしく正にシリーズ斜陽の末後感。カースタントとコケティッシュなジル・セント・ジョ…

ある戦慄

★★★ 2017年5月6日(土) プラネットスタジオプラス1 ことが始まる前にご丁寧に登場人物たちを紹介し、件の車両に順次乗り込む。 そして、ことは起こった…。 実に正しく律儀に正統派パニック映画の筆法だ。 確かに戦慄を描いたものであるが、凶事に遭って崩…

クリムゾン・ピーク

★★★ 2016年4月9日(土) 新世界国際 『レベッカ』ベースな古典怪奇譚を贅を尽くした意匠を纏わせ心ゆくまで磨き上げたかったのだろうが内実が凡庸で単なる虚仮威しで終わってしまった。地下貯水槽や赤土採掘機といった魅力的で大がかりな装置がてんで活かさ…

悪魔の手毬唄

★★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 1982年12月21日(火) 新世界座 囁き声で語られる伝承・噂などの毀誉褒貶が地方村落体の本質を衝き恩讐の果ての事件を語るに絶妙。キーマン方庵のフィーチャーこそ肝でアバンタイトル…

カフェ・ソサエティ

★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ずーっと熱心なアレン信者であったわけではない。 多分、3本のスカヨハ時代から欠かさぬ感じになった。 現在、エマ・ストーンも2作登用してるが高打率だ。 これらの5本に共通するのは、一種の批評…

リップ・ヴァン・ウィンクルの花嫁

★★★★★ 2016年4月9日(土) 梅田ブルグ7シアター7 現実の世の中の彼女たちには綾野剛が手を差し伸べてくれることはないのだが、そこまで岩井が呑んで含めた仮想王国を揺蕩うように黒木は乗り越えていく。随所に片鱗が差し込まれる疲弊し腐った現実。それを…

津軽じょんがら節

★★★ 1977年6月13日(月) 伊丹ローズ劇場 後に『祭りの準備』で熟成される中島の都市と対置する地方論が、現代やくざの土俗との邂逅という虚構の中で未だ生硬。ルルーシュかぶれの都会派映像主義者斉藤の思い込み映像は、それでもアンビバレントな虚仮の一心と…

押山清高 Kiyotaka Oshiyama

生年:1982/01/03 kenironkun.hatenablog.com