男の痰壺

映画の感想中心です

小説吉田学校

★★★ 1983年4月11日(月) 伊丹グリーン劇場 森繁の渾身な成りきりこそ見物だが、クソ真面目な森谷に山本のような寝技が出来得る訳なく抑揚の無いエピソードの断片的なつなぎ合わせに終わった。角栄・佐藤・中曽根など不要で三木武吉との確執こそど真中に据える…

クロッシング

★★★★ 2011年5月28日(土) トビタシネマ 律儀すぎてソダーバーグやPTAのような混沌の巨視感には及ばないが、世知辛くも気合充満の破滅譚。ギアの顛末への古式的志向も案外に好みである。何より隠し玉としてのバーキンのドスやスナイプスの鈍重。やってく…

約束のネバーランド

★★★ 2020年12月26日(土) 大阪ステーションシティシネマ9 金髪のヅラかぶったジャパニーズ少年少女がエマとかノーマンとか呼び合う世界に激しく拒否反応を覚えそうであったのだが、北川景子と浜辺美波に釣られて気づいたら映画館に座っていました。 【以下…

ナチ卍第三帝国 残酷女収容所

★★ 1983年3月12日(土) シネマ温劇 残酷な人体実験が身体的トラウマに起因するという解りやす過ぎる展開が興を削ぐ。もっと訳の解らない人間本来の残虐嗜好を表出させるべきであろう。おそらく『愛の嵐』がもたらしたのであろうC級派生商品の1本。(cinemasv…

マイ・バック・ページ

★★★ 2011年6月11日(土) なんばパークスシネマ3 本流の片隅で隠花の如くに朽ちるしかない物語なのだが、ダメなことを追求するでもなく自己憐憫にすすり泣くナルシズムにはゲンナリする。ただ、時代描写の類を見ない充実とエドワード・ヤン的湿度と粘度の汎…

アパートの鍵貸します

★★★★★ 1983年5月7日(土) SABホール インモラルと純情や下衆根性と誠実は表裏であることをワイルダーは最高に哀切なロマンティシズムを背景に呈示し、付与のキャラと正反なシャーリーの翳りとレモンの誠実を抽出した。イヴの狂騒を逃れてアパートへ向かう…

三船敏郎 生誕100年 サムライの真実・幻の大作映画・戦争と特攻

ジャック・カーディフ ゴードン・ダグラス ジュールズ・ダッシン ブレイク・エドワーズ リチャード・フライシャー ジョン・フランケンハイマー ルイス・ギルバート ジョージ・ロイ・ヒル ジョン・ヒューストン ノーマン・ジュイソン アーヴィン・カーシュナ…

奇跡

★★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター6 色々悩みつつも生きていく諦観とも言うべき境地。仄かに暖かい3世代の群像スケッチは稀有な高みを感じさせる。見続けたい停滞を振り切り疾走に移る後半に行き着くクライマックスのケレンの無さ。それも味…

フィツカラルド

★★★ 1983年5月15日(日) 梅田ロキシー 極私的信念に凝り固まって偶発的な誤りで生じた周囲の助けを受けつつ馬鹿げたことやったからといって狂人の戯言であり、況してや延々それを見せられしんどいだけ。スペクタキュリティとして船の密林山越えは見せ場だが贅…

ブラック・スワン

★★★★ 2011年6月19日(日) MOVIXあまがさき2 高度に精緻な達成とは思うが意外性が無いし、純粋に性的な鬱屈のみで極めた『反撥』なんかと比べると夾雑物があるだけエッジが効かない。大体に安直な黒鳥たるべき資質だが、それをクリアできた劇的クライ…

元旦の迷宮

ここ10数年、元旦は会社の事務所で朝からグデングデンになるまで飲んで昼ごろに家に帰るということを繰り返してきたのだが、さすがに明日は絶対に厳禁との上からのお達しを受け大人しく帰ることになりそうで、そんなときだから、改めて世界の先行きに思い…

俺っちのウエディング

★★★★ 1983年5月10日(火) 伊丹ローズ劇場 散文的な丸山の資質が冷徹でも炎を秘めた根岸演出と融合し日本映画としては希な本質で欧米的なライトコメディを現出させた。C調な時任・宮崎を配し尚刻印された青春は叙情性無くモラトリアムな混迷がある。前田撮影…

超強台風

★★ 2011年5月28日(土) トビタシネマ 特撮のええ按配の安さや、鮫登場のハッタリ根性なバイタリズムや、勇壮な解放軍が何処行っちゃた的お座成り感を笑えれば救いなのだろうが、自己批判皆無な廉価なヒロイズムの釣瓶打ちに不快神経を刺激され続けて正直し…

マッドマックス2

★★★★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 ミディアムからロングに至るショットの往還が破綻ないリズムで統一され、その中で中世と近世と近代と近未来が歪つに混合された挙句に現出したパラドックスな世界観。しかも、ロマンティシズムと侠気と執拗なまでのチ…

さや侍

★★★ 2011年6月11日(土) なんばパークスシネマ5 筒井的とも言える弛緩したシュールレアリズムからお手盛りのギャグ展覧会(これも前2作の方が笑える)へ至るあたりは良いのだが、終盤はアナーキズムが消失し一気に迎合世界に安住してしまった。それならヘ…

タワーリング インフェルノ

★★★★★ 1975年7月30日(水) 梅田グランド劇場 数多のジャンル定型の登場人物群の中でマックイーンの職能主義に徹した造形が異彩を放ち、彼の到着以降は脱出と消火の即物展開となる。板子一枚下の地獄と刹那な安全圏の空間構図の造形も秀でており、窮地に際し…

東京公園

★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター4 精神的インポテンツな狂言回しが、世界から弧絶したかのような訳知り顔女や風景と等価程度にしか存在価値の無い女と、これ又信じがたいが何一つ精神的相克無しですれ違う。青山と言うよりその背後の似非教条…

映画 2020

2020年がどういう年だったかというと100人が100人コロナで大変だった年として総括するだろう。行動が抑制され消費が収縮し打つ手のない為政者は迷走する。短期的にはそういうことなのだろうが、100年後の歴史学者は、これをどう位置付けるんだ…

私をくいとめて

★★★ 2020年12月26日(土) テアトル梅田1 女性としての生きにくさみたいなのを、これでもかと自己正当化して描いてるんだけど、正直わからんでもない部分がある一方で、それでももうちょっと折り合いつけてかなあかんのちゃう? とオジサンは思ってしまいま…

対馬丸 さようなら沖縄

★★★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 日本アニメの基底を形成する人々が、絶対的確信のもと残した意義ある結晶。芝山的キャラが形成する安寧世界が一転して地獄絵図に突入する衝撃。その沈没シーンは『タイタニック』も真っ青。極限状態の人々を気負い…

スカイライン 征服

★★★ 2011年6月25日(土) 梅田ブルク7シアター7 サバケた割切りに多少は好感を持ったが、この程度のいかがわしさでは全く足りない。『宇宙戦争』な背景に『マトリックス』敵キャラ群舞の廉価さへの懸念は終盤の空軍とのバトルCGの凡庸さでピークアウト。…

細雪

★★★ 1983年5月22日(日) 伊丹グリーン劇場 4大女優が寄せ集めの感が拭えず、矢張り何度も企画に上っていた山本富士子を長女のアンサンブルが見たかった。見合いを軸に構成したのが定型的で安易。石坂の心情描写も唐突で心に沁みない。であるから矢鱈グラフィ…

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q

★★★★ 2020年12月23日(水) 梅田ブルク7シアター5 いったい何がどうなってん、私は誰?ここは何処?状態で置いてけぼりにされる。 まあ、回収されたシンジのおかれた状況も同じみたいなので、ああ、おんなじなんやと少し安堵し、シンジが世界と同期するの…

X-MEN ファースト・ジェネレーション

★★★ 2011年6月25日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 エリックの個の戦いとしての対ナチ復讐譚である前段のエネルギーは集団戦へと取り込まれて消失してゆく。それが一応収束したあとの抗人類思想の萌芽が如何にも性急で予定調和的。大風呂敷を広げた史…

楢山節考

★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 従来の今村的人物群像の希釈版羅列に新味が無い。人と動物の性の営みがコミューンで等位に並存するその俯瞰的視座に大して感慨も覚えぬが、それが又TV的平板な自然描写内で尚更茶番化する。『復讐』以前の緒形ならと思わ…

SUPER8 スーパーエイト

★★★★ 2011年7月9日(土) 梅田ブルク7シアター4 ネタが割れりゃ今更題材だが、艶ある画面に充満する青春の高揚がテクニカルな設定と同期し神懸りなアングルと編集のダイナミズムに至る駅シークェンス。その前段の高揚が地平を越えず枠内に安住するスピルバ…

燃ゆる女の肖像

★★★★ 2020年12月23日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 相手のことを見つめる視線。 前半は、その凝視する視線が映画のエモーションを規定する。サスペンスフルでさえある。 構成としては「ブロークバック・マウンテン」を想起させる。時代がそれを許さ…

処刑教室

★★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 単細胞なまでにコンセプトは一貫しており、ガキだろうが何だろうが殺られたら殺り返すってことでいいじゃないかってなもんで、アメリカンな論理は怖くもあるが惹かれるもんもある。いや、オーソドックスは強度がある。…

ザ・ホード 死霊の大群

★★★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ セット美術の猥雑な殺伐さと撮影の即物的な質感が秀でている。強固な意志が貫徹されるドラマトゥルギーも妥協知らずに我侭で、得てして二の次になりがちな人間ドラマがゾンビと高度に融合し弛緩ゼロなのが驚き。100…

ドイツ・青ざめた母

★★ 1983年5月23日(日) 梅田ロキシー 男不在の戦禍の時代が女性を自立させるという前向きコンセプトでもない。救いようの無い展開が振り切れるわけでもなく、毒や諧謔もフォトジェニーな見てくれやシュールな意匠といった映画的機微もない。フェミニズム思想…