男の痰壺

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恐ろしき結婚

★★★ 2024年3月24日(日) プラネットプラスワン

ジャック・ターナー初見です。マニアックに評価されてる「キャット・ピープル」も見てません。B級のプログラムピクチャーを撮り続けてるなかで歪な個性が否応なく表出する、と言えば我が清順なんかが思い浮かぶわけですが、この方も多少歪。まああくまで多少ですが。

 

冒頭、嵐の夜の中を列車が行く。ミニチュアの列車の外観が良く出来ていていい感じ。車内で主人公の男は見知らぬ婦人から声をかけられて彼女の話を聞くことになる。物語のプロローグとしてのムード醸成は完璧です。

 

話としては「レベッカ」や「断崖」を思わせるもので、偏執男に娶られた女性が窮地に陥るが主人公の男性に救われる。めでたしめでたしであります。でも、偏執男の偏執ぶりが然程クローズアップされないので、何だかエッジの効かない展開。

その代わり美術面での歪な拘りは見てとれる。夫婦の住む屋敷に何故か水族館みたいなどでかい水槽が幾つかある。明らかに不自然だが、これはクライマックスで盛大に破壊されるわけです。不自然でもなんでも派手にやりたいからえーやん、なんでしょうね。

 

偏執男の異常性を明ら様に描かぬので直裁な物語強度は弱いのだが、屋敷の中に何故か巨大水槽が幾つもあったりして、それは破壊される画の為にだけ存在するみたい。そういうターナーのギミックへの拘りが最も成功してるのは冒頭の疾走する夜汽車のムード。(cinemascape)

 

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