男の痰壺

映画の感想中心です

サンライズ

★★★★ 2023年3月19日(日) プラネットプラスワン

製作当時から現在に至るまで、途切れることなく高い評価を維持し続ける耐久力の高い映画だけど未見でした。今回やっと見ることが叶った。

で、思ってたのとは相当違ってた。

 

不倫を描いた物語の常として、妻は蔑ろにされ、やがて亡き者にされようとする。本作でもそうなのだが、一般にはクライマックスに置かれるそれが序盤に置かれている。佳境から始まるようなもんで、それやっちゃっうと後どうすんのって思いました。

湖にボートで漕ぎ出し男は妻を突き落とそうとする。妻は気配を察して怯える。男も逡巡する。その状態で向こう岸に着く。逃げ出す妻と我に帰り追う男。湖畔の林の中に突然、路面電車(汽車?)が現れる。この唐突さに驚かされた。凄いロケーションの場所があるもんだと思ったが、後から本作は全篇オールセットだと知った。サイレント期の映画の豪奢さです。

 

逃げる妻と追う夫は汽車に乗り都会へ。そこで教会の結婚式を見て2人は昔を思い出す。以下「散髪屋」→「写真屋」→「遊園地」と舞台を変えながら妻の心が氷解していく。決定的に離反しかない2人の状況は何とかなったみたい。めでたしめでたし。映画はこの後、帰路での顛末があるのだけど、この都会での一連の挿話が魅力的なだけに余話に見える。特に屋内アトラクションを備えたパーティ会場の造形は近未来的な一大混沌で凄まじい。ドイツから招聘されたムルナウの渡米第1作だそうだがラングあたりの造形的ハッタリと通底するものを感じます。

ディゾルブを多用する手法がいまいち耐年性を欠くように感じましたけど。

 

後戻り出来ぬ決定的過ちを犯した夫が妻を必死の思いで懐柔し笑顔を取り戻させる迄の話で、そういう意味で冒頭と終盤の挿話は余分に思えるほど。林の中に突如現れる列車や近未来的アトラクションパプなどの豪奢なセット美は独表現主義自然主義の類稀な融合。(cinemascape)

 

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