男の痰壺

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ラスティ・メン 死のロデオ

★★★★ 2022年5月15日(日) プラネットプラスワン

ミッチャムが醸す男の哀愁とかレイの演出が的確であるとか、そんなことは然程思わず、ひたすらにスーザン・ヘイワードが素晴らしいと思いました。名前はなんとなく知ってる人だけど、この人の映画は1本も見たことありませんでした。

 

物語の構図は「シェーン」を思わせる。ささやかな夢を見て実直に生活している夫婦がいる。そこに流れ者がやって来る。かつてのロデオチャンピオンであり、夫はのぼせ上がってロデオに夢中になり実直な生活を棄てる。流れ者は妻に惹かれ妻も又、なんだが「シェーン」同様に一線は越えません。この秘して抑えた感情の機微は、簡単に不倫してしまう現代の作劇では出せるものではない。

 

夫とミッチャムはロデオの大会を転戦してまわる。仕方なく妻も帯同するのだが、同じように男について来ている女たちの明日をも知れない哀しい境遇が点描される。男たちは何時死んでもおかしくないのだ。そういう意味で、これは、師が指摘されてるとおり女性映画と言えるし、実際、ビリング上でもスーザン・.ヘイワードがミッチャムより上なんですな。

 

終盤の怒涛のような展開と簡潔さがもたらす余韻。真・男の生き様の手本。俺も死に際はこうありたいと思いました。

 

終盤の急転する展開の多く語らないことによる余韻を噛み締める。ミッチャムの侠気とポーカーフェイスに隠された想い。転戦に帯同する扇の要ヘイワードの安定を希求しつつ随所で見せる女たちへの意地と共感。無意識下の色気の表出がスーパークールだ。(cinemascape)

 

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