男の痰壺

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この三人

★★★★ 2022年7月2日(土) プラネットプラスワン

ウィリアム・ワイラーと言えば泣く子も黙る巨匠なのだが、考えてみると打ち震えるような傑作ってあったのかと考えてしまう。どうにも大味な感じがします。大作をものにし多様なジャンルを手掛けたという点で似てるロバート・ワイズなんかの方が切れ味で勝る気がする。

 

本作はワイラーが「噂の二人」として再映画化したリリアン・ヘルマンの戯曲「子供の時間」の最初の映画化で脚本もヘルマン自身が手がけている。「噂の二人」は子どもの頃にテレビ放映で見た記憶があるがあまり覚えてません。しかし、オードリー&シャーリーのガチンコに比べてミリアム・ホプキンスマール・オベロンはやっぱ地味ですな。

その代わりに、嘘八百並べ立てる女の子の描写が徹底していて、彼女に無理矢理に隷属させられるもう1人の女の子と合わせて子役の演技は凄い。完全に大人の役者を食っています。クソガキであるがそれでも孫に対して甘い祖母を差し置いて家政婦のあばちゃんがバチコンピンタを食らわすのがほんま溜飲下がります。

 

終盤、崩壊したジョエル・マクリーを含めた関係性を自分が身を引くことで立て直そうとするマール・オベロンが男前なのであるが、この役をシャーリー・マクレーンが演った「噂の二人」を改めて見てみたいなと思いました。

 

ミリアム・ホプキンスは後に「噂の二人」でも客演。マール・オベロンはワイラー映画化の「嵐が丘」で主演に抜擢されてます。撮影はグレッグ・トーランドですが、これといったフォトジェニックな造形は未だ見られません。

 

くそガキの嘘八百が実は本質を突いていたことが繋がらない大人と子供2組の女友達の確執を連関させる。破綻した関係に心を痛めつつ永遠に幸あれのオベロンの漢前な哀愁。ガキンチョ2人のハイブロウな熱演に抗する底意地。バチコンビンタが下げる溜飲。(cinemascape)

 

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