映画1976
★★★★ 1977年3月21日(日) 梅田グランド劇場 キングが日常の細部を伸延させ抽出した些細な翳りをデ・パルマも緻密な技巧の連続で表現する。これでもかの加虐性とマルチスクリーンのどハッタリ。そういう露骨なパフォーマンスの確信ぶりは潔い。ただ、ラストは…
★★ 1977年1月5日(水) OS劇場 島でのシーンは素晴らしく、特に森の中よりコングが初めて姿を現す場面は圧倒的な巨大感の表現に成功していた。しかし、そもそも、このウェットな物語が好きではないのだろう。それとテーマパークの張りぼてみたいなのが著しく…
★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 設定だけの形骸であり、愛や暴力のようなものが描かれているが空虚。ポマードで固めた髪に付髭の背広ガキと化粧して付睫のドレスガキの学芸会。こういうのを楽しむセンスが俺には無い。そんな中で唯一違和感が無かっ…
★★★★★ 1977年3月18日(金) 阪急文化 1978年6月21日(日) ビック映劇 1980年10月29日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1983年2月25日(金) 伊丹ローズ劇場 深夜の妄想を彩る増感光量の粗粒子で映されるポン引き・少女娼婦・タクシー仲間・買春宿の親爺ら住人た…
★★★★ 1977年3月18日(金) 阪急文化 1977年11月13日(日) 伊丹ローズ劇場 多分、大島組田村孟脚本はモラトリアムに生き何も成就できず且つ、親達の溺愛に窒息しかかる子供の衝動的解放を弁証的に問うた筈だが、今村直伝の長谷川演出は、ひたすらな細部の精緻さ…
★★★ 1977年3月23日(水) 阪急会館 ことが始まるまでに延々と続くルーティーンな主要人物紹介が凡庸だが、狙撃犯を一種の厄災として描いたのが新鮮。70年代パニック映画の顔ヘストンに対して配されたカサベテスが絶妙のクールさでいい。断ち切って投げ出した…
★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 実際にそれなりの球を投げるテータムのクールなリアリズムが全般ゆるい作劇を辛うじて随所で引き締めるのだが、それがなけりゃどうということもない児童映画だ。ルーティーンどっぷりの役柄を新味なく演じるマッソー…
★★★★ 1977年4月6日(水) 伊丹ローズ劇場 昭和初期の設定を70年代に強引に移植したら兄妹の確執は一層の生々しさを獲得した。草刈が秋吉に牛乳を吹きかけるシテュエーションが白眉。ラストの秋吉久美子は正に独壇場で女優賞も無碍なるかなである。 (cinemasc…
★★★ 1977年9月11日(日) SABホール そもそも事件そのものが講談的に面白い訳でもない。2枚看板の共闘と老骨の助演陣の滋味とウィリスの光の色と量に対するセンス。これらが後押しして若造記者のスクープ自慢に何がしかの奥床しい切れと深みを付与した。連…
★★★ 1976年12月7日(日) 伊丹グリーン劇場 60年代末にペキンパーにより一旦葬り去られたジャンルをペンとブルックスが復権を試み敗退した翌年に徒花の如く製作されたイーストウッド初期監督作中の最良作。十分な片隅感を横溢させながら引かれ者の小唄的ヘタ…
★★★★ 1977年8月12日(金) 毎日ホール 幼気な少女なのに大の大人をも凌駕する強固な自我。余りに増村的なこのキャラは、このときの原田美枝子の圧倒的な肉体の存在感と目力をもって初めて担保された。快感神経をさえ刺激する直線構造。ワンポイントの梶がまた…
★★★★ 1977年9月23日(金) 大毎地下劇場 トリュフォーのこういう熟れた散文的語りは有りそで無いところが新たな話法への探求を窺わせシビれる。メインに置かれた少年の憧れや、落ち着く結末は正直ありきたりだが、サイドストーリーのエピソードにシニカル人で…
★★ 1976年7月11日(日) 北野劇場 ザナックほどの包括戦略と覚悟がミリッシュに無く、一応は顔見せ的に老朽スターを揃えてはみたが、肝心の戦闘場面までもが老朽使用済フィルムでは残骸感もいや増す。東宝の同工作と同レベル。どでかいセンサラウンド音だけが…
★★★ 1976年11月16日(日) 伊丹ローズ劇場 泥々の因縁話を欲の皮の突っ張り合い程度で茶を濁した感があり本質は遠ざかる。ジャパネスクと崑テクの融合はコンセプトは明快だが、腐乱死体の湖中ショットや金田一閃きの3連繋ぎなど冴えた断片が馴染みきれてない…
★★★ 2016年12月10日(土) 新世界東映 タイトルバックに未だスラムの残る70年代の大阪の空撮映像が出る。 脇雑な混沌に期待が深まるのだが、結局凡百の実録物と差異性はほぼ無い。 神戸の巨大組織の侵攻に長いものには巻かれるしかしゃあないんちゃうとい…
★★ 1999年9月25日(土) 神戸アートビレッジセンター 形而上的に奥深いが故なのか、単に舌足らずな演出による自壊なのか…正直わからないのだが、状況を描くにはメリハリ無くてダラダラしんどく、主人公を描くには半端なエロティシズムが気色悪くもある。強固な…
★★★ 1995年2月19日(日) 新世界東映 荒々しいと言うよりディテールや展開のテキトーさを有無を言わぬゴリ押しで糊塗して狂熱で誤魔化し切ってしまう遣り口が食えない。似非ニューシネマなストーリーも寒いが、渡瀬と杉本の貧乏たらしさのなかに腐れ縁的絆を見…
★★★ 2001年2月10日(土) シネリーブル梅田2 吉蔵の優しさってのが時代への厭世感から来る虚無に根ざしてるように見える。それに対して定は完全ニンフォマニアで吉蔵の心根に惹かれてるわけではなく只管にオチンチンが好きなだけ。心の底で噛合わない愛にはそ…
★★★ 1993年1月31日(日) 日劇会館 京マチ子という超弩級のマドンナを迎えたにしては余りにミスマッチだし食い足りない展開。同系若尾文子も使いこなせなかった山田の弱点が露呈。檀ふみで茶を濁さざる得ない序盤が無駄で虚しい。(cinemascape) kenironkun.hat…
★★★★ 2003年4月18日(金) 千日会館 ポリシーありそうで実は結構流される主人公がヨレヨレに疲れ切り団地の部屋の万年床にぶっ倒れる遣り切れ無さに激しく涙する。遠くハリー・キャラハンから大門に至る思いが錯綜し堪らん感慨があった。加えて梅宮の煌めく男…
★★ 1993年9月14日(火) 第七藝術劇場 遠くで革命の嵐吹き荒ぶ政治の季節に享楽映画を撮り続けるが時代に背を向ける矜持があるわけでもない。末端シンパに女優をオルグらせてみせてもミハルコフの本質は快楽イズムにあることは透けて見える。ただラストシーク…
★★★ 1993年12月19日(日) みなみ会館 「愛くるしい赤ちゃんを殺す」と「気持ち悪い赤ちゃんを殺す」と「化け物を殺す」の間の何処でモラリズムの境界を引くかは神により規程されてるなんて錯覚で実は曖昧なのだ。幼児殺しの時代には主人公が煩悶する境界は人…
★★★ 2021年11月22日(月) 新世界東映 松方の口上が渥美寅さんの劣化版みたいで、もうちと違う方向になんとかなんなかったのかと思わせる。文太/桃次郎に倣って松方/石松も高嶺の花、壇ふみに岡惚れと相成るのだが、なんとも二番煎じだ。 苦境に陥ったマド…
★★★ 1991年8月4日(日) 新世界東映 新シリーズ3部作では最もまとまりがあるが、登場人物たちが義と侠の間で煩悶せざるを得ないあたりテイストが実録から任侠に逆戻りの感。材料出尽くしの果ての後退にしか見えないところが苦しいところだ。(cinemascape) ken…
★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 川本喜八郎の代表作として巷間言われてるのはこれと「火宅」あたりなんでしょうか。てことで期待して見ましたが。 短篇であるから細かい状況描写があるわけでなく、ひたすらに岡惚れ女が逃げる男を追いかける。 ある…
★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX なんでも「人間いじめシリーズ」とかの1作らしく、いじめ言うてもマナー悪い奴をサクラいう中年オバハンがいたぶり倒すてな内容です。桂朝丸(現ざこば)の語りに合わせてプレスコしたものが今作含めて4作品ほどあ…
★★★ 1983年3月12日(土) シネマ温劇 既に役者として伝説領域に降り立ったニューマンを皮相的に伝説否定の表舞台に立たせる諧謔がらしいと言えばらしい。停滞しまくる展開は盛り上がらなくもそれこそ意図であったろうが、未だ欠けたのは滋味と余裕。ところどこ…
★★★ 1981年1月4日(日) コマゴールド 放蕩の果ての虚脱や狂乱が行き着く諦念といったフェリーニのお手盛りモチーフだが今更なので対象への無共感が滲み出る。サザーランドは原型を留めぬまでに上塗りされ、贅の限りのセット美術と人工世界の構築にのめりこ…
★★★ 1981年2月8日(日) SABホール コンセプトは悪う筈もない。ただただ映画的ケレンが不足なのと下世話な世界に及び腰なのだ。曰わくありげな長ったらしいタイトルにちょっと期待しすぎた。インテリ貴族達の斜陽にしても男女の不倫愛にしても今一食い足…
★★ 1980年11月2日(日) 関西学院大学第4別館309号室 清涼感に富む爽やかな映画ではあるが、ローバジェットのNHK教育TVでやってた児童劇映画みたいな感触で歯ごたえに欠ける。救われない現実からの逃避の果てに何ものも見出せないというのがリアルだ…