映画1978
★★ 1980年10月3日(金) 毎日文化ホール 冒頭の誘拐劇からアーヴィング登場くらいまでがサスペンスフルで期待を抱かせるのだが、物語が2人のサイコキネストを往還し出すと全くの停滞感に見舞われる。そもそも元ネタ自体が超能力という題材に寄りかかりすぎな…
★★ 1980年11月18日(火) 大毎地下劇場 冴えない親爺の話というならそれはそれでいいのだが、良識的なる仮面の下のおっかなびっくりの下心を爆裂もさせぬままに曖昧に温く物語りは進行するだけ。いくらなんでも地味すぎ。『ロッキー』ヒットの余波で日の目を見…
★★ 1978年12月28日(木) ダイニチ伊丹 シリーズには間違いなくバイオリズムがあって、不調期に奇を衒ったものを連発して みたものの益々病状が悪化し、ヤバイと思ってオーソドックスに回帰したもののルー ティーンワークにしかならなかったという冴えない作品…
★ 1978年12月28日(木) ダイニチ伊丹 制作当時でさえアナクロであった純情男の恋がヘナチン男なのに簡単に成就してしまうのが温すぎ、しかも、それをクド過ぎる吉幾三とカルーセル麻紀をサブストーリーに配し縁取るとあっては見てるのが一種の苦行にさえ思え…
★★★ 1980年12月5日(金) ビック映劇 カザンやローガン作に比べてコクがないうえに扇情的要素が露骨ではあるがインジ的米南部片田舎の閉塞感の環境描写は節度があり良い。時代もあり事後の主人公の変容は控えめだが、それだからこその決然とした行為が浮かび上…
★★★★★ 1979年2月10日(土) 伊丹ローズ劇場 大島が政治的・社会的メッセージを枠外に置いて狂気や煩悩からも遥かな地点に咲かせた人間の絶対善性。しかし、無垢であることはそうでないものを狂わせていく。人間の救い難い性を撮影所システムの残り香を駆使して…
★★★ 1980年11月26日(水) 毎日文化ホール サイコなパラノイアと小心な真面目男という構図は何時しか崩れ小心者はけっこう大胆になっていく。その変化を脚本は巧くは衝いてないので何処か大味。確かにクリストファー・プラマーは相当に不気味だが『殺しのドレ…
★★★★ 1979年2月10日(土) 伊丹ローズ劇場 浄瑠璃言葉をハイで一本調子な木訥さで朗ずる2人。怨み節を思い詰めた目力に昇華させた梶芽衣子が一世一代の美しさで宇崎竜童の一生懸命のヘタレと絶妙な噛み具合。左・橋本・井川のサポートも強固極まりない。(cine…
★★★ 1980年11月30日(日) 梅田東映ホール 歪なまでに変形しゆく世界観をあくまで日常として呈示しようとする気概は買うが、足りないのはパワー。かつてブニュエルやパゾリーニが保ったテンションを低迷期の仏映画で示現するのはしんどかった。微妙な出来だが…
★★★ 1980年12月27日(土) 三越劇場 映像ハッタリ翁フェリーニも目眩く虚仮威しを封印されたワンセット劇でなんとなく冴えない。そもそも描かれるべきエモーションは映画には存在せず場当たりな帰結で誤魔化すのであれば破壊のカタルシスは生じようがない。ポ…
★★★★ 1979年1月28日(日) 伊丹グリーン劇場 1980年9月11日(木) 梅田ロキシー 未だ離婚が一般化する以前に於いて尚その衝撃を徒に煽情的に描かぬスタンスを早朝のマンハッタンのシーンに代表される空気の透明感が支える。人生の難事を切り抜ける処し方は女性の…
★★★ 2025年4月14日(月) テアトル梅田1 マジックアワー狙いの撮影がやたら伝説化してる映画であるが、「マジックアワー=日没から数十分の薄暮」であるから薄暗いわけで、今回デジタル化されたものを見た印象は「只管に薄暗い」なのであった。どうなんやろ…
★★★★ 1979年4月2日(金) 伊丹ローズ劇場 1980年8月16日(土) 毎日ホール 閉塞世界に穿たれた風穴から見える幻影の「九月の町」は蜻蛉のように儚いが、一方で確固たる現実世界は劇画チックに暑苦しい。モラトリアムということの平熱での表現。底流では通暁する…
★★★★ 1979年1月2日(火) OS劇場 クスブリばかりを集めたかのような2線級オールスター2番煎じものと思って期待もしなかったからだろうが、シネスコスクリーンに映えるエジプトの大景観は正に映画の醍醐味をもたらした。ジャック・カーディフの映画と言って…
★★ 1979年3月16日(金) 伊丹グリーン劇場 混み入った展開に拮抗し得る演出力の不在が御用監督ではいた仕方ないと思わせるが、かのドカエ翁を起用しての余りに凡庸なフォトグラフィと何の感慨も無きロネ客演が相まり往年の世界を転倒させる気概に比し皮相的に…
★★★ 1979年4月2日(金) 伊丹ローズ劇場 ひろ子にガン無視されて不憫でさえある健さんだが斧振り回し脳天叩き割る蛮性と寡黙な礼節とのアンビバレンツが笑える。自衛隊特殊部隊と地方都市のフィクサーと予知能力を持つ少女…出鱈目で過剰で魅力的な設定だが全て…
★★★ 1979年7月21日(土) 大毎地下劇場 ハリウッド王道のロマンティック・コメディ・スリラーだが、エレガンスが足りずもさく、スリルを醸すには下手で、ゴールディのコメディエンヌは買うがチェイスは鈍重な木偶の坊だ。ダドリー・ムーアの異常だけ突出してい…
★★ 1978年2月11日(土) 伊丹ローズ劇場 出涸らし感が半端ない。元々3本で遣り尽して止めるつもりだったのに客が来るからもう1本…大体そいうのにロクなものはない。プリプロ段階のキャスティングの話題が先行し役者も演出も本篇では超マンネリ。唯一の起爆剤…
★★ 1979年8月19日(日) ビック映劇 徴兵拒否するにせよ酒に溺れるにせよそうなる真摯さが感じられず平々凡々たる微温ドラマがだるい。結果ノスタルジーという代物に為し崩しに寄りかかるしか求心力を維持できない。しかも伝説と称されるものがCGの無い時代…
★★★★★ 1979年8月19日(日) ビック映劇 1982年2月23日(火) 三越劇場 反戦と女性の自立という大上段な主題を描き、しかもジェーン・フォンダという女伝道師を主演にそえ、ビートルズからストーンズに至るド真中ポップスを背景音に紛らせ、何たる静謐さでコント…
★★ 1979年10月28日(日) トーエイ伊丹 着流しではなくブレザーを着た足長おじさんヤクザは洒落た喫茶店で殺した友の娘を見守る。画を描く組長にチアリの音楽が世界をマイナス方向に補強。溜めたパッションは爆発叶わず気障なポーズの内側に埋没する。真高倉チ…
★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 栗原小巻もユーリー・ソローミンも決定的に色気が欠けているので、木偶の坊の惚れたはれたを延々と見せられて苦痛である。加えてロシアの風土がうそ寒く日本は京都の風情までもが何故か沈鬱極まりない。時代錯誤な製作姿…
★★ 1978年8月7(月) ダイニチ伊丹 勝野・鮎川ラインのドラマが弟子筋仕事で気の無い山田イズムに乗った微温の極みでどうしようもない。いっそ毒を食らわばでカルーセルで押しまくってほしかった。所詮は混入した異物は弾き出され異化作用を及ぼすことなく日々…
★★★★ 2015年11月15日(日) シネヌーヴォ 多分に比喩的な「海を渡って災厄が来る」というモチーフを「どや!」とばかりに仰々しくやるところがキュート。リアル廃墟な古城やそこに至る路程の描写がヘルツォークエッセンス満載。古典に敬意を表した静止画チッ…
★★ 1978年4月29日(土) ダイニチ伊丹 1982年11月3日(水) 関西学院大学1号別館1号教室 モラトリアムが意味を失った時代にファッションとしてそれを仮装するダメさを。或いは苛烈な旅路の果てに迎えた老境をコンテンポラリーな可愛い年寄り像へと封殺する愚を…
★★1978年8月7(月) ダイニチ伊丹 慎ましやかな人々を描いてこその山田演出は花形スターをマドンナに持ってきて端から届かぬ感を漲らせシラける。SKDの楽屋裏の描写が旅一座的猥雑さを混じえて良いのだが、華のあるべき場面まで泥臭いのでは救われん。武田…
★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ 多くの登場人物が捌ききれたとは言えず、ごった煮的展開を1本調子の演出での2時間半とあってはしんど過ぎ。殺陣はシンプルな場面は買えるシーンもあるが集団戦になると馬鹿みたいに血吹き出させ過ぎで失笑さえ禁じ得ない…
★★★ 1978年8月19(土) 伊丹ローズ劇場 大スケールの物語を得意の映像マジックで何とかカバーしようという心意気は感じるし、脚本も「黎明篇」を巧くダイジェストしているのだが、アニメ使用が何とも中途半端で肝心要の「火の鳥」に至っては実景に全く溶け込ま…
★★★★ 1978年9月15(金) アサヒシネマ どこにでもありそうな地方都市での痴情事件をメカニカルな法廷ものとして組立て、尚且つ、事件の中から一種神話的な人間の根元性を抽出し得たと思う。新藤兼人脚本の良さもあるが松坂の情念と永島の生硬さの組み合わせの…
★★★ 1978年9月3(日) ダイニチ伊丹 1980年8月22日(金) 毎日ホール もっと扇情的でも良かった。加虐と被虐のベクトルが曖昧で感情の肩入れが出来ない。室田演じる兄貴風吹かせるチョイ悪親爺は結局閉じた世界の住人となるに、殊更葛藤も無さそうだ。妻が愛おし…