★★★★ 2025年9月6日(土) テアトル梅田4

「ウルトラミラクルラブストーリー」では刮目させられた横浜聡子であったが、長い停滞と回り道を経てやっとこさ本線上に回帰してきたとの希望を感じさせる作品だと思う。
撮影に三宅唱の直近の2作を手がけた月永雄太を登用して、今回16ミリの即物感でなくデジタルのようだが、全篇のおそらく2/3くらいに緩やかなズームアップ&ダウンを処すという徹底ぶりが、得てしてとっちらかった群像劇をひとつの世界観で統御し得ている。何かが起こるやもの不穏と何事も起こらぬ安堵が映画の頭からケツまで持続するのだ。
フェリーニに準える評を見たが、1つの地域コミュニティにおける仄かにシュールで時に奇天烈な温もりと優しさに縁取られた世界は「アマルコルド」を連想させはする。無いのは時代性と批評性と詩情だろうか。ただ、それらの欠如は仕方ないのだけど、代わりと言える圧倒的な何かは残念ながらここには無い。テレキシネス少年とスケベ爺いの件や、死期の迫った老婆と変装少年の件など好きなだけに惜しいと思った。
男目線のエロスの欠如は女性監督だから仕方ないとは言え、唐田えりかの水浴シーンはやっぱ濡れたシャツに乳首が透けないと話にならんのやないか。あの程度では如何なガキと言えども興奮せんやろ。