男の痰壺

映画の感想中心です

映画1996

身代金

★★★ 1997年2月15日(土) テアトル徳山Ⅰ 誰でも一度位はアイデアを思い付く。問題はそれを如何に深化させ派生の枝を広げ物語の揺るぎない骨子と成し得るかだが、本作は拡散して焦点ボケした。演出も丁寧だが律儀すぎてメリハリに欠け脚本の欠点を補えていない…

ファイナル・プロジェクト

★★★ 1997年3月2日(日) 徳山国際シネマ 『007』とか『インディ・ジョーンズ』みたいなのをやりたかったんだろう。おかげでジャッキーの緻密なカンフーアクションは仕掛けに物言わせた世界で埋没し、大味なスタントに終始する。そんなのは彼以外のもっと垢…

101

★★ 1997年4月6日(日) 岩国国際劇場 擬人化された動物も漫画なら許容できても、実写となれば余りに胡散臭い。ブチ模様の犬を101匹も集めて人間の考えた話ににピースとして当てはめるのは奢りであろう。しかも救われんのが、そうまでされた犬達が余り可愛く…

ジャック

★★★★ 1997年4月6日(日) 岩国国際劇場 大人の姿の子供にロビン・ウィリアムズと聞いただけで食傷感を覚えるが、彼の毛深さが思いの外に主人公の悲哀を際だたせる。対する母親にベタつかないダイアン・レインを持ってきたのも正解。導入シークェンスの乾いたセ…

ファーゴ

★★★ 1997年4月27日(日) 山口県教育会館ホール 多義的状況を描くのでなく一応主人公と目されるメイシーが存在するというジレンマが解消されぬので茫漠。2人組の掛け違えた歯車が狂っていくのでなく根っこからゲスで狂ってるので単線的であるし女性署長の好人…

ロング・キス・グッドナイト

★★★ 1997年5月10日(土) 岩国ニューセントラルⅡ コミックの王道とでも言うべき設定は置いといて所詮お手盛り夫婦の出来レース的な雰囲気が致命的なのだ。ジーナの勘違い女王様的な立ち居振る舞いが興を削ぐ。それを又ハーリンが太鼓持ち宜しく不必要過分な火…

ザ・エージェント

★★★★ 1997年6月8日(日) テアトル徳山Ⅰ 崖っぷちエージェントにポンコツ選手を配し再生が2重構造になっているのが巧妙で両者が絶妙に補完し合う。クルーズのハイテンションパフォーマンスへの転換点。ゼルウィガーのキュートな哀感も相性抜群な正統派シチュ…

ロミオ&ジュリエット

★★★★ 1997年5月25日(日) 岩国国際劇場 ビデオクリップめいた演出は多少鼻につくものの、今更の古典を再映画化するには、枠組みに対してこれ位壊滅的な破壊操作があった方がいい。一方で台詞の温存という自己制約を課したラーマンの矜持。躁状態下の青春劇と…

ラストマン・スタンディング

★★ 1998年10月10日(土) 天六ユウラク座 この素材をどう料理すればこれ程不味い代物が出来るのか…不思議でさえある。得体の知れない三十郎は得体の知れたジョン・スミスに凡化され、ペキンパー擬きのヒルのアクションは擬きの果ての劣化イミテーション。本卦…

バードケージ

★★★ 1997年1月3日(金) テアトル徳山Ⅰ オリジナルを見てないんだが、比較すると多分緩いんだろう。マイク・ニコルズの演出は卒なくこなしてるだけで何の気概も感じられない。ただジーン・ハックマンの何でも演る性根だけが辛うじて対価に見合うものと思われた…

フェノミナン

★★★★ 1997年1月18日(土) テアトル徳山Ⅰ オールドハリウッド的理想主義と湾岸戦争勝利の反動がもたらした利他主義が同居し宗教臭が横溢してたとしてもケレンは無くストレート。そして、この映画でのトラボルタが醸すオーラは神話の域に到達したかにも思われた…

パトリス・ルコントの 大喝采

★★★★ 1997年1月24日(金) 徳山市市民館小ホール いい加減と紙一重の肩ひじ張らないフットワークと一作毎に簡易にテーマを変える変幻自在さ。洒脱を心得たルコントをアレンと比肩させるのは的を得てるだろう。老優たちが見せるアホ演技のコンビネーションの絶…

エビータ

★★★ 1997年2月9日(日) 岩国ニューセントラルⅢ 「アルゼンチンよ泣かないで」を始め名曲を高らかに歌い上げるというミュージカルの醍醐味を久々に味わったのは事実だが、大統領の妻としても女権運動の功績者としても、描かれるエビータは愛らしくもなく賢こそ…

ジングル・オール・ザ・ウェイ

★★★★ 1997年3月2日(日) 徳山国際シネマ とてつもなくくだらないワンアイデアのみでひたすら強引に引っ張りまくるのが一種清々しい。そう思って見てると終盤で意外にも境界線を越えてしまう悪乗りに現代に於けるシュールレアリズムのポップとの幸福なる融合の…

マーズ・アタック!

★★★ 1997年3月30日(日) テアトル徳山Ⅱ レトロチープなコンセプトはソリッドと対比されてこそ際立つのに、おバカ騒ぎで粉飾して意匠は後退した。バートンはミニマム世界の住人なのだろう。キューブリック並みの巨視的・俯瞰的な破壊のカタルシスは手に負えず…

男はつらいよ 寅次郎紅の花

★★★ 1996年1月3日(水) テアトル徳山Ⅱ 根無草の寅の終焉に何らかの帳尻をつけようとしたのが間違っており、動けぬ渥美にリリー介添えで年寄の馴れ合い的辛気臭さが蔓延した。寧ろピチピチの若きマドンナで明るく陽気に何の予兆もなくプッツリ終わってほしかっ…

Shall we ダンス?

★★★ 1996年1月28日(日) テアトル徳山Ⅲ 本木主演の連作では異文化ギャップの単線構造で済んでも、役所・草刈の大人世界では男と女の領域に踏み込まずには済む筈もない。何も無いことで却って妻が不憫に見える逆説への無自覚。自己完結した世界に安住しマンネ…

ブロークン・アロー

★★★ 1996年3月9日(土) 徳山国際シネマ 鈍重な役者たちと辟易するCGの汚濁にまみれて香港の鬼才はハリウッドの大量生産公式に飲み込まれてしまった。最早どこにでも転がってる凡百のアクションのひとつにしか過ぎない。それだけに申し訳程度に見せるジョン…

(ハル)

★★★★ 1996年4月21日(日) テアトル徳山Ⅲ 恐らく想像だが森田は新幹線を使ったすれ違いというアイデアを起点にパソ通という今風アイテムを取り入れ物語を構築している。そして、そのシーンは気合い乗り充分で最大の見せ場たり得たが、全般にショットのパワーが…

フロム・ダスク・ティル・ドーン

★★★★ 1996年6月15日(土) テアトル徳山Ⅱ もろロドリゲスな後半はともかくタラテイストな前半には堪能した。熾烈なサド趣味がクルーニーの仁と危うく拮抗するあたり、彼はこの映画を完全に背負えている。ラスト泥まみれの風貌は『大列車作戦』のランカスターを…

ニルヴァーナ

★★★ 2000年6月10日(土) 天六ユウラク座 丁寧な作りで小賢しさは無いものの目新しさも無い。どっかで見たよなサイバーなテーマと多国籍なイメージばかりでマニアが作ったマニアックムービーだ。ゲームの主人公のおっさんキャラに意外性はあるが、その苦悩なん…

ミッション:インポッシブル

★★★ 1996年7月6日(土) 徳山国際シネマ 『スパイ大作戦』リニューアルバージョンにデ・パルマとは打って付けの人選に思え、実際、マルチスクリーン等のケレンがはまり、兎にも角にも欧州系俳優2人の参画で60年代冷戦下スパイ映画のムードは復刻された。惜…

スーパーの女

★★★★ 1996年7月10日(水) テアトル徳山Ⅲ 引きの絵を放棄したかの如きテレビっぽさや揃いも揃ったB級キャスティングを含めて透徹されたコンセプトが貫かれている。『マルサ』以降テレビ語りに堕した伊丹演出の極北であり、その意味で完成形として認めざるを得…

学校の怪談2

★★ 1996年7月20日(土) テアトル徳山Ⅲ ベタだが明快な骨子があった1作目に比べ、全く練られてないとしか言いようのない脚本がうんざり。明らかに興行事情にかまけた怠惰な仕事。お化けも新味無く、辛うじてのベタ強度を持った岸田今日子がいなけりゃ救いよう…

GONIN2

★★★ 1996年8月2日(金) テアトル徳山Ⅱ 前作の男達ほどには負って立つもの無き女5人が雁首揃えてみたところで切実な逼迫は現出しない。やむなく奇天烈な中年JK大竹を楔として緒形投入で撹拌を図るがとっ散らかるだけだった。結局は殺戮マシーン鶴見の異様な…

ガメラ2 レギオン襲来

★★★ 1996年8月17日(土) テアトル徳山Ⅲ 細部で伊藤の政治性・樋口の画心・金子のミニスカ趣味がせめぎ合い予断を許さないし、毎度臨死まで痛めつけられるガメラの超M本質は外してないが、レギオンが凡庸。そのバトルは何故か「ドラゴンボール」めいて元気玉…

栄光と狂気

★★ 1996年9月8日(日) テアトル徳山Ⅱ 真摯に題材に突き動かされ製作に至るのではなく、外国人を使って英語映画を撮るという過程が全てで、小賢しいまでに手慣れた原田の技法からは隠匿されたコンプレックスが匂い立つ。クソ面白くもなく、どういうマーケット…

眠る男

★★★★ 1996年11月2日(土) 山口県教育会館ホール 硬直した形式主義な閉塞感に若干の嫌悪を感じつつも絵力には魅せられる。多くの登場人物の連関しない生きとし生ける混沌は、群馬という箱庭的限定空間に培養されたアジア的カオスにリンクしつつ呈示されダイナ…

ティン・カップ

★★ 1996年9月23日(月) テアトル徳山Ⅰ 実力があるのに、それを出し切れない理由として「わがまま」っちゅうだけでは話にならんと思う。それじゃあ実力も無くひたすら我慢の人生を送る俺みたいな野郎は浮かぶ瀬もない。何から何まで甘ったれたクソ映画。(cinem…

学校Ⅱ

★★★★ 1996年10月19日(土) テアトル徳山Ⅱ リサーチがもたらした養護学校に携わる人たちのプロフェッショナリズム。それを具現化する演出の力量と役者魂の相克。リアリズムな前半の室内からファンタジックな後半の雪原への展開も閉塞感を解放する。ギリの選択…