映画1997
★★★★ 1998年4月21日(火) 梅田スカラ座 展開が速すぎてタメがないことは今更言うまい。驚いたのはミシェール・ヨーに対するブロスナンがそこはかとなく共闘関係の男女の機微さえ醸し出した点。又ギリアム風味のジョナサン・プライスもナイスで3者が拮抗して…
★★★ 1998年4月27日(月) 梅田ガーデンシネマ1 過剰でフリークなワイルドバンチ。導入の襲撃シークェンスは空間処理の不均衡も相まって期待も高まる。抗するカリョの狂気も必要充分であった。しかし、そこまで。過剰に突き抜けることもロマンティシズムに反転…
★★★ 1998年4月13日(月) 天六ユウラク座 2枚看板だがデップはともかくアル・パチーノの演技が抽斗の範囲内で全く目新しさを感じないし、ストーリーとしても余りにまっとうで捻りが無い。あくまでそうなるべくしてなったそこそこ映画だが、どストレートなラス…
★★★★ 1998年3月6日(金) テアトル徳山Ⅱ この監督ならラストはきっとこうなるという予見を完全にはぐらかされた。ピシッと膝打ちそうこなくっちゃと思う。後で考えてみりゃあこういう裏切り方以外にどう終わっても予定調和と感じただろう。裏の裏の衒いなさが…
★★★ 1998年5月24日(日) 第七藝術劇場 既視感のある作風は侯考賢以前に作られたものならと思わされる。田村正毅の映像は狙った反ドラマチックなものを的確に収容するのだが、介入する非日常のシュールやドラマラスな恋慕を掬い切れない。抑えたトーンが何とは…
★★ 1998年3月6日(金) テアトル徳山Ⅰ 『ブロークン・アロー』以降のジョン・ウーは出涸らしに成り果てた。間尺に合う世界でお手のもの題材であり得意のケレンとキザも適宜の挿入だが、設定が馬鹿馬鹿し過ぎ主演の2人がこれ又鈍重で見れたもんじゃない。過剰…
★★★ 1998年4月27日(月) 梅田ガーデンシネマ1 忘却のマイナー役者を掘り起こし主役コンビに当てた周りを売れ線バリバリの連中で固め且つ徹底して予想を逆手に取った役をはめる。意図して基軸をずらせた感じが匂う。それなら、いっそ物語を語らない位がいいの…
★★★★ 1998年1月23日(金) 岩国ニューセントラルⅡ 日常の仕事をこなす如くハードな仕事を成就させるヒーローを確立。たたみかける編集の冴えも伴いアクションの切れは超A級。特にトルコのシークェンスは特筆でパノラミックな景観と錯綜する力のベクトルの混沌…
★ 1998年2月18日(水) 梅田ガーデンシネマ1 『ソナチネ』な厭世刑事の『あの夏』な無言劇…だが哀しいまでに上滑り。丸眼鏡からはみ出たたけしの顔はおだて上げられ自己愛で腐臭を放っているかのようだ。伊丹が『マルサ』で周防が『ダンス』で陥った自己模倣…
★★★★ 1998年5月24日(日) 第七藝術劇場 メソッドの無限連鎖による緊張感の連続を田村正毅の自然光による優しい撮影が包み込む。それがなければ苦役に近い鑑賞を強いられた。極限の地獄を見たであろう役者2人のドキュメントととも見れるが惜しむらくは終盤の…
★★★ 1998年6月13日(土) ホクテンザ1 映画内記憶と精神分析の混合が提示する物語は或る種の居心地悪い剣呑さを纏っていて、作家としての新たな鎧を手に入れた感はあるが、病み人たちに仮託されたそれは、やはり己の内実を曝け出すことに踏み出せぬ表層だと思…
★★★★ 1998年1月14日(木) テアトル徳山Ⅲ ハイ&ローの呉越同舟をヴィスコンティ級の重厚さで描くことができれば密閉空間の悲喜交々も荘厳なものにもなったろうがハーレクイーンにライト。そして、訪れる悲劇もテーマパークのアトラクションのように期待値の最…
★★★★★ 1998年7月21日(火) パルシネマしんこうえん テキトーの屋上にいいかげんの屋を架す連鎖がこれ程までに米スクリューボールコメディのスパイラルテイストに迫り得た事に驚愕。情に棹さすかに見えて驚くほど乾いてもいる。豊富な小ネタの冴えもあるが匂い…
★★★ 1998年8月22日(土) ホクテンザ2 コッポラらしい冴えが見られないと言うより、最早、ある意味らしいと思えてしまう弛緩ぶりが侘びしいなりにも納得させる普通の映画。撮影や美術に決定的タレントを欠いたがミッキー・ロークを筆頭に脇を固めるキャストが…
★★★ 1998年9月19日(土) 小阪国際劇場 クソが寄ってたかって織りなす流れがものの見事に転がり転がってくサバけた脚本にクセある役者を揃えてネタ上等なのに肝心の調理人ストーンの演出にキレかなくなっちまった。単線構造で状況の錯綜を捌く腕が振るえなかっ…
★★★★ 1998年9月23日(水) ワーナーマイカルシネマズ明石1 正直、懐古調ノワールとして見るならそうエッジの効いた出来とは思わないが、意外にも正義を貫く侠気や女性への純な想いが真っ当に描かれ、一方でハードボイルド風味も予想以上。スペイシーのキャラ…
★★★ 1999年6月5日(土) 神戸アートビレッジセンター リンダやみちよの70年代歌謡に郷愁を感じたかったのだが刑務所の面会所での「他人の関係」だけが強烈に画面とフィットしただけで、あとはどうも何か違う感じだ。寺山の暗部とフェリーニの陰部を足し廉価…
★★ 1999年4月17日(土) 天六ユウラク座 製作を仕切ってお手盛り御用監督のもと天狗になっちまったクリス・タッカーが透けて見えそう。結果、素材としてのアナーキズムは雲散した。当然ながら拮抗するテンションはシーンには無いので2人揃って凡庸なストーリ…
★★★★★ 1999年4月6日(火) 西灘劇場 フェリーニのようなものではなく混沌とした内実が希求する表現が深層のところで合致し吹っ切れた領域に突入したアレンの里程標。ゲスな女狂いは必至こくメガネ親爺の七転八倒によって緩衝され小説世界のナンセンスと混濁し…
★★★ 1999年4月3日(土) 第七藝術劇場 フィルムの質感や撮り方或いはレイノルズ筆頭のクスブリ感満載の役者陣など70年代洋ピン業界のチープなテイストがダダ漏れてるが、そもそもこんなものにノスタルジーなんて感じたくもない思いが障壁となる。業界栄枯盛…
★★ 1997年5月24日(土) テアトル徳山Ⅰ 鼻眼鏡の老境演技がわざとらしいイーストウッドのキャラクターに辟易するのだが、一応、盗視場面は彼の変態底流が滲み出て見所ではある。しかし、芸の無い脚本を単に通り一遍に撮っただけ的な演出は凡庸そのものだ。無駄…
★★★ 1999年2月27日(土) 第七藝術劇場 請負仕事を無難にこなすこれが本当にガス・ヴァン・サントの映画なのかと思った。天才という設定は気が利いてるが捻りなくプレーンすぎる展開と手法のオーソドキシー。なので主人公の悩みは皆目心に届いて来ない。エスコ…
★★★★ 1999年2月13日(土) 動物園前シネフェスタ3 いきなり故郷に帰ってきた男に慌てふためく旧知の人々。設定も如何にもで、市川の技巧は鼻につく寸前までワンパターン化してきたが、仏頂面の寅次郎を長塚京三が好演。しかし、成功の要因は耐えて受け身に徹…
★★★★ 1997年8月10日(日) テアトル徳山Ⅰ 焦らしと溜めを意識した1作目のオーソドックスに比し、こいつは兎に角くどいまでの恐竜出まくりの満喫感。緩いカンディからカミンスキーに代わりフィルムの深度が増幅。終盤は『キングコング』や『ゴジラ』へのリスペ…
★★★★★ 1997年9月15日(月) テアトル徳山Ⅰ 第5のエレメントがこれか?の呆れた幼児性を、自己満足を貫徹する変てこ極まりない設定や意匠の釣瓶打ちで粉飾。豊穣な資金とパートを担う才能の結集と有無を言わせぬ展開の奔流により具現化された一大奇想天国。と…
★★★ 1997年10月19日(日) テアトル徳山Ⅲ 芸能界と警察と新興宗教の3題話が巧くリンクし切れず散漫な印象で、後者2つに絞るべきだったが、そうなると『マルサ』や『ミンボー』と同じになる。そこに伊丹のジレンマがあったのだろう。凝りまくりの江守と伊集院…
★★★★ 1997年11月16日(日) 岩国ニューセントラルⅡ 男の再生譚なのであろうが、贖罪とか予定調和な展開はかわされ、ただ幼児のように女性の懐中で甘えたいという今村の潜在願望が露呈した理想郷。対置された悪意の権化柄本の不気味と田口のドツボ感。一筋縄で…
★★★★★ 1999年8月28日(土) 西灘劇場 エゴヤン的退いたアプローチが転じて終盤のカサヴェテス的に肉を切る展開に迫るあたりで醍醐味は充足されるが、更にラストで反転されるうっちゃり展開には世界が変じて全てが許容可能となる。前作に続き連チャンされるアン…
★★ 1998年7月21日(火) パルシネマしんこうえん 演出の過剰な自意識。主演者を筆頭にした各方位への遠慮と忖度。どちらもこの小さな閉じた世界の物語には無用の長物で腹立つ位に不適合。竹中がそうなのは今更仕方無いが中山美穂までが薄幸美を意識しすぎてあ…
★★★ 1999年1月17日(日) みなみ会館 設定が痛々しすぎコメディ色が馴染んでこないところにマクレガーが如何にも小便臭くて逃げ出したくなるのだが、堂に入るキャメロンの存在感に加えてホリー・ハンターのまさかの怪演。脇に逸れる歪な展開が一応は飽きさせな…