男の痰壺

映画の感想中心です

映画1937

ハリケーン

★★★★ 2018年8月11日(土) プラネットスタジオプラスワン 昔の映画だし、ハリケーンの描写もどの程度のもんだろうと思って見た。 が、想像以上であった。 水量が半端ない。 風の強さが半端ない。 そして、人々の命が半端なく奪われる。 我々は、東日本大震災…

大いなる幻影

★★★ 1979年3月11日(日) SABホール 敵味方が同じ貴族であることをもって、お互いを理解し合うというのが如何にも太平楽であり、あんまり琴線には響かなかった。ただ、脱走後に庶民であるギャバンが一時の平穏を得る山間部の描写は輝いている。(cinemascape)…

失はれた地平線

★★★ 2025年3月8日(土) プラネットプラスワン 住む者は歳をとらず、あくせくせず適度に働いて衣食住は事足りる。であるから犯罪なんておきようもない。といった理想郷があったとさ、なのだが、そもそもにそんなんが本当に理想郷なんやろか、人間の利己心や…

天使

★★★★ 2015年12月21日(月) シネヌーヴォ フレームの枠外で物語を語るのは粋だとは思うが、このルビッチはそれに意識的すぎてチョイ煩わしい。しかし、2転3転する下世話な女心を能面タカビーなディートリヒに演じさせてサスペンスフルでさえある。最後の最…

望郷

★★★ 2001年3月15日(木) 動物園前シネフェスタ2 もうパリが恋しくて堪らない郷愁は嵩じてタカビーパリジェンヌへの想いへ転化するのだが、埋没して漂流する自我を描いてきた近世の目で見ると余りに浪花節だし、掻き消される声の浪漫主義最高潮な大見得は博物…

淑女は何を忘れたか

★★★★ 1994年3月5日(土) ACTシネマテーク 1時代が終わったスターが滋味とも言えるオーラを発散するという意味で、この栗島すみ子は『代理戦争』の旭に匹敵するかも知れない。ルビッチに傾倒する小津が未だ偏固ではない柔軟性を醸した時代の逸品。この夫婦…

暗黒街の弾痕

★★★★★ 1993年9月8日(水) 第七藝術劇場 悪循環に止め処なく墜ちてゆくことに些かも情緒的でない。後世の多元的で錯綜した構成の『俺たちに明日はない』に比し初源的で単眼的なのだが、原理的な表現主義ショットが鋭利に冴えまくるのだ。『羊たちの沈黙』にも…

歴史は夜作られる

★★★ 2021年1月11日(月) プラネットスタジオプラス1 夫婦や恋人といった男と女の間には、たいてい2人にだけしかウケないパーソナルな思い出みたいなのがあって、映画はそこらへんを具体的に且つロマンチックに造形・創出することでご婦人方のハートを鷲掴…

人情紙風船

★★★★★ 1981年5月20日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 1982年9月22日(水) 新世界東宝敷島 出口無しの貧乏地獄でも人々は矜持と楽観を手放さない。多くの人物を交錯させつつ、それらを抽出した脚本の妙と中村・河原崎の体現する豊穣なダンディズム。ペシ…