男の痰壺

映画の感想中心です

映画2000

ショコラ

★★★★ 2024年1月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 閉塞的なコミュニティに外部から流れ者がやってきて、その閉塞を解きほぐす(男の流れ者なら打破する)って話は鉄板なんでしょうね。コミュニティが家庭なら「サウンド・オブ・ミュージック」や「…

オーディション

★★★★ 2000年4月26日(水) 動物園前シネフェスタ2 彼女欲しさの嘘八百のオーディションがアンチモラルとしても男なら解らないことはないという微妙な匙加減。トラウマに囚われた不孝な過去を背負うとしても抑制の枷をぶっ飛ばす一大ショッカーの連続が柔な理…

どら平太

★★ 2000年5月17日(水) ユナイテッドシネマ岸和田1 我がぶつかり合う四騎の会共同脚本の結果はスパークし損ね凡庸な隠密同心ものにしかならなかった。しかも消費期限の切れたもんを賞味期限切れの市川崑が撮って案の定の出来。黒澤か小林監督で三船・仲代で…

グラディエーター

★★★★ 2000年6月22日(木) ユナイテッドシナマ岸和田7 序盤のゲルマン攻略は圧倒的であり掴みとしては最高。『ベン・ハー』『スパルタカス』を継接ぎしたかの如き展開もまあ許せる。ただ、主人公の流転人生を描くに必要な時間が足りず無駄が無さ過ぎ。個の対…

M:I-2

★★ 2000年7月10日(月) ユナイテッドシネマ岸和田7 イーサン・ハントが女ごときにメロメロになっちまうのではスパイの風上にもおけなく全然クールじゃない。見せ場が独自で遊離し物語と有機的に結合してない。しかも、何よりトム・クルーズの体技は編集でい…

★★★ 2000年9月2日(土) テアトル梅田1 悲惨な状況に諧謔を差し込むことは有りだとしても真のどん底から遠ざける。ひとつひとつのエピソードはそれなりに魅力があるが単なる羅列に終わり再生につながる道程を構築しきれない。主人公の生き様に対しての感情の…

チャーリーズ・エンジェル

★★★★ 2000年11月14日(火) ユナイテッドシネマ岸和田7 狂騒ムービーは数あれど真の意味での祝祭気分を醸し出させるには躊躇の無さと素直さが必須なのだ。天下に人柄の良さを轟かせるキャメロンと甘いも酸いも嘗め尽くしたドリュー(ルーシーはよう知らん)の…

スリ

★★★★★ 2000年11月17日(金) シネマアルゴ梅田 撮影と美術と音楽が静謐に抑制されブレッソンを想起させさえする。黒木が仕掛けた老盟友原田・石橋とのトライアングルが熟成の味を醸し出し、脇を彩る新旧の役者がこれ又ピンポイントで良い味を見せまくる。底辺…

漂流街 THE HAZARD CITY

★★ 2000年11月14日(火) ワーナーマイカルシネマズ東岸和田7 外国人カップルが日本人ヤクザに追われるという設定なら、情に棹さすにせよ非情に突き放すにせよ物語強度が要件と思うが、プロットの遊びにかまけてる三池演出が不快。主演2人も弱かった。一方で…

カオス

★★★★ 2000年11月20日(月) テアトル梅田2 正直凄く面白いアイデアでもないし中田演出は中谷美紀からエロスを抽出しようと躍起になっているが未だ力量不足の感がある。だが、もどかしいほどの遣り切れなさが横溢し随所でヒッチ乃至は伝統的ファムファタ-ルへ…

新・仁義なき戦い。

★★★ 2000年12月2日(土) 天六ユウラク座 原シリーズが集団劇のマスヒステリーから望まずとも個の対立が浮かび上がるのに対し本作は冒頭から物語を規定してしまい定型化してしまってつまらない。曽根晴美等の旧世代と小沢を筆頭とした新世代の織りなすコラボが…

ダンサー・イン・ザ・ダーク

★★★ 2001年1月15日(月) 梅田ピカデリー4 障害があって貧乏で産んだ子も障害があり不条理に死刑された人は多分いくらでも居るだろうし、そういう人が友でも救う術無く見守ることしか出来なかった人も多く居るだろう。映画は冷徹に描写する以外に何が出来るだ…

バトル・ロワイアル

★★★★ 2000年12月18日(月) 梅田東映 たけしが子供王様なリアル世界との差異を圧倒的上位から冷笑気味に裁断しつつ、生な中年の侘びを感じさせる辺りの新味と、ガキのサバイバルごっこに結構熱く燃える深作の野暮天な実直が直線でシンクロするのが「格」を感じ…

スペース カウボーイ

★★★ 2001年1月17日(水) ホクテンザ2 頑張る爺ちゃん的コンセプトは相当に黴臭いが、イーストウッドは当然に自虐とは無縁で頑固&助兵衛路線を貫徹する。ただ、今回は良いとこをトミー・リーに全て譲った感があり泣かせる。VFXがドラマと親和しないのは『…

四十七人の刺客

★★ 1995年2月4日(土) 天六ユウラク座 ジャンル不問で原作を蹂躙をしてきた男が流されているだけの衰え。回復不能なまでに緩みきった市川節の老残。含蓄の計略士とは正反の高倉の無残も相俟りミスマッチ地獄の中でアクションも出し殻。唯一の救いは浮きを承知…

回路

★★★ 2001年2月10日(土) 三番街シネマ2 ミニマムな世界で解ったような解らんような終末感を描いてこそ或る意味深遠さを醸し出していたのに、こうも子供じみたビジュアルで具現化された終末世界がヤケにちぐはぐ。大体、武田真治が語る幽霊が出てくるワケの幼…

BROTHER

★★★★ 2001年2月10日(土) 梅田ピカデリー2 いつもと同じならまだしも逆境の異国で芽生えた異文化間の友情みたいな風化コンセプトを持ち出して来たんじゃ後退だと思うのだが、しかし加藤雅也や石橋凌といった従来にない見映えするキャラクターをアメリカ風土…

アンブレイカブル

★★★★ 2001年3月30日(金) 梅田東映パラス 『シックス・センス』同様の孤独な魂の対峙と相克。超絶美技だった前作を完全に裏切るズッコケ展開なのだが、無駄にパワーアップした冒頭シークェンスを筆頭に何でもかんでも痛ましいまでの哀しみに満ち溢れさせてい…

十五才 学校Ⅳ

★★★ 2001年4月6日(金) パルシネマしんこうえん 長距離の運ちゃんにせよ頑固な爺さんにせよ、そういう未知世界の住人との邂逅を自己回復のよすがとするなら最低の因果律を提示せぬでは片手落ち。散文的でドラマトゥルギー皆無。散文だと言うなら役者陣がベタ…

花様年華

★★★★★ 2001年4月23日(月) テアトル梅田1 空調の無い時代の湿度と空気の濃度。その中で視線で囁き合うかのような感情交錯が醸し出す刹那。それでもチャンの素肌は涼やかだしレオンはあくまで端正だ。技巧の極致をいく長焦点レンズ使いが2人の関係を世界から…

あの頃ペニー・レインと

★★★ 2001年4月9日(月) ナビオシネ5 マニアック小僧の業界見聞記が所詮は傍観者に留まり、自らの成長譚として生ぬるい。傷を負い血を流して欲しい。この時代、ロックシーンはもっとドラッグまみれで死と隣接してた筈。回顧調の蒸留メモワールでなく同時代的…

サディスティック&マゾヒスティック

★★★ 2001年4月13日(金) シネヌーヴォ 良識人的風貌の小沼がSMという題材に傾倒する何かが露呈されたわけでもない。ただ真摯に付与の仕事に向き合ったのだとする中田の抑制には好感を持つ。谷ナオミとの邂逅シーンはさながら『インテルビスタ』のフェリーニ…

天国までの百マイル

★★★★ 2001年4月6日(金) パルシネマしんこうえん 巧妙な換骨奪胎であると同時にベタ泣かせの商業的陥穽には田中陽造だから落ちるようなことはない。何の個性も主張しない演出だがプロットの把握の仕方は的確。しかし、名手田村をもってしても、この貧弱ライテ…

ギフト

★★★ 2001年6月18日(月) 梅田ピカデリー3 『シンプル・プラン』にも通底する弱者への慈しみが基調にあり、ケイトの静謐なる佇まいと相まって哀しみに溢れた情感が全篇を覆う。それだけに、オカルティズムはドラマの根幹だとしても、そこに収斂させる作劇では…

ファイナル・デスティネーション

★★★ 2001年8月24日(金) 新劇会館シネマ1 おっ開げた世界が矮小化しようとも、掴みが良ければ余熱で映画はもつ。殺戮ショーの品評会以上でも以下でもないのだが、定められた運命の不可逆性は世界観を押しつけられ蹂躙されるかのような居心地の悪さだ。個々の…

親分はイエス様

★★★ 2001年9月7日(金) テアトル梅田1 極道時代を描いた部分が適宜な役者の配置により過不足ない出来で温さを免れており、後半もそれなりには感動的。まあ、何を思い何するかは人それぞれなのだが、肝心の何故クリスチャンに?…という部分は皆目わからずじま…

現実の続き 夢の終わり

★★ 2001年9月20日(木) ホクテンザ2 水野美紀の復讐アクションに特化して欲しかったのだが、何故か台湾マフィアの内輪揉めの話が延々と繰り返されるのでイライラしてくる。台湾人監督の描きたいことは我々日本の観客の要求に応じ切れていない。展開はルーテ…

焼け石に水

★★★ 2001年9月20日(木) 扇町ミュージアムスクエア 図太いおっさんが勝ち残ってしまうのが人生ってそんなもんという諦念につながる一篇なのだが3者3様に靡いて蔑ろにされるというM連鎖が感情寄せる部分も無いままヘタレダンスで一体化というキッチュ。結局…

ターン

★★★ 2001年12月6日(木) 動物園前シネフェスタ4 手塚治虫の掌話みたいなテイストなのに無人の幹線道路なんかをヘタに見せたりするから見る者は大構えな何かを期待してしまう。ミニマム世界に徹して吉の企画だった。抑制が効いた描き方は焦燥と諦観、希望と絶…

フェリックスとローラ

★★★ 2002年1月17日(木) 梅田ガーデンシネマ1 世の倫理の外にもある愛を描いてきたルコントだが、流石にこの自己愛女を描くに正面突破は難儀したのか薄幸を装わせ仕掛けを引っ張る搦め手戦法。だがそれは男の無償の純愛を後方に霞ませてしまう。イライラ感が…