★★★ 2025年1月12日(日) シネヌーヴォ
瀬川昌治再評価のきっかけとなった作品だそうだ。確かに冒頭からの万葉歌を出演者各人に朗じさせながら場面を転換していくあたり好テンポだし、全篇賑々しく突っ走る出来で緩むところはない。
しかし、本四連絡架橋の建設に当て込んだ老舗旅館の買収や、一方で環境破壊だと反対を唱える女性活動家たち、といったプラグマティックな設定は案の定というかすぐに済し崩しになってしまう。そして例によっての男と女の世知辛い庶民コメディが現出するのだ。まあ、それはそれで十分オモロいんですが。
フランキー堺・財津一郎・山城新伍の男衆に対して女衆は朝岡雪路・日色ともゑ・田坂都なんですが、田坂都とか懐かしかったですなー、ドラマやCMで売れっ子でしたから。お亡くなりになったそうです。だけどこの3人の中で一際イメージギャップを覚えたのは日色ともゑですわ。なんといっても「大草原の小さな家」のお母さんですからね。メガネの活動家で男の前でも平気で下着姿になって着替える様はじーつによろしいです。
「急行列車」でも書いたが、瀬川の演出は出たとこ勝負のロケーション撮影をドラマに組み込むのに長けている。本作でも阿波踊りの大群衆の中に役者を放り込んで見事な臨場感。
フランキーと山城が神戸のストリップ小屋で出会う件。大音響でかかる「河内のオッサンの歌」が時代色を滲ませ出色。多分当時相当使われてたんちゃうやろか。