男の痰壺

映画の感想中心です

ファースト・オピニョン 伸るか反るか

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去年の11月頃「なんか痒いなー」と後頭部をガリガリ掻いていたらでっかいフケが剥がれてきた。それに伴い粉状のもパラパラ落ちてくる。フケなんて20代の頃までは人並みに出ていたが、もう何十年もご縁のない代物であったし、何よりでっかいのが気になり、それが数日しても出続けて収まらない。「カビちゃうやろか」と不安になり仕方なく仕事場の近所の皮膚科に行った。初老の医師はピンセットで皮膚を剥がして顕微鏡で見て「カビは無いな」と言い、紙に脂漏性皮膚炎と書いて「やな」と言った。

変なカビじゃなくて一安心した俺は「で?」と聞き、医者は飲み薬と塗り薬出しとくから2週間後来いと言った。その薬のおかげかどうか知らんがデッカいのは出なくてなった2週間後、「どう?」と聞かれ「おかげさんで治ったみたいです」と答えおしまいと思ってたら、「ちょっと見てみよか」と俺の背後に回り後頭部を見て「まだ赤みがあるなーフケも出てるわ」と、で飲み薬と塗り薬出しとくから2週間後来いと言った。

更に2週間後、今度はもう終わりやろと思って行ったら、まだフケ出とるわ。俺はたまらず「フケが完璧になくなることなんかあるんですか」と聞いた。医師は「うむ、ある」と。そして2週間後また来るように言われた。

言う気はなかったのだが、何かの折にその皮膚科の話を女房にグチってしまった。「アホやなーそんなん予約してても行かんかったら終わりやんか」そういう答えが返ってくることはわかっていたのに。お前と違って平気でそういうことができる性格やないんや、俺は信義則を重んじる男、医者の予約言うても約束は約束なんや、と心の中で独り言つ。

その後も同じことが繰り返され半年が経とうとしていた先月、俺は仕事の合間に映画館にいた。席に座って待つ間にふと思い出した。「しまったー!皮膚科の予約してたんやった、でももう間に合わん、しゃーない」上映中もその後も電話がかかってくるんちゃうかとドキドキしたが、かかってこなかった。世界が俄かにクリアになりモヤが晴れたようだった。あの野郎と縁が切れた、もう行かんでええんやー!

 

高校生の頃に足に魚の目ができて歩くと痛いので皮膚科に通ったことがある。そのときも初老の医師はもっともらしく赤外線(?)みたいなのを照射療法し続けて何ヶ月か通った。全く治らなくて、仕方なく近所の市民病院の皮膚科に行った。若い女の先生が出てきて「あー魚の目ね」と言って液体窒素で冷やして固めてメスで抉り取った。その1回で病院には行っていない。

 

セカンドオピニョンという言葉が1人歩きして疑心暗鬼で医者を信じないことに俺は疑問を感じる人間であるが、時と場合によるみたい。俺のつたない経験が何かの参考になれば幸いである。