男の痰壺

映画の感想中心です

見えない恐怖

★★★★ 2018年12月22日(土) プラネットスタジオプラスワン
イメージ 1
冒頭、タイトルバックのエルマー・バーンステインのパンチが効いた音楽にやられる。
 
のだが、まあ、変質者の殺人鬼に盲目の女性が追い回される。
ってんで、「暗くなるまで待って」を否が応にも想起するのだが。
 
前半の室内シーンであるが、ローアングルの移動を多用し、惨劇の全容が小出しに提示される。
このあたりをフライシャーすげえ!ってなるかどうかが評価の分かれ目なんでしょうな。
まあ、良いちゃあ良いのだが、何だか思いつきに終始してる感も…って俺は感じた。
そう言ったら、わかってないな!って言われるんでしょうな。
 
俺はむしろ、後半、舞台が屋外に展開し出してからに瞠目した。
凄まじい荒涼感で、泥濘の工事現場みたいなところで、ミア・ファローがこれでもかってくらいにいたぶられる。
殺人鬼にではありません。
監督のフライシャーにです。
崖から転げ落ちるのも本人が演らされております。
やらすほうもやらすほうだが、やるほうもやるほうだ。
 
ミアの恋人一派が事態に気づいて、おんどりゃあ!やっちまえーとばかりに銃を持って追う。
そんで、ジプシー野郎が怪しいとキャンプを急襲。
おいおいって感じだが、嫌疑が晴れて良かったわあ。
そこが、実は一番ほっとした。
ダメっすか。
 
惨劇の全容が小出しに明らかになる寝起きの屋敷内徘徊。ローアングルと移動使いにポリシーが感じられないフライシャーのB級魂全開なのだが寧ろ屋外に展開してからのサディスティックなミアいたぶりに本質を感じる。嗜被虐の臨界線上を歩いてるのだ。(cinemascape)