男の痰壺

映画の感想中心です

福岡

★★★ 2023年10月2日(月) シネヌーヴォX

チャン・リュルにとって「柳川」の1つ前の作品だが物語構図は似ている。韓国のおっさんと少女が福岡に行きおっさんの学生時代の先輩のおっさんを訪ねて3人で福岡の街をぶらぶらする、という話。

男2人と女1人のポジションが違うし、おっさんと少女なので3人の間に男女の何某かは存在しない。まあ、少女といっても成人なので現実にはあってもおかしくないんですが。

「柳川」の鄙びた風情ではなく福岡は街だし、又映画は殊更に特徴的なその景観をピックアップしないので、どこにでも転がってる街に見えます。

 

おっさんと先輩は学生時代に演劇部で1人の女を取り合った仲だったが、この不在の女が物語を転がすわけでもなく、あいつは俺に気があったんやー、何ぬかす俺に惚れとったんじゃーと酒飲んでぐだぐだやってるのが関の山でして、その間に少女は1人行動。村上春樹を読んでる女や古本屋の店員の女性と交流する。この辺が不思議未満・現実ちょい離れの痒いところに手が届かないけどそれも又良しな塩梅であります。

 

先輩役に最近のホン・サンス映画に於いて監督とか先生役で半常連化してるクォン・ヘヒョ、少女は「パラサイト」で一家の長女役をやったパク・ソダム。この映画の彼女は可愛いよ。

 

不在の女を巡って「俺の方に惚れとったんや」自慢を酒飲みグダ語るおっさん2人と、異郷の街を彷徨する女が出会う不思議未満・現実ちょい離れの痒いところに手が届かないけどそれも又良しな出来事。とりとめない顛末に福岡の何処にでも転がってる風情が合う。(cinemascape)

 

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