男の痰壺

映画の感想中心です

地球防衛軍

★★ 2023年8月10日(木) 大阪ステーションシティシネマ

この巨大ロボはモゲラというのだが、篇中その呼称は出てこない。後付けであろう。モグラみたいな見てくれだからモゲラでいいじゃん、とまあ大方そんなとこなんでしょう。

 

村で盆踊りの最中、山で異変が起こる。この盆踊りがオープンセットを組んでエキストラも賑やかに無駄に気合いが入っております。これはいけるんじゃないかと思いました。山火事や地滑りの描写のミニチュアや合成の劣化風味も又滋味があります。

 

だけど、モゲラが出てきてその鈍重さに飽いた頃に、あっさり自衛隊にやられてしまうのであった。その後は星人ミステリアンとの攻防なのだが、この星人てんで大したことなさそうな点において地球侵略星人史上トップクラス。近親交合から種族存亡の危機で地球の女をかっさらって子孫を産ませようという寸法です。下手にリアリティがあって哀しくも世知辛いのだが、囚われた女たちは救出してみると何かされた風もなく元気そのものなのであった。実におおらかである。

 

「地球防衛群」とものものしいタイトルだが、制作された1957年の前年に日本は国連に復帰加盟している。戦後の禊ぎが済んで晴れて国際社会の一員として世界に認められたという思いがあったのだろう。映画を覆う能天気な緩さはそういう時代の反映。まわるまわるよ時代は回る〜なのだ。

 

敗戦後の塩垂れ感が国連復帰で禊ぎが済んでの復権。その安寧が悲壮感を削ぎミステリアンのヘタレ造形に繋がったのだろうが彼らの地球の女掠取計画はヘタに生々しい。冒頭の盆踊りがヤケに気合いが入ってモゲラ登場まではかなりにハイブリッドなだけに惜しい。(cinemascape)

 

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