男の痰壺

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ヴィレッジ

★★ 2023年4月23日(日) MOVIXあまがさき2

一言でいうと何の捻りもない話である。

社会的に底辺にいて最早諦め切っているような若者がいて、彼がチャンスを掴んで這い上がるのだが、それが棚ボタみたいなもんで自分で足掻いて掴んだもんでもない。それを男前の横浜流星が小汚い風情からスッキリ爽やかになる事で見せるのだが、どうもなと思う。

もちろん単純ではない背景があって、彼ががむしゃらな上昇志向を持てない立場なのは描かれてはいる。だが、その糞詰まりのような状況を打破する能動性を見せて欲しかった。ひたすらにダウナーな展開の果てに破綻が来る。それではカタルシスはやって来ない。

 

産廃処理場勤務にパチンコ中毒の母、村を牛耳る一族とそこのクソ息子。これらの映画的トピックは相当に手垢がついてるものばかりで斬新さの欠片も無い。村の中腹に処理場の建物があるのだが、CGで合成されたそれは廉価な象徴イメージそのものでわざとらしい。

 

いったい藤井道人はこの映画を作る事で何を表明したかったのだろうか。撃つべきものは権力者個人ではなく、日本に古来より根付くシステムそのものの筈。全てを壊滅させるくらいの意気地見せてみろってのよ。

 

状況打破の為に足掻きもせぬ只管なダウナー展開の果ての破綻は産廃処理・ギャンブル中毒などの手垢な悲惨でしょうトピックで彩られ内実の欠片もない。底浅の権力構造は村の神社上方にある工場の廉価CGイメージが象徴する。真に撃つべきものは終ぞ現れない。(cinemascape)

 

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