男の痰壺

映画の感想中心です

ジュリアス・シーザー

★★★★ 2017年6月24日(土) プラネットスタジオプラス1

昔は良かったよなあ、規律と道徳があって…それが、どうだい、このありさまは。
シーザーが長期覇権を確立したローマ帝国の有様を見て嘆く賢人たち。
このままじゃあ、あかん。
美しきローマ帝国を復活させるのじゃ。
大体、シーザーって、昔はヘタレやったやん。
 
てな感じで賢人たちは、シーザー暗殺を決意した。
で、実際ことに及んだのだが、民意はついてこなかった。
 
実に政治と民意とポピュリズムの本質をついた話であり、今の時代でも全くに当てはまる。
シェークスピア恐るべし。
 
前半、密議はコロシアムの裏階段下とか、寂れた公園とか家の軒先とかで行われる。
セットに全然金がかかってないだけに、舞台劇的なメリハリが支配する。
その溜めた映画的エモーションは暗殺後の大群衆を前でのアジテーションで炸裂する。
 
賢人として人気ものだったブルータスのいまいちの演説は、その後登壇したアントニーアジテーションで一気に転覆させられる。
それまで、単なるマッチョな太鼓持ちとして後方に控えていたマーロン・ブランドの胆力が凄まじい。
篇中の白眉であり見ものだ。
 
実に政治と民意の本質をついた話でシェークスピア恐るべし。密議は物陰や軒先で行われ溜まった映画的エモーションは事変後の大群衆を前でのアジで大炸裂。賢人の真摯な吐露はポピュリストに一撃で駆逐される。後方で控えていたブランドの胆力が白眉。(cinemascape)