男の痰壺

映画の感想中心です

牢獄

★★★ 2017年10月7日(土) プラネットスタジオプラス1
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3重のマトリョーシカ構造で尚且つ2層目と3層目がシンクロするので予備知識なしではわかりにくい。
 
ただ、ペシミスティック&サディスティックなのは徹底しているし、ベルイマンが映画の語り口において初期から熟達してたことは窺い知れる。
カメラの動かし方や編集の闊達は、彼がもしハリウッドにわたって娯楽職人になっていたらとさえ思わされる。
 
神の不在とは、未だリンクしていないので、人の生きざまは須く地獄だという言い分は生なましい。
 
概ね深刻で救いが無い展開のなかで、唯一のワンシーンの絶対的と言っていい温もり。
2人が屋根裏部屋で子供時代の玩具の8ミリフィルムを見る。
その、スラプスティックな喜劇の面白さ。
これをベルイマンがオリジナルで創作した器用さに感嘆。
 
3層の入れ子構造で2・3層目がシンクロする脚本の映画イズム。カメラワークや編集にも全き活動屋魂が漲る。だがペシミスティック&サディスティックなのは徹底し神の不在とリンクせぬので尚生々しい。その中スラプスティック8ミリの哀切なまでの可笑しさ。(cinemascape)