男の痰壺

映画の感想中心です

バルカン超特急

★★★ 2024年2月5日(月) プラネットプラスワン

イギリス時代のヒッチコック作品としては圧倒的高評価を得てる作品みたいだが、設定が全てであって、画面内に映り込んだものが物語を離れ自走しだして意味を帯びるような後期作品の絶対性には遠いと思いました。

ヒッチ自身がバカバカしいと言ってる本作のマクガフィンも「北北西」みたいな純粋昇華形態を見てしまった後では、文字通りバカバカしい。銃撃戦があったり半端な活劇性も余分。

老婦人が車窓に手指で描いた「FROY」の文字が決定的なもんになるんやろうと思ってましたが、その見せ方もケレンが全然なく淡白なのに逆に驚きました。

 

まあ、それでも列車が走り出してからの展開には引き込まれた。それは、前段の宿でのかったるい1夜に尺を費やしたからで、やっぱ映画って頭から尻尾まであんこの詰まった鯛焼きではいかんのやと思います。最近はそんなんばっかやけど。

 

足止め食った宿での1夜が相当にかったるいのだが列車が走り出してからは展開の妙で見せる。があくまで展開であってヒッチらしいカメラ・編集の技巧が自走する様は見られない。「FROY」の見せ方などどうしたのかレベル。マクガフィンも無為性に遠い。(cinemascape)

 

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