男の痰壺

映画の感想中心です

ハルチカ

★★★★ 2017年3月29日(水) TOHOシネマズ梅田4
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身も蓋もない話である。
吹奏楽部を中心になって立ち上げたが、肝心の奏者としての資質に欠ける女の子。
で、一生懸命に努力しましたが…結局ダメでした。
 
そんだけなのだ。
 
前半の部員集めの「ちはやふる」2番煎じ的迎合性に大丈夫かと危惧させただけに、この展開は溜飲が下がる。
市井監督のポリシーを押し通す胆力を感じる。
 
中盤と終盤の2度のミュージカルもどきシーンの弾け切らない緩さともどかしさ。
そういう、ふやけた部分もあるが、要所で突出した演出がカバーする。
 
演奏の駄目さに自己練を命じられた環奈が部室を退場したあとの部員たちの軋轢。
これを完全フィックスの超長回しで撮る。ちょっと驚かされた。
 
ラストの屋上。3すくみの位置関係と視線の交錯。
永続する時間軸への限りない慈しみがある。
 
身も蓋もない話であることが2番煎じ的迎合性を破砕する。ミュージカルもどきの拙劣も要所の突出した演出がカバー。完全フィックスの超長回しで撮られた環奈退場後の部員たちの軋轢。屋上での3点交錯の視線が示現する永続する時間軸への限りない慈しみ。(cinemascape)