男の痰壺

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フィニアンの虹

★★★ 2018年7月15日(日) プラネットスタジオプラスワン
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コッポラのメジャーデビュー作であるし、かの「ゴッドファーザー」の2本手前の作。
なんだから、もっとフィーチャーされてもいいんだけど…。
 
まあ、あんまりオモロくもないんだわ。
ブロードウェイのヒットミュージカルだそうだが、元ネタは北欧的な艶笑譚だと思う。
そういう意味でベルイマンとかシェ-クスピアっぽいのだが、
それをアメリカの山間部に舞台を移して、異文化の融合を狙ったのだろう。
あんまり見ない味わいではある。
 
山間部の村は白人と黒人の構成が半々みたいなのだが、いわゆる人種的な差別を正面切っては描かない。
しかし、多分今のコードからすれば上映を妨げると思われるエピソードがある。
魔法で白人が黒人にされる。
ってことで、演じるキーナン・ウィンはシャネルズ乃至は浜ちゃんよろしく黒塗り。
まあ、この人、町の有力者で利権亡者で多分、黒人に対しても加害者だったんだろう。
が、いったん黒人になっちまったら、流れのジャズユニットに混じったりして結構楽しそうです。
 
コッポラの演出は、空撮やクレーンなどいろいろやっているし編集も意欲的。
とは思うがロバート・ワイズ以降ってことを思うと画期的なわけでもない。
 
妖精が出る北欧的艶笑譚をアメリカ山間部の白人・黒人混在地域で展開する文化的ミクスチャーは微妙な無国籍臭を放ちオモロイっちゃあオモロイがそこ止まり。新人コッポラが躍起になってカメラ・編集ダイナミズムを投入するのだが真のカタルシスには遠い。(cinemascape)