男の痰壺

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ザ・クリエイター 創造者

★★★ 2023年10月21日(土) Tジョイ梅田7

進化したAIは、やがて自走してロスに各爆弾を落とす。これは、それ以降の物語。とまあ、そう来ればガリガリにハードな未来絵図を期待させるのだがそうではなかった。ギャレス・エドワーズは俺にとって期待度A級の監督だったのだが、ちょっとがっかりです。

 

【以下ネタバレです】

世界は2つに分断されている。アメリカを中心としたAI廃棄・撲滅陣営とニューアジアというAI擁護陣営でなのだが、そのニューアジアが最終的な、まあ世界をひっくり返すようなAIヒューマノイドの開発に成功したってことでアメリカ陣営はそいつを破壊する為に攻撃部隊を送り込む。

でも、そもそもにロス壊滅の核投下は人間側のミスであったことが判明するし、ニューアジアは平和にAIと共存する人&ヒューマノイドたちであることが早々にわかるので、物語構図は見飽きたものだと知れてしまう。「アバター」とかで平和に暮らすパンドラ先住民を機械化部隊を送り込んで殺戮する地球軍なんかと同じ。このニューアジア攻撃部隊の隊長を「アイ、トーニャ」でトーニャのおっ母さんを演ったアリソン・ジャネイが演じてステレオタイプを逸脱する深みを見せるのが新鮮なくらい。

 

世界を一変させるというAIヒューマノイドが幼気な少女の姿をしていた、ってのが売りみたいだが、であるならば怖気を感じさせるくらいの脅威の片鱗を見せてほしい。自爆ロボットを止めてみせる位ではね。

 

物語のもう1つの骨子であるワシントンとジェンマの悲恋(?)にしても、彼女の想いが不明瞭なままでは下手すればワシントンの勝手な思い上がりかも知れないし、そんな描き込み不足のなかで彼女こそがAIのクリエイターであったっていう種明かしも全く響いてこない。あっそーレベルだ。

 

ノマド」をはじめとしたガジェットのビジュアルは良かった。問題は脚本やと思います。

 

予想外の『アバター』的な展開構図の陳腐さにエドワーズの底浅が露呈されて落胆。喪失された想いを巡る孤軍奮闘も所詮は1人相撲の懸念が拭い難い。戦慄する瞬間がほぼ無い割にビジュアルは良いのも虚しい。渡辺の半端な日本語混じりの台詞にも閉口。(cinemascape)

 

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