男の痰壺

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ヒズ・ガール・フライデー

★★★★ 2023年8月28日(月) プラネットプラスワン

フロントページ」の元ネタであることは知っていたし、TV局に舞台を変えてリメイクした「スイッチング・チャンネル」も見ている。どちらとも佳作であったし、本作も十分に面白かったが、何せ知ってる話なだけに驚きもなかった。まあ、本作自体も「犯罪都市」という映画のリメイクらしいのですが。

 

マシンガントークが有名なことも聞いていたし、実際聞きしに勝るものだったけど、なにぶん英語を聞き取る能力もない俺はニュアンスを味わうだけであった。字幕では1/3も伝え切らないはずだから。師匠である先輩がニヤつきながら「どや、スゲーやろが」と言ってるのを聞きながら、この人英語できるんかいなとふと思う俺なのであった。「ヒルディ役を女に変えたことで男女のニュアンスが加わって台詞が倍増したんや、それがホークスや」なるほどそれはその通りやと思いました。ちなみに、ヒルディ役は「犯罪都市」と「フロントページ」が男、本作と「スイッチング・チャンネル」が女です。

 

ちょっと気になって wiki で見てみると、本作でホークス的な女性観が確立されたと書いてある。それは、バリバリのやり手で跳ねっ返りの女性がそれでも最後は好いた男の元へ戻ってくる、とまあ男の理想願望の具現化で、本作の「フライデー」の意味は「ロビンソン漂流記」でロビンソンの下僕になる従順な現地人フライデーの暗喩らしい。フライデーちゃん、女だてらに頑張らんと俺の彼女になりんさい、です。ヤバい、ヤバすぎです。こんなことフェミニストに知られたら本作のフィルムは焼き尽くされるかもしれません。

 

本作でケイリー・グラントは中盤1/3くらいの間不在になる。ロザリンド・ラッセルとの相対芝居ぶっ通しかと思ってたので意外だった。代わりに刑務所番の記者たちの詰め所が舞台になるのだが、この男たちの集団芝居がなんとも言えず良い。ホークスは男騒ぎの作家だったと改めて思いました。

 

出来る部下を取り戻したいに男と女のニュアンスが加味されて倍増された台詞は最早ニュアンスしか判らぬまでも凄いもの見た感はある。ホークスの女ってのはな女性観も笑って済ませたい。でもグラント不在の中盤の記者室の男騒ぎこそらしさ全開で至芸。(cinemascape)

 

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