男の痰壺

映画の感想中心です

悪魔のような女

★★★ 2017年11月4日(土) 大阪ステーションシティシネマ
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言うなれば、一種のショッカーであり、こういうどんでん返しな決め手をもった映画が生き残るのは難しい。
 
かのヒッチの「サイコ」もそうなんだろうが、あの映画の場合も母親のミイラとかトニパキの母憑依とか自体は題材として完全に風化しているのだが、それを一笑に伏すだけの手練手管の映像ギミックが満載なのだ。
 
アンリ=ジョルジュ・クルーゾーにはそういうザ・映画な技法は残念ながら無い。
 
しかし、それでも、この映画は斬新だと思う。
正妻と愛人が共謀して無慈悲な亭主を殺っちまうという話なのだが、この2人がレズビアン関係であることが匂わされているので、そっちの興味が中盤を牽引する。
同性愛など正面切って描けない時代の作にしては、相当にあけすけで踏み込んでいる。
 
あと、舞台設定も私立の小学校ってのがきわめて特異だ。
そういうオモシロ味はある。
 
クルーゾーにはショットの連鎖が魔法を呼び込むレベルの才覚はないのでショッカーな決め手が浮く。一方で女2人の同性愛関係の仄めかしが効いて道行めいた往還に情緒的サスペンスが生じた。小学校という特異な環境描写も効果的でプールの使い方は秀逸。(cinemascape)