男の痰壺

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ハクソー・リッジ

★★★ 2017年7月9日(日) MOVIXあまがさき1
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3部構成となっているのだが、頻繁に比較対照される「フル・メタル・ジャケtット」を未見なので、とりあえずは2番煎じ感は覚えなかった。
いや、むしろ、従軍以前の故郷→従軍後の訓練に至る1・2部はすごく良いんじゃなかろうか。
 
第1次大戦の戦争後遺症的な父親との確執と恋人との出会いが語られる。
まあ、どっちも掘り下げたとは言えないテキトー感はある。
ただ、父親の暴力癖や主人公のストーカーすれすれの思い込みといったパラノイアの片鱗は心根の純真で糊塗されるだろう。
このあたりがメル・ギブの真骨頂だと思う。
普通、危なっかしくて、こういう風には描けないもん。
銃を手にしないという非殺の自戒も、本人の倫理の中では正しいにしても、客観的に見ればちょっと疑問がある。
そこも、強引に押し通す。
いかにもメル・ギブだと思う。
 
で、戦場シーンに突入するのだが、一瞬で地獄絵図の渦中に放り込まれる第1派攻撃の描写は良い。
ただ、そこで主人公は何を為すべきかの問いは放逐される。
放逐したままにできないから、居残り救出の話になるのだろうが、ここにきて、映画は一挙にマニュアル臭に覆われるのだ。
 
「パッション」や「アポカリプス」で、あれだけ我を通した剛腕は及び腰になったとしか思えなかった。
 
女の口説き方にせよ非戦の貫徹にせよパラノイアメル・ギブと同期する前半の強度は良い。瞬時で地獄絵図渦中に叩きこまれる第1波攻撃の描写も熾烈だが主人公が何を為すべきかの問いは放逐され、挙句居残り救出に至り映画は一挙にマニュアル臭に従属する。(cinemascape)