男の痰壺

映画の感想中心です

ふたりの旅路

★★★★ 2017年7月29日(土) 第七藝術劇場
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異郷の地で自分を見つめなおす。
内省的で真摯で静謐。
 
「24時間の情事」
といった映画の逆バージョン。
 
そんなに期待もしてなかったが、予想外の出来に驚いた。
全篇、全カットの造形にこだわって研ぎ澄まされている。
上記でいえば「24時間」に近い。
 
孤独がフィーチャーされる。
その孤独に耐えていこうとする女性に映画は真摯に寄り添っている。
そうするしかないじゃないか…と。
 
桃井かおりが良い。
いつもの、かおり節回しなのだが、役を取り込んで内実化して吐き出すそれは臭味が濾過されてる。
 
本作の監督マーリス・マルティンソーンスとのコラボな3作目らしい。
前2作は日本未公開。
心より公開を願う。
 
喪失による孤独に耐えてきた彼女が異郷の地で喧噪に見舞われるが筆致は飽くまで内省的で静謐。そして、映画は真摯に寄り添い共振する。そうするしかないんだよ…と。いつものかおり語りながら役をものにして吐き出すそれは濾過された透明感に充ちている。(cinemascape)