★★★★ 2017年12月9日(土) シネリーブル梅田4
「リアリティのダンス」の続編で、少年期を題材とした前作に対して、こちらは青年期が語られる。
まあ、感想を一言で言えば、「この爺さん、どんだけ自分の親爺が嫌いやってん!」ということであります。
そういう爺いの繰り言を聞かされるのは、正直うんざりなのだが、可愛げがあるので緩和される。
人並み外れた思い込みは、内容はともあれ、ときに人を揺さぶる。
世界に言及するようなトリッキーな仕掛けはずいぶん減ったように感じられる。
その分、主人公に寄りそった写実的な描写が増えた。
少年期に感じる世界は未知数なのに対して青年期のそれは徐々に拡散しつつ限界が見えてくるからでしょうか。
その分、登場人物はヘンなのばっかなんですが。
ともあれ、内容に興味はなくとも、一徹な頑固で変態なじじいの話は聞いてて面白い。
そんな感じでしょうか。
撮影のクリストファー・ドイルの名前は久々に見たが、なんか、らしさは消失した気がする。
ホドロフスキーに呑まれたんやろね。
親父憎しの恨み節が自らが爺さんになっても尚持続される執念はともかく、好き勝手やっていいんだと諭される息子こそ良い面の皮でほっとけと言いたい。のであるが、頑固で変態であった爺いの繰り言は悔しいがオモロイ。世界は縮小したが切実な思いは胸を打つ。(cinemascape)