男の痰壺

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マンチェスター・バイ・ザ・シー

★★★★ 2017年6月25日(日) MOVIXあまがさき3
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彼が後生大事に持っている3枚の写真は1度も映ることがない。
過去挿話で兄の嫁さんは裸の下半身が映るだけ。
 
アカデミー脚本賞も納得の出来だ。
随所で語らずに語るの技法が効いていて心憎いばかり。
時制の錯綜が全くあざとくない。
あざとくないのは真摯なことしか語らぬ覚悟があるから。
 
救われない話だが、折り合いつけて人は生きていく。
そういう、静かな諦念に充ちている。
 
元女房との葬式から数か月後の邂逅シーン。
ミシェル・ウィリアムズの超絶な巧さもあり、遣り切れなさと苦渋がない交ぜになった名シーンだ。
 
あざとさのない時制錯綜と語らずに語るの技法が効いて心憎いばかりの脚本。一生救われない無限地獄であっても人との係りは切ることが出来ないし、そうやって生きていかざるを得ないのだと真摯に語っている。元妻との邂逅シーンは遣る瀬無さで身悶えしそうだ。(cinemascape)