男の痰壺

映画の感想中心です

冬薔薇

★★★★★ 2022年6月9日(木) 大阪ステーションシティシネマ10

健太郎ありきの企画だったようだが、オリジナル脚本でこのキャラを彼に当てた阪本のド本気と受けた方の覚悟が窺える。紛う事なきクソ野郎を描いた映画です。

 

ただ、健太郎は自意識過剰のクソ男として棒のように真ん中にいるだけで、美味しいところは周りに持っていかれるし、観客の共感を彼は徹頭徹尾得られません。仕方ないよね、クソなことしちゃったんだから。

 

物語を構築するに、彼が属する2つの集団が描かれる。1つは両親と彼らが営む運搬船の従業員たち。もう1つは彼が通う専門学校とそこから派生した半グレたち。健太郎は各々に半端に関与するが、ドラマは関与しない部分にも尺を割く。で、この関与しない部分が大層に良いのだ。そりゃそうで半チク野郎見てても仕方ないってのがあるんだろう。

 

特に小林薫余貴美子の夫婦像には自分を見てるようなリアリティを感じた。疲弊の加減がたまらない。また、半グレの毎熊が健太郎の本質を衝くシビアな洞察。阪本の価値観や経験値が随所で物語を膨らませて厚みがある。

 

で、ダメ男は救われるのか。

地獄の果てまで行ってQ。冷徹な断罪。

 

役者が皆素晴らしい。挙げた4人の他に永山絢斗、真木藏人、蓮司。伊武はちょっと可哀想だった。

 

バカでダメな自己都合願望の周りで地を這って生きている者たちは足るを知っている。それが見えぬ彼は弾き出されるしかない。阪本は救済しない。堕ちてまえと突き放す。雪夜のメフィストフェレスとの邂逅は物語が行き着いた大見得。役者陣がほとほと良い。(cinemascape)

 

 

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