男の痰壺

映画の感想中心です

罪と悪

★★★ 2024年2月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ12

和製「ミスティック・リバー」と言われてる本作ですが、そもそも少年時代のトラウマが大人になってから何某かのドラマを起動するってのは、相当にやり尽くされた大枠であり、そんな袋に何詰め込んだのか、ですが殊更に斬新なものはなかった。

 

そもそもにこの映画、構成の設計段階と撮影の現場での作者の思惑が乖離してしまった節がある。少年時代に4人の友達の中の1人が殺されて川に捨てられたってのが起点で、大人になって再会した彼らの側で再び殺人事件が…。

この大して斬新でもないメインの話の横で、中の1人がやってる土建・飲食業とヤクザとの確執があるのだが、正直こっちの話が熱量も高く魅力的。しかも、メインの話とあんまり関係ない。更に言うなら「ケジメつける」と言いながら全くついていない。

見てる方は、身を乗り出して、傍筋の話に乗っかってみたがスカされたみたいなもんだ。

 

演出的にも少年時代は形骸的で殊更の新味は感じられなかったが、先述のとおり高良率いる半グレたちVSヤクザの描写は役者の勢いも相まって良いと思いました。伸び代のある演出だとは思います。

 

少年達の1夏の悪夢が各々の人生を分岐させていくのだが、事の次第が詳らかになったとて殊更の感興も起こらない。手垢感が拭えないから。一方で枠外で突出するのが土建・飲食で成り上がりを図る高良一派とヤクザとの確執。こにらもケジメはついてないが。(cinemascape)

 

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