男の痰壺

映画の感想中心です

ワンダーストラック

★★★ 2018年4月14日(土) シネリーブル梅田3
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ヒューゴの不思議な発明」と同じ原作者のものであるらい。
あの映画も、俺は全くダメだったが、これもイマイチです。
どうも、原作者はメカニカルな意匠に関心が高いらしく、今作でも博覧会に出品されたニューヨークの大ジオラマがフィーチャーされるし、不思議小物の収納棚みたいなのも出てくる。
ほーっ…とは思うが、で、だから?…なのだ。
 
1920年代の少女の母親探し。
1970年代の少年の父親探し。
この2つのストーリーは並行してカットバックされる。
てっきり、これは2人の時空を超えた邂逅があるんだな…っていう不思議物語の定番展開を予想しました。
が、違ってました。
 
【以下ネタバレです】
 
少女は少年のお祖母ちゃんだったんですなあ。
なんじゃそりゃです。
身もふたもありまへんがな。
 
俺にとっての本作の美点は2つ。
1つは、70年代の街中の再現が素晴らしい。行きかう人々のファッションやヘアスタイルなど。
2つめは、少年が父親探しの過程で知り合う少年がいるんですが、彼のバックボーンが明らかになるにつれて、その孤独感が否応なく表出される。はっきりとは描かれないが少年はゲイであるニュアンスがある。
ここに、トッド・ヘインズとしては自身を仮託したのではなかろうか。
そう思うと切なく遣る瀬無い。
 
ジオラマ等メカニカル意匠が気合い入りまくりなのだが哀しいかな筋に絡みきれず機能しない。2つの時代のカットバックが収斂するのも拍子抜けな帰結。だが現在形70年代の切ないまでの景観と途中から同道する少年の予想外の孤独が胸を打つ。それが裏テーマ。(cinemascape)