男の痰壺

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ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE

★★★★★ 2023年7月26日(水) MOVIXあまがさき9

驚くほどに新しいものが何もない、そこがかえって素晴らしいと思いました。どっかで見たようなアクションシーンの建て付けばかりなのですが、にもかかわらず泰然とした自信と漲るオーソドキシー。前作「フォールアウト」の好演出を持続させるクリストファー・マッカリーに寄せるトムの信頼が伝わってくる幸せな共闘関係。

 

人類反逆に自走するAIがあり、それを止める「鍵」をめぐる争奪戦なのだが、肝心のAIは冒頭に出るだけで以後登場しません。言わば争奪対象の「モノ」があればいいわけで、フランケンハイマー「RONIN」のカバンみたいなマクガフィンに近い。後はひたすらに肉体アクションに終始するわけです。

 

おそらくトムの年齢的にもこれがシリーズの最終になるだろう予感。そのための2部作大盤振る舞いだろうし、「ローグネーション」以降のマッカリー3部作の総仕上げにもなるだろう。イルサやホワイトウィドウなど3作に通底する女性キャストを惜しげなく消費しながらどういう終焉を迎えるのだろうか。くれぐれも「007」みたいなのは勘弁やでー。

 

アクションの建て付けに驚くほど新しいものが何も無いのだが、それが最早伝統芸の家元とでも言うかのような泰然自若の佇まいを獲得。キャッチーな自走AIネタは瞬く間に放逐され「鍵」という物理的「モノ」の争奪に擦り替えられる。古式床しいマクガフィン(cinemascape)

 

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