男の痰壺

映画の感想中心です

大恋愛

★★★ 2023年2月9日(木) シネリーブル梅田2

ピエール・エテックスという人のことは知りませんでしたが、フィルモグラフィを見ると、ジャック・タチの助監督からスタートして、自身の作品を撮る一方、多くの監督の作品に客演している。ブレッソンルイ・マルフェリーニ、大島と並べると何故かワクワクします。

 

本作はエテックスの初カラー作品ということだが前半はそんなに面白くありません。信奉するキートン、ロイド的なギャグを狙ったんでしようがスベってる感がある。だが中盤以降かなり盛り返します。女房の親父の会社の管理職になった彼の専属秘書のおばさんが退職することになり新人の若い美人秘書が来る。もう仕事うわのそらで毎日どうやって口説こうかとドギマギ。

俺もかつて仕事で若い事務員と事務所で2人っきりになる時間があって、何があるわけでもないのに何年間かは毎日が楽しかったのを思い出しました。結局は何がどうなるわけでもないんですけど。

 

けど、こういうシチュエーションコメディ的な諧謔味はビリー・ワイルダーウディ・アレンなんかが得意とするものであり、キートン、ロイド或いはタチなんかのパントマイム的なのとは違いエテックスの志向するものではなかったんじゃないかと思ったりもするんです。

 

自分の恋愛来し方行く末を回顧・展望する前半は上滑ってギャグも不発に思える。しかし、若い美人秘書登壇以降、物語は日常に降りてきて、おっさんの少年めいたトキメキに共振していく。それは伊艶笑譚やアレンなんかに近く身体性ギャグには遠いのだけど。(cinemascape)

 

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