男の痰壺

映画の感想中心です

元旦の迷宮

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ここ10数年、元旦は会社の事務所で朝からグデングデンになるまで飲んで昼ごろに家に帰るということを繰り返してきたのだが、さすがに明日は絶対に厳禁との上からのお達しを受け大人しく帰ることになりそうで、そんなときだから、改めて世界の先行きに思いを馳せようと決意しました。

 

そんな俺の脳裏に苦渋の悔恨とともに、どうしても家にたどり着けない迷宮化した元旦の記憶が甦るのだ。

ただ、この話は関西の私鉄路線にある程度のイメージがないとわからない話です。

 

数年前の元旦。例によってグデングデンになった俺は、昼過ぎに阪神梅田駅から神戸方面に向かう電車に乗り、睡眠不足から座席についた途端に寝入ってしまった。以降の記憶は一切なく次に意識が戻ったのは、駅員に揺さぶられて起こされたとき。

「しまった、寝過ごしてもうた」

尼崎で降りなあかんのに、三宮まで来てもうたんやなと思って電車を降りる。時計を見ると4時を回っている。

「えっなんで?」

4時間も経っとるやんけ、と酩酊する俺は回りを見渡す。阪神三宮駅の感じではない。

「何処や、三宮ちゃうやん、いや待て落ち着け、これってもしや」

驚いたことに、そこは阪急梅田駅なのであった。

 

阪神梅田駅から4時間も電車に揺られて阪急梅田駅に着くって、狐につままれたって言うより寧ろ背筋が寒くなった。

「これってもしかして例の噂のパラレルワールド?」

子どもの頃見たウルトラQの「あけてくれ!」の挿話が頭に飛来し、やみくもに改札を出ようとしたが、阪神電車の定期で阪急の駅を出れるわけもない。無情にもキンコン音を立てて改札は閉じたままなのであった。

なんとか駅員に説明にもならん説明して改札を出してもらい、再び阪神梅田駅に向かって千鳥足で歩きながら、俺は推理を巡らせた。そして、ひとつのこれしかないという結論にたどり着いたのだ。

 

阪神電車阪急電車は大阪・神戸間を山手と海側に分かれて並行して走っているのだが、神戸三宮を過ぎ新開地あたりで合流する。

新開地終着の阪神電車に乗った俺はそこで駅員に起こされ電車を降り、おそらく駅のベンチで2時間爆睡し、なんとか目覚めて、やってきた梅田行きの阪急電車に乗ったと。

まあ、そんなとこですわ。

アホな話です。

 

皆様も飲み過ぎには気をつけましょう。

それでは、よいお年を。