男の痰壺

映画の感想中心です

2020-12-22から1日間の記事一覧

アレクサンドリア

★★★★ 2011年7月21日(木) 新世界国際劇場 命を賭して貫く信念と言うより、ふとした身の処し方への拘りから袋小路へ追い込まれ引き下がれず抗えない女。愛しい女の苦境に男が成すべき誠実。宗教戦争の現代へと連なる普遍を背景にマクロとミクロの往還技法の…

気狂いピエロ

★★★★★ 1983年5月27日(金) 三番街シネマ2 全てのシーンに横溢する哀感はポップな色彩と採光で皮相にも倍加され、縦横で流麗なカメラワークは運動の儚さを照射する。カリーナとの終焉が産んだ男泣きこそ繰り返し模倣され陳腐化していく先人達の遺業の中で断固…

男はつらいよ 寅次郎の縁談

★★★ 2011年7月9日(土) トビタ東映 新味の欠片もない出がらし的一作なのだが、松坂の腰の据わった風情や城山の衒いのない直情など女たちは良い。そう思うそばから、引き際よすぎる寅のダメさと満男の意気地なさに相も変らぬ残尿感を覚える水準作。就職に絡…

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破

★★★★★ 2020年12月17日(木) 梅田ブルク7シアター5 桐野夏生の小説に「女探偵ミロシリーズ」ってのがあって、これが1〜4作目までは普通の探偵小説なのだが、5作目の「ダーク」で突如それまでの世界観を放逐して砂漠のような人間の暗闇に踏み込んでいく…